介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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『医療福祉士への道』を読む(その17 完)

2008-08-31 03:28:21 | 社会福祉
【終章へ】
『医療福祉士への道』も今日は終章です。
8月8日に、「ソーシャルワークの定義」に関して本書をとりあげ、それから8月12日以降、きょうまで16回にわたり8章まで読んできました。
著者が「はしがき」で書いている()通り、この終章だけが書下ろしです。

ここで、初めて、著者のソーシャルワーク論は、ソーシャルポリシー(社会政策論)の研究と統合的に、「社会市場」(ソーシャルマーケット)という土俵の中で捉えようとしていることが明らかになります。

私は、このブログで、昨年の後半、同じ著者による一連の「社会市場論」をフォローしていて、「あまりに経済学的すぎる・ソーシャルワークヘの言及がない」などと批判したりしていました。このときは、恥ずかしいことですが、本書の各章のもととなった論文・講演集を読んでいませんでした。

【この本のポイント】
いま、これまでの16回分を読み返してみました。
・医療福祉士の資格が必要だという先生の主張が繰り返し述べられました。
・具体的なカリキュラムの提案にも及んでいました。
・この内容を、医療ソーシャルワーカーの会合や研修で繰り返し話してこられた。
そして、結局は、医療ソーシャルワーカーの専門職組織が、社会へその仕事の重要性を訴えるべきだ、という話の流れでした。

【1987年冬、原宿】
京極先生のこの本に、1987年の法制定当時の裏話として、当時、日本社会事業大学の研究所にいた私の名前がでてきます(p.62)。
この大学がまだ原宿の旧キャンパスにあった頃、1畳ほどの細長い部屋にワープロを囲んで先生の話を入力したのはたしかに私です。内閣法制局への説明が迫っていて、その説得資料ということで、今考えても重要なペーパーです。天井は高かったのですが、出窓が1箇所だけで、暗い部屋でした。昔、掃除用具を置いてあった部屋だとか聞きました。先生は、出向先の厚生省では有名な「社会福祉専門官」(初代)というポストでした。重要なポストですが、ラインではないのでワープロをされない先生は提出資料の清書係がいなくてご苦労されていました。私が先生のそばで私のワープロの小型機で提出用の表を作ったのはたしかです。(この話を私が文字にしたのは初めてです。)暗い上に、冬で、寒い部屋でした。夜はかなり更けていた。でも、「歴史的作業」という緊迫感からか、その寒さとか暗さとかは記憶していません。
第6章のもととなった講演記録〔2007.7.14)では、「〔資料は)ほぼ一人で作成した」といっておられますが、正確には、「京極先生のの頭の中を、ワープロ係りの私が聞き返しながら入力した」ということですね。
普通、こういう場合は、清書した人の名前は歴史には残らないわけですが、先生が大学へ就職したばかりの私のことを考えられて公刊された本に掲載された資料の注記には私の名前も記載されています。
*この時期、京極先生の出向元である日本社会事業大学の研究所長〔仲村優一先生。当時の私の直接の上司)あて、作業の協力依頼があって、さまざまな作業・ヒアリングを原宿で行った現場には私が「座っていた」ことも事実です。(このことも20年たって初めて書きました)

【理論の統合化はこれから】
終章の最後に、「ソーシャルワークと各領域(哲学・法律・経済など)の位置と相関関係」という図(図5.p.102)が載っていますが、正直いって、この図は、わかるような雰囲気もありますが、よくわかりませんね。
法哲学者の小林直樹先生の著書からのヒントとありましたが。
まだ、納得できる理論化はこれから、という読後感が残ります。

私のまとめ〔予測):

○ いずれ、医療福祉士ができる。

○ その後、遠い将来ですが、各資格間の関係付けが統合化される。
  (社会福祉士、精神保健福祉士、「医療福祉士」、介護福祉士
   専門社会福祉士、・・・)

○ その際には、ソーシャルワークの日本的な理解についての理論化が進む。

その場合の理論形成には、大学人の役割もありますが、〔行政側の指図ではなく)なんといっても社会福祉士である実践家(そのネットワーク)からの問題提起と議論の整理が決め手となると思います。

*写真は、鹿児島市。
西郷隆盛が、西南戦争の折、最後となった〔1877.09.24)洞窟の前で。
「晋どん、もうここらでよか」という有名なセリフの説明がしてありました。
**「晋どん」:介添えをした別府晋介。

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