経営コンサルタントへの道

コンサルタントのためのコンサルタントが、半世紀にわたる経験に基づき、経営やコンサルティングに関し毎日複数のブログを発信

■■【連載】 経営トップ15訓 はじめに 経営訓ができた生い立ち

2020-08-26 12:03:00 | 経営トップ十五訓

■■【連載】 経営トップ15訓 はじめに 経営訓ができた生い立ち

 経営コンサルタント歴35年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 
 


線-孫悟空

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

■ 日本経営士協会理事長を拝命

 日本経営士協会は、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタント団体です。

 平成16年5月に、その歴史と伝統ある日本経営士協会から理事長を拝命することになり、総会を経て、同年6月より今日まで理事長という大役を務めています。

 拝命したときには、私のような者にその大役が務まるのだろうかと、自分自身、懐疑的になったこともあります。

 当時、経営コンサルタント歴25年を経てきて、そろそろご恩を受けた経営コンサルタント業界に恩返しをする時期と考えていました。

 その一環として若手経営士・コンサルタントの育成をメインに余生を送ることができたら素晴らしいだろうというライフワークに対する夢を持っていました。

 自分が育てて来た会社も、Googleなどの検索サイトで「経営コンサルタント」をキーワードにすると、「経営コンサルタントへの道」というページがトップページに、それもしばしばWikipediaを抜いてトップ表示されるまでになりました。

■ コンサルタントのためのコンサルタント

 自社や日本経営士協会を通じて経営士・コンサルタントの実力養成に力を入れてきたこともあり、「コンサルタントのためのコンサルタント」というあだ名が1990年代に付けられるに至りました。

 これらのことを鑑み、日本経営士協会の理事長という大役をお引き受けする決心をしたのです。

 その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。しばしば十戒から脱線することも多く、自分が自分で恥ずかしくなる行為も多々してきました。

■ 経営トップへのプレゼント

 理事長歴9年目を迎え、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期になり、十戒に加筆をして「理事長15訓」なるものを作ってみました。十戒もそうですが、自分で利用しながら、それを推敲するがごとく改訂を重ねてきましたので、今後も引き継ぎが済むまで日々改訂を続けていく所存です。

 この度、この15訓を基に、企業や組織のトップ・管理職の方に向けて焼き直したものを紹介したいと考え、ここに「
経営トップ15訓」としてまとめてみました。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


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■■【連載 経営トップ15訓】 第1訓 誠意と感謝の気持ちをもって社員(会員)や関係者に接する

2016-09-11 07:21:40 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第1訓 誠意と感謝の気持ちをもって社員(会員)や関係者に接する

 

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 


経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる

 


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


 

 

 

第 1 訓
誠意と感謝の気持ちをもって社員(会員)や関係者に接する

■ 良い社長、悪い社長

 「会社の社長さん」というと、社員から見ると「雲の上の人」「お金持ち」「偉い人」というようなイメージを持たれることが多いです。その裏返しとして、中には「威張り腐る人」もいます。「社長なのだから特別扱いされて当然」と考え、自分に対する扱いが気に入らないと大声を上げたり、酷い場合には社員の出世の妨げになるような意地悪な行為に出たりすることもあります。

 「社員は愚かな者」という”上から目線”で見がちです。「うちの社員といったら馬鹿ばかりで・・・」「うちの役員は皆無能だから俺が苦労する」というような言葉も良く聞きます。中には「愚かな”物”」と言わんばかりで、罵声を浴びせ、人間とはほど遠い扱い方をするトップもいます。

■ Going Concern は感謝の気持ちから

 私の場合には、「経営コンサルタントの団体の長」という立場ですので、一般の企業で言えば「社長さん」に相当します。しかし、一般の企業とは多少異なる組織・団体でもあるので、必ずしも同じとは言い切れない面もあります。

 企業でも私どもの協会でも「存続」することが第一ですが、存続し続け、歴史が長いということよって社会的信用度が高まっていくという点では、「存続させること」「Going Concern」ということは、一般企業よりはウェイトが高いかもしれません。

 一般企業では、営業により収益を上げ、その結果、社員に給与を支給したり、諸活動の経費源泉となったり、再生産のための原資となります。ところが、私どものような協会では、会費が主な収入源であり、会員が会費を納入してくれるから活動費が生まれるのです。活動の源泉が会員にあるのですから、そのことを厳粛に考えれば「お客様は神様」ならぬ「会員様は神様」と考えても良いのではないでしょうか。

 その会員に対して、誠意と感謝の気持ちを忘れては、活動の源泉を潰すことになります。一般企業との違いがそこにありますが、では一般企業では社員を軽視しても良いのでしょうか。

■ トップの驕り、思い上がり

 社員が働いてくれるからこそ売上が上がり、利益を生み出せ、会社を存続することができるのです。トップは、社員が仕事をしやすい条件や環境を整えることで社員のモラールを上げて行けます。

 社員がいなければ収益源がなくなるのですから、その存在意義を充分噛みしめれば、自ずと社員に対する感謝の念が生まれてくるはずです。そうでないトップがいるとしたら、多いに反省すべきではないでしょうか。

 社員が愚かに見えたときというのは、トップとしての自分に驕りがあるか、自分の人に対す見方が正常でないのか、自分の判断基準に誤りがあるのか、等々、原因は自分自身にあるのではないかと考えるべきです。

 年を重ねる、社長職に長くいる、同じ業界内で長く暖簾が生きている、等々の経験から自己過信に陥り、自分の驕りに気がつかないことがあることを自覚しないと、同じような過ちを繰り返し犯しかねません。

 感謝の気持ちは、ビジネスの世界だけではなく、広く関係することを再認識すべきではないでしょうか。

 


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■■【連載 経営トップ15訓】 第 2 訓 全体を俯瞰的に観て、ぶれない判断基準(ものさし)を用いて決断する

2016-09-09 11:55:05 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第 2 訓 全体を俯瞰的に観て、ぶれない判断基準(ものさし)を用いて決断する
 

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経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 



 

 

第  訓
全体を俯瞰的に観て、
ぶれない判断基準(ものさし)を用いて決断する

■ 富士山がいろいろに見える

 トップといえども、自分自身の業務を抱えた上で、自社・自組織の運営という業務を担っています。それに関連する業務に追われると、その業務に視点が集中してしまい、周辺はおろか、全体を見失うことにも繋がりかねません。

 常に一歩下がって、俯瞰的に自分の会社を観るようにしましょう。単に「見る」のではなく、じっくり観察する「観る」という習慣を身に付けましょう。また、時には第三者的な冷徹な視点で「診る」ことも体得しましょう。

 その時に、漠然と見ていては、車窓から見える景色同様に過ぎ去るだけです。東海道新幹線に乗って、三島駅の手前から、「そろそろ富士山の全容が見える頃だ」と言い聞かせると同じ富士山でも見えるものが異なってきます。

 「今日の富士はレンズ雲がかかっているので天気が悪くなるな」「宝永火山の噴火口はあんなに低い位置だったかな?」「初夏なのに山頂近くにはあんなにたくさんの雪が残っている!」等々いろいろな発見があります。

 「今日は、富士山の頂上付近に雲がかかっているな」ということに気がつくと、昔の人が「今日は風が吹く」と言い伝えてきたことを思い出すかもしれません。

 左右に雲がたなびいていると、かつて使ったお札の富士山の絵を思い出して、「やっと手に入れたお金だ。大切にしよう」と若い日の気持ちを思い出すかもしれません。

■ 経営トップは鳥となって「観る」

 「観る」ことの大切さを再認識できれば、企業を俯瞰的に観るにはどうしたらよいのかを考えるでしょう。

 文字通り、物理的に高い位置を梯子などでつくって、社内を実際に観ても良いかもしれません。「あそこの部分は、照明が他に比べて明るい」というような物理的なことでも、発見があれば何かを観るきっかけになります。

 「昔、あの部分は受け入れ検査の担当者が作業していたところだ。だから照明を明るくしたんだ。いまは別の部署だから明るくしておく必要はないのだ。それにしても、受け入れ検査のデータを最近は見ていないな」などと自分の仕事のやり方の問題点に気がつくかもしれません。

 始業直後の営業部門を見ていると、今日の訪問先のアポを取る社員もいれば、サッサと準備をしてお客様の処へ出かける者もいます。そこから、営業パーソンの効率性について見直してみようということになるかもしれません。

 それが契機となって財務諸表や販売管理のデータを俯瞰的に観ることもあるかもしれません。

■ 経営トップは”ものさし”を持て

 その時に、ものさしを持って見ることが必要です。企業内を見るときには、経営理念や経営計画というものさしもあれば、マニュアルというものさしもあります。ものさしを変えると、視線も変化して来ます。

 さらに一歩下がって、「近隣の企業や商店は儲かっているのだろうか」「日本経済は・・・」「グローバルな視点で見て日本は・・・」「これからの技術動向はどう変化するのだろうか」等々、カメラのズームを引くようにしてみたり、元に戻したりと、俯瞰的に観る視点を変えてみてはどうでしょうか。

 例えば業界というものさしを使って、業界におけるポジションを確認しても面白いです。日本経済指標を基準に自社を観ることもあるでしょう。グローバルな視点で観る時に、それらを組み合わせて観ることも必要です。

 「木も見て森も見る」習慣を持つと、経営判断の精度も上がってきます。

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■■【連載 経営トップ15訓】 第3訓 「旺盛なるサービス精神でさらなる発展と運営に積極的に取り組み、汗を流す」

2016-09-08 13:56:20 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第3訓 「旺盛なるサービス精神でさらなる発展と運営に
積極的に取り組み、汗を流す」


 経営コンサルタント歴35年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 



線-孫悟空

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 

第  訓
旺盛なるサービス精神でさらなる発展と運営に
積極的に取り組み、汗を流す

■ 壁に耳あり障子に目あり

 「子供は親の背を見て育つ」といいます。社員(会員)は、トップを見ていないようでいて、実はよく見ています。「壁に耳あり、障子に目あり」と昔の日とはうまいことを言っていますが、これは再認識する必要があります。

 例えば「5S運動」を行っている企業で、トップが自分の机上や部屋を乱雑にしたままで仕事をしていて、社員(会員)に「整理・整頓をキチンとやりなさい」と言っても、社員は耳を貸そうとしません。それよりも「うちの社長ときたら、自分自身がだらしないのに、俺たちがちょっと書類を机の上に置いておくだけで煩く言う」といってかえって反発心を起こし、社員(会員)の心は離反してしまいます。

 「率先垂範」という四字熟語や「まず隗より始めよ」という中国のことわざがよく知られているように、トップはまず自分で手本を見せることが必要です。

 ある企業の社長さんは、毎朝トイレ掃除を自分でやるそうです。トップには、トップの任務があるので、そこまでやる必要があるかどうかは疑問に思う人はいると思います。しかし、社員(会員)も同調してトイレ掃除をやるようになり、「社長、後は私たちでやります。貴重な教えをありがとうございました」というような言葉が出てきたら、引っ込んで、後は社員に任せるようにしてもよいでしょう。

■ 社員(会員)に気づきを与える

 方法論はともあれ、率先垂範は、社員に気づきを与えるという観点では重要です。上から言われて、あるいは指示されてやり始めることとは異なり、自主的に、あるいは自分でその必要性を理解した上での行動であれば、持続もし、工夫もし、さらに別な面への波及効果もあったりするかもしれません。

 しかし、やり方を間違えると逆効果になることもあります。「俺は社長として率先垂範をしているのだ」というこれ見よがしの行動をとると、他の者から見てわざとらしく、嫌味に見えます。

 トップの業務の中で大切なことの一つが「トップ営業」です。その基本は人脈作りで、人脈が人脈を呼べる日々の活動が、社員(会員)に背中を見せることになります。

■ 「気づき」は見せ方で逆効果

 私どものような団体では、例えばトップが受注のために、出版や雑誌投稿をしたり、講演や研修で講師を務めたりして、「経営コンサルタントはこのようにして受注を取るのだ」というお手本を示そうとするかもしれません。

 「うちのトップはお金の亡者で、所構わず仕事あさりをしたり、俺たちの仕事にまで触手を伸ばして仕事を取ろうとする」というように、会員の目には映るかもしれません。

後輩の参考になればと、自分の経験話をいろいろとし、そこからヒントを得てもらえれば幸いであると考えて、時間を割くことがあるかもしれません。ところが会員から見ると「うちのトップは目立ちたがり屋で、自慢話ばっかりする」というように捉えられかもしれないのです。

 トップが、社員(会員)に対して汗を流す姿を見せることは重要ですが、その方法論には注意が必要なことは、賢明なる読者の皆様にはおわかりと思います。

 


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■■【経営トップ15訓】第4訓 社員のメリットを優先し、トップとして公平・公正なる判断をする

2016-08-12 16:45:47 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第4訓 「社員(会員)のメリットを優先し、トップとして公平・公正なる判断をする」

 経営コンサルタント歴35年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

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経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 

第  訓

社員(会員)のメリットを優先し、トップとして公平・公正なる判断をする

■ 日本経営士協会の基本思想を理解できるか?

 私どもの経営コンサルタントの協会というのは、戦後復興期に当時の通産省や産業界の勧奨を受け、日本公認会計士協会と母体を同じくする、日本で最初にできた経営コンサルタントの資格付与団体です。ですから、活動の基本は資格審査と付与となります。

 ところが、資格取得にしろ、資格取得後にしろ、会員の大半が経営コンサルタントとしてのやり方に不案内です。ですから、単に資格付与をすれば良い団体では会員は満足できません。

 平成15年に50周年を迎えたときに新第二創業として、資格付与及び経営コンサルタントの育成という二本柱に基本方針を転換しました。しかし、経営コンサルタントというのはプロフェッショナルな仕事ですので、一般企業や教育団体のように手取り足取りでの始動をする場ではありません。

 「協会が何かをしてくれるのを待つのではなく、協会で自分が何をすべきか、何をすれば会員であるメリットがあるのかを見つけ、自分で汗を流して活動する」という考え方を基本としています。

■ お金が欲しければコンサルタントをやるな

 経営コンサルタントというのは、平均所得も高いプロフェッショナルな仕事ですので、あこがれやお金儲けを目当てにして入会しようとする会員も多いのです。「お節介焼き」精神が重要と考えます。協会の中で、先輩会員や仲間からそれを感じ取って欲しいのです。

 経営コンサルタントというのは、いかに経営をうまくやるかを常に考えているので、その目指す方向やそれを実現する方法論は知り尽くしているはずです。もし、自分の懐を豊かにしようとしたら、経営コンサルタントで報酬を得るよりも、自分が経営者としてやる方が手っ取り早いでしょう。

 会社をどのように運営したら良いのかを考えるときに、社員(会員)に対してどのようなメリットがあるのかを考えた経営をしないと、周りを見たら社員(会員)が皆敵であったなどという悲劇が起こらないとも限りません。

■ 部下の造反を受けた役員

 ある中小企業の営業担当役員が、部下のためと考え、厳しい管理をし続けました。営業パーソンの時間管理を厳しくし、ムダな動きがあると、なぜそのような行動をとったのか、厳しく糾弾しました。またあるときには、地方出張先への交通手段が他に安い方法があるにもかかわらず、なぜこのような割高なルートをとったのか、厳しく追及しました。

 またこの役員は、営業日報に赤ペンを入れるのが好きという程、熱心に営業日報を読み、コメントをよく書くために「赤ペン常務」というあだ名がついています。営業パーソンの行動や判断に参考になることで赤ペンを入れるのであれば部下はそれを参考にできますが、この役員は、有名私立大学の文学部出身ということもあり、日本語の表現に煩いのです。テニオハのような処まで、重箱の隅を突っつくように赤ペンを入れるのです。

 この役員の全てが悪いわけではなく、むしろ賞賛される部分も多いのです。しかし良い内容のことを言っているにもかかわらず、言い方や表現方法論が悪かったり、度が過ぎてしまったりすると反発となります。

 彼は、このような業務に時間を取られるために、営業パーソンが先方のトップに会いたいので、この役員に同行して欲しいと思っても「忙しくてそれどころではない」のにべもない返事が返ってくるのが常です。自分のパソコンに向かって、毎日夜遅くまで仕事をしているのです。そのために部下は、その役員に同行依頼をすることもできないのです。

■ 依怙贔屓(えこひいき)

 そのような中でも、彼の部下に優秀な業績を収めている営業パーソンが一人います。彼は、営業経験も長く、担当している顧客がABC分析でAランクの会社が多いのです。売上も先が読めるほどで、売上予算に対してそれを大きく上回るような月には、意図的に翌月に回すなどして、毎月コンスタントに売上予算を達成していました。

 この役員をは、その営業パーソンに対しては、非常に甘く、あまり文句も言いません。

 ある日、その営業パーソンを除く全員が辞表をその役員にたたきつけて、辞めて行ってしまい、ライバル企業に移ったのです。

 部下をキチンと見て、公正なる判断を下せば、この優秀な成績を修めている社員の実態を知ることができ、手抜きをしている真の姿を見抜くことができるでしょう。公平なる扱いをしていれば、社員(会員)がゴッソリとライバル企業に移るというような事態を招かなかったでしょう。

 少しのムダでも塵と積もれば山となりますので、厳しさは必要ですが、その程度が重要です。厳しさも公平さを欠くととんでもない結果に繋がってしまいます。

 「公平」「公正」という言葉は簡単ですが、いざ実行する段になると難しいです。しかし、自分でそれを意識し、自分を厳しく見据えることをしてゆくうちに、いつしか公正であり、公平な判断ができるレベルが向上してゆくのではないでしょうか。

 


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■■【連載 経営トップ15訓】 第5訓 社員の希望・要望に耳を傾け、その本質を考える

2016-07-28 13:15:13 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第5訓 「社員(会員)の希望・要望に耳を傾け、経験からだけでそれを否定したり、無視したりせず、無心になって、その本質を考えてみる」

 
経営コンサルタント歴40年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 



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経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 

第  訓
社員(会員)の希望・要望に耳を傾け、経験からだけで
それを否定したり、無視したりせず、
無心になって、その本質を考えてみる

■ 企業の問題・課題は社員に聴け

 経営コンサルタントという業務を職業にしていると、いろいろな企業に接することになります。それらの中には、自社の問題点を理解できていない企業やトップもいますが、大半のトップは、何が自社の問題点かを解っています。中にはその解決策までわかっている企業が多いのです。

 そのことからもわかるように、社員に問題意識のある会社では、トップだけではなく社員もが問題点を認識していたり、解決策を持っていたりします。

 従って、われわれ経営コンサルタントは、定期的に顧問先でヒアリングといって、社員の個別面談を行います。彼らの声に耳を傾ける一方、トップには、社員に問題意識を持たせることの大切さを再認識させるように働きかけをします。

■ 社員の声を上手に聴く

 トップが、社員の言動を軽視して、自分の考え方を押しつけるだけであると、社員のモラールは上がりません。トップの考えが、いつでも正しいとは限らないからです。

 ある企業のトップは、社員の声に耳を傾けようと一所懸命です。ところが、社員のいうことと自分の考えが異なると、折角社員が声を上げているのに、自分の考えを押しつけることになります。その結果、社員は何も言わなくなってしまいます。

 またあるトップは、社員から提案があると「非常に良い提案だと思うよ。君がリーダーとしてその問題に取り組んでくれないか」と低姿勢で応対をします。

 この対応は、一見すると「良いトップ」というように見えますが、社員の反応は異なります。「うちの会社では、何かを提案すると、すぐにその提案者にやらせようとする。言い出しっぺは、常に余計な仕事を抱えることになってしまう。もう、何も提案をしないようにしよう」ということになり、社員が声を上げなくなってしまいました。

 社員(会員)から声が上がってきたら、それを、経営的視点でもって咀嚼するようにしてはどうでしょうか。

■ トップの声は社員に届いていない

 社員(会員)から上がってくる声の多くは、すでに実施したことがあったり、進行中であったり、これから実施しようとしていることです。頭ごなしに、「そんなことは解っている」と大声を上げてしまっては、社員は口を噤んでしまいます。

 その様な声が上がる時というのは、トップの考え方や方針、経営理念や経営計画などが社員に徹底できていないことが多いのです。折角種々の施策をとったり、実施しようとしてのにもかかわらず、社員(会員)が理解や認識できていないのでは残念なことです。

 なぜその様なことが起こるのか、問題・課題の本質を追究しなければ、違った形で、再び社員が不満を募らせることになりかねません。

 また、その様なときに、トップが自分の考えをすぐに返すよりは、社員(会員)に考えさせることによって、社員(会員)自身が気づくことがあり、一方ではトップにも新たな発想が生まれるかもしれません。

 平素から、クリティカル・シンキング的な発想をし、ロジカル・シンキングにより目の前の事象や今後について考える癖をトップとして持つ必要があります。

 


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■■【連載 経営トップ15訓】 第6訓 「社員(会員)の質・量の向上を常に意識し、退職者を極力出さないようにする」

2016-07-23 17:32:34 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第6訓 「社員(会員)の質・量の向上を常に意識し、退職者を極力出さないようにする」

 
経営コンサルタント歴35年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 



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経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる



 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 

第  訓
社員(会員)の質・量の向上を常に意識し、
退職者を極力出さないようにする

■ 日本型経営を見直す

 日本型終身雇用制という言葉は死語と言っても過言ではないほど昨今では使われなくなりました。それだけ日本でも労働の流動性が高まってきています。大学や専門学校等を卒業した人の50%もが何らかの事情で離職したり、就職しないでいるショッキングな状態でもあります。

 社員一人を採用する費用は、その人の給与の2倍またはそれ以上を要するといわれます。学校を卒業しても、そこで学んだことがすぐに職場で活かせるわけではありません。何の教育もしないでいると労働生産効率が低いままであり、非効率です。そこで新入社員研修を行う必要性が生まれます。

■ 雇用関連費用の大きさを認識する

 中小企業では、大企業のような新入社員研修制度のないところが多いでしょうが、先輩がOJTを通じて行うことが多いでしょう。先輩社員は、当然のことながら、本来自分の業務に専念するよりは効率も下がります。そこで機会損失が発生します。その費用は莫大なものになっているかもしれません。

 これらのことを考えると、一旦社員として雇用したら、その社員に終身働いてもらうことが好ましいといえます。社員も高齢化すると生産性が低下することもありますが、まだ働けるうちは働き続けてもらえる制度が、社員の退職を防ぐことになります。従来の終身雇用制を現代風にアレンジしたものを、ここでは「新型終身雇用制」と呼ぶことにします。高齢者の生産性は、報酬等で調整するなど、その対応策を考えて、新型終身雇用制をしくなどの方策を講じれば、新型終身雇用制のメリットは大きいはずです。

 その制度により、雇用が安定すれば、社員の労働力は低下せず、生産性も人件費に見合ったものとなります。すなわち企業は安定的に成長します。「数は力なり」という言葉があるように、社員数が多いことは企業力を向上させます。

■ 会社は大きくすれば良いのか?

 では、社員数が多ければ多いほどよいのでしょうか?

 利益にも適正利益という言葉があるように、社員数など企業としての適正規模があると考えて良いのではないでしょうか。残念ながら企業や組織における適正規模に関する研究はまだ不十分ですが、急激に社員の増加が行われると管理が伴いません。管理職の質が問われるので、その部分を見ながら、適正規模を考えることができるはずです。

 すなわち企業の成長を考えると、社員研修の重要性を再認識することができます。管理職の教育だけではなく、管理職予備軍の教育により、社員数が将来増えても対応できるようにしてこないと、社員数と管理の質のアンバランスから経営に失敗する道に踏み込まずに済みます。

 教育により「良質な人」が増えると、そこから生まれてくる商品・サービスの良質化が進みます。すなわち「良質な物」ができるようになるのです。その様に生産性が上がると金融機関は黙っていません。無担保・無保証で低金利の資金が入りやすくなります。収益性も高まります。すなわち「良質な金」が入って来るようになるのです。

 このようにして、経営品質が高まると「良質な情報」も入り、益々生産性が上がり「良質な時間」を手に入れることができるようになるのです。

 すなわち「人・物・金・情報・時間・その他の経営資源」の善循環が始まるので、竜巻現象(スパイラル現象)が起こり、廻りを巻き込んで企業は上昇気流の乗ることができるのです。

■ 「数は力なり」 量と質の善循環

 これは、私どもの経営コンサルタント団体でもいえます。会員数が増えると、専門性という面でもバリエーションが増え、益々専門性が高まり、それに伴い質も高まってゆきます。

 経営環境の変化から、企業が求めるニーズも変化して来ています。高いレベルのコンサルティングが求められているのです。そのために、有能な経営コンサルタントでさえも一人ではそのニーズに対応できなくなってきています。クライアントのニーズに応え、満足度を高めていただくためには、専門性の高い経営コンサルタントによる組織的な対応が必要なのです。

 組織的な対応により質の高いコンサルティングを提供できるようになります。それに伴い、クライアントがクライアントを紹介してくれるようになってゆきます。知名度が高まると、新たに有能なコンサルタントが入会するようになります。

 企業が竜巻現象を起こせるように、私どものような団体でも「量が質を高める」善循環に繋がるのです。トップの業務の中でも「トップ営業」の重要性を常に意識をして、人脈作りを平素から行う必要があります。

■ 無償の愛

 世の中には、自分の主張はするけど、自分は人に迷惑をかけていることすら気がつかない人もいます。その様な人の多くは、相手の好意にも気がつかず、感謝の念を持つこともありません。

 親は子供に対して無償の愛を提供することにより、子供はすくすくと育ってゆきます。

 近年、いじめが、横行とまではいきませんが、マスコミを賑わすことが多い社会現象の一つです。親が親になりきれず、泣き声がうるさいなどと親の本分を忘れてしまってしまっているのではないでしょうか。

 親が子供に対して、これだけのことをやってやっているのだから、親の言うことをきいて泣き止んで当然だというギブ・アンド・テイクの考え方かもしれません。

 かつては、学校の先生も親の愛に近い、無償の愛で生徒に接してくれていたように思えます。残念ながら、多くの先生が近年はサラリーマン化してしまっているような気がします。

 残念ながら、私どもの経営コンサルタント団体でも、「会費を納めているのだから、協会は会員のためにもっと何かをしてくれて当然」という会員の見方が大勢です。協会もそれなりの努力をしていますが、会員の要望に充分に応え切れていないことも否めません。

 協会側にもそれなりの理屈はあるにせよ、謙虚に会員の声に耳を傾けるべきだと考えます。

 その一つが、会員の悩みや解らないことに応談しています。

 経営コンサルタントが持つ悩みなので、結構レベルの高い内容であることが多いのです。そのために、応談者は相当なるエネルギーを投じています。応談者も実はボランティアですので、無償で対応しています。もし、応談者が何かを求めるようでしたら、莫迦らしくてこのような協力をしてくれないでしょう。

 ところが相談者の中は、「キチンと対応してくれて当然」という考えでいるのか、「ありがとう」というひと言が言えないのです。

 相手の気持ちを考えられない人に、経営コンサルタントは務まりません。

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■■【連載 経営トップ15訓】 第7訓 「人格高潔であらんと常に努力をする」

2016-07-19 12:03:00 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第7訓 「人格高潔であらんと常に努力をする」

 
経営コンサルタント歴35年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 


線-孫悟空

 

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる




 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 

第  訓
人格高潔であらんと常に努力をする

■ 企業イメージと第一印象

 「あの会社の商品なら安心だ」「あの会社の商品はどれを食べてもおいしい」等々の褒め言葉は、一朝一夕にしてできるものではありません。暖簾、ブランドの確立、すなわちブランディングは、信用の証でなければなりません。

 企業イメージの高揚として、CI(Corporate Identity)戦略というのがあります。企業イメージを浸透させるために、ロゴマークの統一的利用という基本から、コンプライアンスや文化活動など幅広い企業イメージ高揚戦略を総合した経営戦略の一つです。

 企業イメージというのは、瞬時にして変わってしまいます。東京電力株と言えば、かつては安定的に成長する優良株、高値株として、株の投資家が一度は買ってみたい株銘柄の一つでした。それが福島原発事故で、瞬時にしてそれまでの優良企業というイメージは崩壊してしまいました。

 かつて、一人の女性のうそがトヨタが自動車メーカーとしてのイメージを大きく崩されることに繋がったことがあります。その時に、トヨタはその女性が言うような事実はないことを証明することによって回復を始めました。当時販売を始めたばかりのレクサスは高級なサービスで販売を回復するという戦略も認められるようになりました。

■ 固定観念から離れる

 私たちは、第一印象で相手の人を判断してしまうことが多いです。しかし、それに固執していると、相手の人を正しく知ることができません。一方で第一印象は、平素の言動がそのまま反映されていることが多いので、平素から自分自身を鏡に映すことを忘れないようにします。

 それには、謙虚さが不可欠です。「自分はトップだから選ばれた人間なのだ」というような驕りは禁物です。謙虚に自分の言動を第三者の視点で見ることを心がける必要があります。それが結局「信用」を勝ち取ることに繋がるのです。

 ただし、謙虚さも度を過ごすと卑屈に見えたり、自信のないしぐさに見えたりします。やはりトップですので、威厳、といかないまでもそれなりの貫禄を感じさせることも大切です。ただし、それは作った所作ではなく、経験と実績に裏付けされた自信が滲み出てくるようなものでなければなりません。さもないと「うちのトップは本当に頼りになるのだろうか」と不安に思わせてしまうからです。

■ 信用を勝ち取る方策

 私たち経営コンサルタントにとっても、最も重要なことの一つが「信用」です。それを勝ち取る基本は「あの人なら信用できる」ということを常に証明し続けることです。とはいえ、それが難しいことです。

 クライアントの信用を勝ち取るために、契約後初めてクライアントを訪問したら、まず社員に挨拶をする機会を作ってもらいます。朝礼を励行している企業では、朝礼の時間にこちらが出向くことがポイントです。

 企業に経営コンサルタントが入ると言うことで、クライアントの社員は警戒をしています。その最初の挨拶で、相手を認め、自分の立場を理解してもらうことを述べるようにします。

 「○○社様のことを今後は”わが社”と呼ばせていただきます。わが社については私より皆様の方が先輩です。一方、私は色々な会社の色々なケースを見てきました。それを基に、わが社を良くする方策を皆さんと共に考えて行きたいと考えています」

 上記のような挨拶をすることを基本としています。

 すなわち、社長への提灯持ちではないことをキチンと伝え、平素から社長であろうと、取締役であろうと、是是非非で対応するようにします。ただし、相手も人間であることを忘れず、相手のプライドに傷を付ける言動はしないようにしています。経営コンサルタントといえども、上から目線は厳禁です。

 また、自分を大きく見せようと背伸びをし、虚勢を張るような言動も避けます。もちろん、虚偽をいうことも問題です。一旦うそをつくと、さらに次の嘘を重ねざるを得なくなることがあり、かえって信用を落とすことになります。

■ 真夜中の赤信号

 「真夜中の交通信号」ということが言われます。真夜中の人通りの少ない場所で赤信号になったときに、それを無視するか、信号が変わるまで横断することをしないかという判断です。

 私自身は、左右を確認して、車が来なければ渡っても良いと考えています。しかし、実際に渡ることはしません。そこで自分自身の精神力が試されているような気がするので、自分の精神鍛錬のつもりで待つようにしています。

 経営コンサルタントというのは、指導者ではなく支援者ですが、指導的立場にいることには変わりがないと考えます。人様に恥じない言動を平素から心がけていると、それが「信用」に繋がると確信しています。

 


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■■【連載 経営トップ15訓】 第8訓 密度の高い双方向コミュニケーションを心がける

2016-07-17 13:29:49 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第8訓 「各種会議を始め、全ての機会において密度の高い双方向コミュニケーションを心がける」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 


経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。



第  訓
各種会議を始め、
全ての機会において密度の高い
双方向コミュニケーションを心がける

■ 「人間関係」問題が女性社員のストレスに

 ビジネスパーソンであれば、コミュニケーションの重要性はキチンと認識していると思います。ところが、人間関係というのは、複雑であり、微妙でもあります。「人間関係」というのは、女子社員がストレスを感じるトップ項目でもあります。

 人間関係のこじれの原因の多くは、誤解であったり、無理解や情報不足などのコミュニケーションに起因することが多いので、平素からの言動に注意が必要です。

 社員(会員)は、それぞれが特質をもっているし、それが強みとなっている社員(会員)も多いのです。平素から、社員(会員)に対して敬意をもって接すると、人間関係も良好に保たれ、彼らからの情報が入りやすいというメリットもあります。

■ 企業と会議 - 会議は気づきの場

 企業においては、会議が多すぎたり、非効率であったりと会議に対する批判は多いですね。しかし、会議は不可欠な面もあります。部門間の調整であったり、新規プロジェクトの選定やその推進についての話し合いであったり、問題・課題の取り組みに三人寄れば文殊の知恵と言いますが、知恵を出し合ったりと、様々な面で会議は有益です。

 会議を論ずるときには、会議のコスト、とりわけ機会損失という面でのコストや利益ということを忘れてはなりません。

 会議の進め方で見ると色々なところに問題があります。

 会議でなくて、他の方法で代替できる場合があります。一堂に会する時間や労力、費用、機会損失などを考慮すると、会議でなくても良いでしょうし、テレビ会議システムを利用するなどの代替方法を採ることもできるでしょう。場合によっては文書決裁という方法もあり、会議そのものを亡くすことができるかもしれません。

 しかし、会議として必要な場合には、メンバーを最小限に絞るとか、事前に資料を配付しておくとか、審議に集中するための工夫をするとか、効率を高める方法があるので、その際用に取り組むべきです。

 会議のメリットは、他の人、とりわけ部門が異なったり、地域性、年齢、社歴等々の違いを実感できる場でもあります。自分とは異なった考えや意見を持つ人とから直接それを聞くことにより、自分自身の考え方を見直す契機にもなります。会議は気づきを得る場でもあるのです。

■ 双方向コミュニケーションの重要性認識

 会議を通して、相手の人柄や専門的知識・情報の新しい発見があることもしばしばです。言葉を直接交わしたり、聞いたりすることにより、発見の頻度や内容の質は一層高くなります。

 一方的に聞くだけではなく、こちらが聞きたいことに対して答えてもらうことにより、自分の考えとの違いや同意点などを知ることができます。これが双方向コミュニケーションの長所です。

 コミュニケーションには色々な手段があります。昨今、ビジネスパーソンにとって不可欠といえるほど一般的になっているのがメールです。メールについても様々と言われています。

 「最近の人は、隣の席の人にすらメールでコミュニケーションをとる」という声をしばしば聞きます。私は、「記録」という観点で、例え自分の秘書に対してでもメールを送るようにしています。その上で言葉で補足をします。

 受けた側は、忘備用のデータとしてそれを利用できますし、進捗チェックをする時に自分でも利用できます。

■ コミュニケーションのトラブル

 日本語力というか、国語の力が落ちている昨今、表現力が乏しかったり、まずかったり、行間を読めなかったりといろいろなところで相互に誤解が生じたり、無理解が発生したりとコミュニケーションにおけるトラブルが頻発しています。

 業務上に於いても、コミュニケーションの質が原因であることがあります。

 その一つとして、営業日報や報告を挙げてみましょう。日報を書く側、報告をする側は、半ば義務として書いています。自分はよく解っているので、相手も同様と勘違いをしてか、そもそも読み手・聴き手のことを念頭においていないで報告している場合が多いのです。省略した部分が、読み手・聴き手にとってはキーワードであったり、それがないために誤解をしてしまったりと言うことは日常茶飯事です。

■ メールによるトラブル予防策

 メールなど文字情報は、半双方向コミュニケーションであり、それを双方向コミュニケーションと誤解している人がいます。日報も同じように誤解されています。一見双方向コミュニケーションに見えますが、書くときは、一方通行のコミュニケーションです。相手が読めば、一方の意図は他方に伝わります。ただし、完全な意図伝達になっているかどうかは解りません。

 営業日報は、ポイントだけに絞って記述し、後は口頭報告で補足します。聴き手は、日報に自分の言葉で加筆して、理解を補います。すなわち、文書と口頭による異なった報告手段を併用して、なおかつ双方向コミュニケーションにより相互理解を深めることが必要です。

 重複するようですが、双方コミュニケーションという観点では必要なことです。フェース・ツー・フェースによるコミュニケーションと併用することが、理解度を高め、誤解を招くことが少なくなるでしょう。



 

 

 

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■■【連載 経営トップ15訓】 第9訓 「従来の延長線上での発想や先入観

2016-07-11 17:01:02 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第9訓 「従来の延長線上での発想や先入観に固執せず、建設的なプラス思考で取り組む」

 経営コンサルタント歴35年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 


線-孫悟空

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる



 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 

第  訓
従来の延長線上での発想や先入観に固執せず、
建設的なプラス思考で取り組む

■ 人間は本能的に保守的

 どれ程革新的な人でも、現状の全てを変革しようとは考えていないでしょう。そこに落とし穴があって、従来の延長線上での発想となってしまいかねません。

 経営コンサルタントとしてクライアントを訪問した折に、「あれ、この人は変なやり方をしているな」「なぜ、この人はこの業務をやっているのだろうか?」と奇異に感じることがあります。

 それを問うと「これまで、このやり方で問題が起こったことがなかったから・・・」「先輩がやっていたので、そのまま引き継いでいます」という回答が返ってくることが多いのです。

 また、私どもは先入観に固執するところがあるように思えます。「あの人は、○○大学を出ているので、あの人がやっていることは間違いなかろう」と考えて、その人の行動をチェックしないことがあります。

 文書を書いた後、読み直し、訂正をした後で、再度確認をしているときに、それにもかかわらず変換ミスを見落としたり、誤字脱字に気がつかなかったりすることがあります。

 「人間はミスを犯す動物である」ということを忘れてしまうと、部下が同じミスを繰り返したときに「何度同じミスをやるのだ」とついつい叱責をしてしまいます。

 「人間はミスを犯す動物である」と諦めてはならないのです。現状を肯定してばかりいると、人間は進歩から見捨てられてしまいます。

 同じミスを再び起こさないために、方法論を変えたり、チェック方法を改善したりと、いろいろな方策をとってもミスは起こりがちです。単純ミスほど、そこから脱することが難しいです。また、単純ミスほどチック方法が限定されてしまいます。

 それは同じ思考回路でチックをするからです。企業においては、製造部門と検査部門とを別にするのは、思考回路が異なる人の目を通すことにより単純ミスの発生を防ごうとするからです。

■ 「新幹線理論」で自分を見る

 他の人や他の部署の意見を聞くなど、従来とは異なることをやることにより、気づきがあるでしょう。独善的な人は、同じミスのスパイラルの中にいて、それすら気がつかないことが多いのです。

 これを「新幹線理論」と言います。

 新幹線に乗ると、始めはその速さに驚きますが、やがて時間が経過して、車内で本を読んでいたり、パソコンに向かったりしているうちに自分が拘束で移動していることを忘れてしまいます。

 登りと下りの列車が交差するときに、車窓を走る相手の列車を見て初めて、自分が拘束移動環境にいることを再認識させられるのです。

 日常生活や業務上に於いても、気づきを得る契機をたくさん持つことが必要でしょう。例えば、講演会やセミナーに出席してみるのも良いでしょう。それらは「知識や情報の収集」と考えている人が多いかと思いますが、セミナー内容の大半は、どこかで聞いたことがあることが多いでしょう。

 「つまらなかった」と言ってそれを結論にするのは「マイナス思考」です。

 それでがっかりするのではなく、話の中から自分が新たな行動を起こす契機を見いだせるように意識して耳を傾けると、セミナーに参加した意義を見いだすことができるのです。

 自分がマイナス思考をしているということは意外と気づかないものです。それどころか、「自分はマイナス思考する人間ではない」とい込んでいる人ほど、マイナス思考をしていることが多いのです。マイナス思考だと思って、自分自身がマイナス思考をしていないかどうかを鑑みる契機を捨ててしまっているのです。

 過去からの延長線上でものを考えたり、マイナス思考をしていないのかどうか、常に自分自身に問いかけることが必要です。

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■■【連載 経営トップ15訓】  第10訓 「社員(会員)の協力はボランティア精神に基づく”好意”

2016-07-08 13:27:23 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第10訓 「社員(会員)の協力はボランティア精神に基づく”好意”であることを忘れない」

経営コンサルタントを使いこなせないで 経営者・管理職と言えるか!! 

線-孫悟空

         経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


 
第 10 訓

社員(会員)の協力はボランティア精神に基づく”好意”であることを忘れない


■ 上から目線の回避

 一般企業の社員というのは、その企業のために仕事をし、その対価としての報酬を受け取るという契約です。社員は、上司の指示命令の下に活動するのが原則です。

 雇用側も社員も「労働と対価」の問題で、契約上では対等であると思い込むと、実は対等ではなく、上から目線で社員を見ていることになっていることが多いのです。

 社員は、雇用主の企業以外で働くことも選択できるのです。それにもかかわらず、たくさんある企業の中から、その企業を選び、そこで仕事をしてくれている事実を目を向けるべきです。そこにその人の「好意」を感じとり、感謝の念を持つことで、ようやく対等の目線で見ることができるようになります。

■ 経営コンサルタント団体のトップ

 私の処のような経営コンサルタント団体では、いわゆる労使契約とは異なります。会員に対して資格付与をし、それに見合った仕事を会員がクライアントに提供できるように支援していくことが役割です。

 社員に相当する会員は、法的には「社員」と呼ばれます。ところが一般の企業の社員のように指示命令で動く人達の集まりではありません。それどころか、「一匹狼」であったり、「一社の主」であったりするのですから、人の言うことに耳を貸すどころか、自己主張が中心な人達です。

 「会費というお金を払っているのだから、自分達がお客だ」という意識でもあります。理事長は、一般の企業の社長に相当するのですから、その人の言うことを素直に聞き入れてくれるかと思いきや、その通り実行してくれるわけではありません。それどころか、「お客に対して何という物言いだ」という反発すら受けます。

 「理事長は会員のための小使い」というような気持ちで接すると、上から目線で会員を見ることはなくなるような気がします。しかし「小使い」だからといって自分を卑下する必要はありません。「会員のメリット」を提供することが協会の任務であり、会員が活発にコンサルティング業務をできるような支援をすることに喜びを感じれば胸を張って仕事をすることができます。

 一般企業の役員といえば、高給取りで、重役出勤というイメージが強いです。ところが、私どものような団体では、役員である理事は無報酬のところが多いです。理事長や事務局長でも無報酬で業務に当たっています。

 無報酬の人達を使っていくことは、企業の役員の扱いとは異なります。「人を使う」という感覚ではなく、「理事さんに仕事をお願いする」という基本姿勢でないと、上から目線での口調になりかねません。

■ 部下の良いところを見る

 経営コンサルタントという本業を持っている理事ですが、全ての面でパーフェクトである人はほとんどいません。それぞれが長所を持ち、短所も持ち合わせています。

 その様な人達に仕事を”お願いする”には、上述のように上から目線で見ないことは当然のことです。私は、各理事の「良い面を見る」ようにしています。そして、それらを発揮できる業務を中心にお願いするようにしています。各理事は、自分の得意分野であったり、長所であったりする部分での業務ですので、比較的快く引き受けてくれます。

 中には理事長の立場から見ると、理事としての業務を充分にやりこなせていない人もいます。その場合にはコミュニケーションに気をつけます。

 「お願いする」という基本姿勢だけではその状況が改善されないことがあります。その場合にはフェース・ツー・フェースを基本とします。フェース・ツー・フェースによるコミュニケーションですと、メールなどとは異なり、相互に言い方を工夫し、感情を抑えるところは抑えるように自制心が働きます。

 一般企業のトップのように、叱責したり、大声を上げたりするのは、最後の最後の、最後の手段と心得るべきです。企業の役員なら、簡単には辞めることはありませんが、私どものような団体の役員は、会員として留まらなくても自分一人だけでもやっていけるような実力を持っていますので、退会しようと思えば、いつでも容易に退会できます。

 折角得た人材を、失うことは大きな損失です。

 平素から、相互の信頼関係を築いていることが重要です。しかし、信頼関係というのは永続するものではないので、常に信頼関係を高める努力を平素からしておく必要があります。


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■■【連載 経営トップ15訓】  第11訓 「基本重視の姿勢で、自己管理を忘れない」

2016-07-05 16:14:09 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】  第11訓 「基本重視の姿勢で、自己管理を忘れない」

 
経営コンサルタント歴40年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 

線-孫悟空

経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


 

第 11 訓
基本重視の姿勢で、自己管理を忘れない

■ スクエア・ツー・スクエア理論

 地震を経験したことのない人にとっては、大地が動く、揺れるということが信じられないと言います。

 「地に足がつく」という言葉があります。文字通り解すると、「大地に足がしっかりとついている」ということで安定しているという意味になります。ところが、一般的には、「あの人は地に足がついている」というときには、「堅実な人」というように、人の生き方やあり方の褒め言葉として使われます。

 「地」というのは、基本を意味します。「困ったことがあったら原点に戻れ」ということが言われますが、基本を大切にすることは、ビジネスだけではなく、全てのことに通じるでしょう。

 例えばゴルフを始めようとすると、地に足が着くように、自分にぴったりと合ったゴルフシューズを買うことが必要と考えます。ぴったりフィットしたくつを履いて、キチンとしたスタンスをとり、オーソドックスなグリップでクラブフェースを飛ぶ方向に直角に向けます。スイングは、バックスイングをゆっくりを行い、腰を使ってそのバネの力を利用してクラブを振り落とし、ボールに直角にクラブヘッドを当てて、頭を残したまま、フォロースルーを行う。

 これは、かつての名ゴルファーとして活躍したベン・ホーガンの「Square to Square」理論に基づいたゴルフの基本形です。

 基本を崩して自己流でゴルフを行うと始めは良かったとしても、成長があるところでストップしてしまいます。また、長い間にはスランプの時期を迎えることは、ゴルフだけではなく、全てのことに於いて通じることかもしれません。

 スランプの時に、何処が悪いのかを見極めて、修正することにより、早期にスランプから脱することができます。それが「基本に戻る」ということです。自己流では、何が基本なのか「ものさし」がわからないのです。例え解ったとしても、そのもの差しが正しいかどうかが解りません。

■ 複々線思考

 「当たり前のことが当たり前にできる」ことが重要です。ところが次第に初心を忘れ、創業時の意気込みがどこかに吹き飛んでしまっている経営者にしばしばお会いします。経営理念や創業期の思いをものさしにし、それを原点にすると基本(土台)がしっかりしているので、成長も、スランプからの回復もしやすくなります。

 基本の一つが、自己管理であり、その基本が「P-D-C-A」です。

 私の場合には、「(P-D-C)+SandA」と一般論とは異なることを基本にしています。「Plan-Do-Check」は同じですが、その結果「Action」に繋げるのではなく、Check内容を基に次の「Plan」に入ります。

 私どもの行動は連続していますので、計画Planと実績Doの結果を分析するCheckことをしたら、分析結果に基づき、その改善策の計画Planを立てるのです。そしてPlanの段階にも「Plan-Do-Check」が、Doの段階にも、Checkの段階にも同様に「Plan-Do-Check」があるのです。

 そして「P-D-C」の各段階で、それぞれを行うためのSchedulingや関係者との関係や方法論や思考方法のAdjustingが必要となるのです。

 私たちは、一つの仕事だけをやっているわけではありません。複数の「(P-D-C)+SandA」というスパイラルを並行的に行わなければ成りません。すなわち、私たちには「複々線思考」が求められているのです。

■ トップの自己管理

 複々線思考の下に、自己管理をします。その時に、個人なら「自分の生き方」とか「目指す方向」というものさしや羅針盤という基本と照らし合わせて、できる限り遠回りをせず、正しい近道を歩んでいくことが大切です。

 企業で言えば「経営理念」や「社是・社訓」等々が基本となるものさしです。

 トップとして、自分のものさしをもって、自己管理をしないと、周囲の人は親身になって誤りを指摘したり、アドバイスをしたりしてくれません。「トップは孤独である」と言われるように、その立場をキチンと理解し、自分を律していけなければトップの資格はないといえます。

 トップに限らず、経営コンサルタントに取っても重要なこととして「気力・智力・体力」という「三つの力」を大切にしたいと考えています。

 「智力」は経営コンサルタントに取って不可欠なことです。斬新なアイディアを提供できるためには、その源泉となる知識と智慧が必要です。これを合わせた力のことを私は「智力」と言っています。

 いくら智力を持っていても「体力」がないとトップの役割は務まりません。トップというのは、精神的なプレッシャーと共に、行動で社員(会員)に示すお手本ですので、行動力が必要です。行動力の源泉が「体力」であると考えます。

 しかし、体力があるだけでは行動力として力を発揮できるわけではありません。智力を持ち、体力があっても「気力」がないと、それを行動に移せません。行動し、結果を出すのがトップであり、プロフェッショナルです。

 三力(みりょく)のあるトップは魅力的です。



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■■【連載 経営トップ15訓】第12訓 利益は社員の汗の結晶

2016-07-02 19:37:14 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】 第12訓 「利益は社員の汗の結晶であることを肝に銘ずる」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 


経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。


  第 12 訓 

 

利益は社員の汗の結晶であることを肝に銘ずる


■ 給料に見合った仕事をしていますか?

 ある社員は、通勤ラッシュを避けて、毎朝5時起きで会社に向かっています。電車が空いているので、座ることができるため、自分のやりたいことができます。メールを見たり、書いたり、新聞やスマートフォンで情報収集をしたり、読書をしたりと移動する書斎として利用しています。

 ある営業パーソンは、寒さ暑さの中、くつをすり減らして営業活動に必死です。時として客先で怒鳴られ、納期を迫られ、時には間に合わないからと自分で納品までして体当たりで仕事をしています。

 トップが、クーラーが効きすぎるような社長室で、パターの練習をしていたのでは、何のためのトップか解りません。トップが、トップとしての業務をキチンとすることで社員の努力が報われるのです。

 業務価値に見合った報酬が、社員の納得に繋がり、モラールを高め、成果として出てきます。トップは高給を取ってはいるが、それに見合った業務をしていないのでは、社員のモラールは上がりません。社員の血と汗と涙の結晶が、企業の収益として評価されます。

■ 経営コンサルタントの年収

 私どものような非営利団体では、会員が納める会費が活動費の源泉です。経営コンサルタントの平均年収は2000万円とも3000万円ともいわれ、いわゆる高収入な職業の一つです。

 1億円ともいわれる年収の経営コンサルタントもいます。高級な人が経営コンサルタント業の年収平均額を押し上げていて、実際に年収が1000万円を超えている人は50%にも満ちません。すなわち、平均年収ではなく、中位数で見ると6~700万円位か、あるいはそれより少ないかもしれません。

 年収が500万円に達しない人は4人に1人と結構多いのです。特に私たちの組織で経営コンサルタント資格認定を受けたばかりの経歴の浅い経営コンサルタントは、まだまだ仕事が軌道に乗らず、年会費を納めるだけでも四苦八苦をしています。その様な人達が納めて下さった会費を、高給取りの協会トップ達が湯水のように費用として使うことが許されて良いのでしょうか?

 会費に見合った、あるいはそれ以上のメリットを、会員が感じない限り、一旦入会してもすぐに退会してしまいます。

■ Going Concern

 残念ながら、かつて、私どもの協会は、トップが高給を取ったり、「会員接遇費」と称して、会員を高級クラブに連れて行ったりして、会員の「血と涙の結晶」を浪費してきました。それでも、トップが会員の満足度の高い業務をしているのであれば納得もできます。

 ところが、次第に会員が現状に嫌気を差し、一人去り、二人去りして会員減少が始まりました。雪だるま式に会員数が減少し、知名度が下がり、やがて協会の解散論をも真剣に論議をする程、協会の体力がなくなってしまいました。

 「Going Concern」ということを企業に求める私たち経営コンサルタントですが、自分達の足下である組織が崩壊するようでは、クライアントからの信頼を勝ち取り、維持することはできません。

 変革のための提案をすると「俺たちを批判するのか」というトップでは、変革も起こりません。たまたま提案を受けて、行動を起こし、成果が上がると、それを自分の手柄として偉そうに会員に言い廻ります。

 私たちは、先輩コンサルタントからいろいろなことを学ぶことができるから、年会費を払い、資格維持のための条件を満たして会員としてやってきました。このような状況下では、先輩トップからは「反面教師」として学ぶことはあっても、他に得るところがないような組織であっては、会員でいる価値がないのです。

 謙虚さを忘れず、会員の声に耳を傾けるべきです。耳を傾ける行為は、社員(会員)に好感を与えます。それだけに形式だけの傾聴はすぐにメッキがはげることを知っておくべきです。平素から社員(会員)に対する思いやりを欠かさないことが社員との信頼関係を築くことに繋がります。

 提供するもの、社員であれば労働、私たちの協会会員であれば会費に見合ったメリット、対価を提供し続けることが、その企業や団体の永続性ある成長に繋がると考えます。

ダイヤ青 電通鬼十訓トップページ
ダイヤ青 はじめに
仕事は自ら作るべきで、与えられるべきではない
2  仕事は先手先手と働きかけていくことで、受け身でやるものではない
大きな仕事に取り組め、小さな仕事は己を小さくする
難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある
取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは
周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地の開きができる
計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして、正しい努力と希望が生まれる
自信を持て、自信がないから君の仕事には迫力も粘りもそして厚みすらない
頭は常に全回転、八方気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはその様なものだ
10 摩擦を恐れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと、君は卑屈未練となる
附1 電通「責任三カ条」
附2 電通「戦略十訓」

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■■【連載 経営トップ15訓】  第14訓 「感情に走ったままで行動を起こさない」

2016-03-11 08:34:00 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】  第14訓 「感情に走ったままで行動を起こさない」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 


経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。



 

第 14 訓

感情に走ったままで行動を起こさない

■ 売り言葉に買い言葉

「人間は感情の動物である」と言われます。ちょっとした言葉上の表現方法で相手の感情を傷つけることが時々あります。いわゆる「売り言葉に買い言葉」ということも起こりえます。

 ある人が、私のことを「性急」だと言いました。私は、拙速と言うことも必要だと考えていますが、彼の仕事への考え方は「巧遅」しかないので、私は、彼の仕事のやり方に我慢に我慢を重ねています。「性急」だと言われて、思わず「そういうあなたには、その反対の言葉を返したい」と言いそうになりました。幸いに、強い表現を使わずに思いとどまることができましたが、もし、その言葉を発していたら、彼は私の許を去って行ったかもしれません。

 別のある人は、「理事長は、他の人より一周早く廻っているのに、それでも全力疾走を続けている」と言って私を諫めてくれました。これには返す言葉もなく、全社の人と都同じことを言っているのですが「反省の契機を与えてくれるとは、なんとうまい表現をする人だろう」と感心するほどでした。

■ 一呼吸を置く


 私のところの協会では、各理事が自分の本業を持っているので、一般の企業の役員のように会社の会議室や役員室に一堂に会することは年に数えるほどしかありません。そのために、通常の業務はメールでやりとりをします。緊急性あるときには電話を利用するし、会議はSKYPEなどネット・インフラを利用します。

 メールというのは大変便利ですが、微妙な問題や感情が絡むようなときには要注意です。感情が高ぶったままメールを書くと、ひと言余計なことを書いてしまったり、表現がきつくなったりしてしまいます。

 自分にとってあまり良い感情を抱けないような要件の時には、メールで返事を書いても、すぐに発信せず、翌日再び読み直すことにします。その時に、「こんなことを言って良いのか、自分が言われたらどうか」という視点を忘れないようにして読み直します。すると、こちらの言いたいことをきちっと伝えることもでき、相手を傷つけなくても済むような表現が思い浮かぶことが多いのです。

 別のあるとき、ある会員が「○○先生は、大企業を定年で退職したので、いまだにサラリーマン根性が丸出しだ」と憤慨していました。その時に、不用意に、「私だってそうだし、先生も時々そういうことがありますよ」と言ったのが彼の気分を害してしまいました。その結果、彼は私とは疎遠になってしまいました。

 一旦発してしまった言葉は取り返せません。それを心していると、比較的人とのトラブルを回避することができるような気がします。

 

 

 

 


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■■【連載 経営トップ15訓】  第15訓 「業務の標準化をはかれるようにマニュアル化・文書化

2016-03-10 13:27:06 | 経営トップ十五訓

■■【連載 経営トップ15訓】  第15訓 「業務の標準化をはかれるようにマニュアル化・文書化により常に一定レベル以上の会員サービスを行えるようにする」

 グローバルな視点の経営者・管理職 

 


経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる


 経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。

 私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。

 理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。

 まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。

 



第 15 訓
業務の標準化をはかれるように
マニュアル化・文書化により
常に一定レベル以上の
サービスを行えるようにする

■ マニュアルは「共用」して活きる

 永年、経営コンサルタントをやってきて、クライアントの業績がいったんは良くなっても、契約が切れてしばらくすると元の木阿弥に戻っているという苦い経験を何度かしてきました。

 そこで業務の標準化と共に、マニュアル化を徹底させるようにしています。

 マニュアルというのは、マニュアル通りのことしかできなくなってしまうという弊害が取りだたされます。それは、マニュアルが唯一無二のもので、その改訂の仕組みがないことが問題なのです。マニュアルは、改訂に改訂を重ねて、全員が利用しやすいようにしてゆきます。

 すなわち、社員の成長と共にマニュアルも成長していくことがポイントです。私は「マニュアルは共有するのではなく、共用するもの」と考えています。皆が使っていれば、マニュアルの不備ややりづらさなどが表面化してきます。それを無視しないことがマニュアルの活用に重要なのです。

■ 当然と思われる「標準化」の重要性を際し認識しよう

 マニュアルを共用化する前に、業務の標準化が重要です。その中の一つが文書規定です。文書の書き方に一定のルールが適用されると統一した様式で社内文書を作成でき、見た目だけではなく、利用もしやすいのです。

 例えば、文書のフッターに文書名を入れておくと、検索するときに短時間で見つけることができます。

 ファイル名の付け方もルール化しておくと、ファイル名でソートを掛けただけでファイル名から目的の文書を見つけ出すことも容易です。

 このような身近な簡単なことでも、ルール化していると業務効率は高まります。

 しばしば、「経営は複雑なのでマニュアル通りとか理論通りやってもうまくいかないことが普通である」と言われます。これはまさにその通りで、企業が10社あれば、10通りの経営があるべきであり、一つの企業でも、環境の変化等で経営も変化してしかるべきです。

■ 管理職はルールを破るために存在する

 マニュアルや経営理論に固執して経営を行うとマンネリ化が生じます。もし、社員(会員)がマニュアル通りに業務遂行をしていないときには、社員に注意を促すと共に、「マニュアルがおかしのではないか」と疑うことも必要です。

 同様に規則・ルールも、もし、遵守されないことがあれば、規則・ルールも疑うべきです。状況によってはルール通りやっていては機会損失を起こすことがあるでしょう。「管理職はルールを破るためにいる」と考えています。管理職に臨機応変さがなくなると企業にフレキシビリティがなくなってしまいます。

 定年退職をするときに「○十年間、大過なくサラリーマン生活を続けてこられたことは私の誇りです」というような挨拶をする人には、私はなりたくないと思っています。いままでとは異なることをやろうとすれば、既存の考え方やルールが相容れないことも多々あります。積極的に何かをやれば失敗もあります。私は、「有能な管理職は始末書をたくさん書く」と考えています。

 トップはいつまでもトップにいるわけではありません。大企業なら、トップが変わる毎に、新トップらしさが生きることが多いです。ところが、中堅・中小企業では、トップの経験を引き継ぐことにより、さらに上を目指せることが多々あります。

 トップの引き継ぎ書等というの聞いたことがないですが、トップのノウハウを引き継げるように工夫をする必要があると考えます。その実現はできていませんが、心しておきたいと考えています。


 

 



 


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