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【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-7 槐門棘路 人の上に立つ心構え ~ 三公九卿のような高位・高官 ~

2024-05-18 12:03:00 | 【心 de 経営】 経営四字熟語・名言

  【経営四字熟語で目から鱗が落ちる】1-7 槐門棘路    人の上に立つ心構え ~ 三公九卿のような高位・高官 ~  

 

 
  四字熟語というのは、漢字四文字で構成された熟語であることはよく知られています。お恥ずかしいながら、その四字熟語というのは、すべてが中国の故事に基づくものとばかり思っていましたが、実はそうではないことを発見しました。
 経営コンサルタントという仕事をしていますが、その立場や経営という視点で四字熟語を”診る”と、今までとは異なった点で示唆を得られることが多のです。「目から鱗が落ちる」という言葉がありますが、四字熟語を講演や研修の場で用いたり、自分の仕事や日常会話に活かしたりするようにしましたら、他の人が私を尊敬といいますとオーバーですが、自分を見てくれる目が変わってきたように思えたことがあります。
 四字熟語の含蓄を、またそこから得られる意味合いを噛みしめますと、示唆が多いですので、企業経営に活かせるのではないかと考えるようにもなりました。これを「目鱗経営」と勝手に造語し、命名しました。
 以前にも四字熟語をご紹介していましたが、一般的な意味合いを中心にお話しました。このシリーズでは、四字熟語を経営の視点で診て、つぶやいてみます。以前の四字熟語ブログもよろしくお願いします。

■1-7  槐門棘路    人の上に立つ心構え
     ~ 三公九卿のような高位・高官 ~


「槐門棘路(かいもんきょくろ)」の「槐」は「えんじゅ」という木を指し、古名は「えにす」です。広辞苑には下記のように説明があります。
【広辞苑】 槐
 (ヱニスの転)マメ科の落葉高木。中国原産。幹の高さ約10~15メートル。樹皮は淡黒褐色で割れ目がある。夏に黄白色の蝶形花をつけ、のち連珠状の莢(さや)を生ずる。街路樹に植え、材は建築・器具用。花の黄色色素はルチンで高血圧の薬。また乾燥して止血薬とし、果実は痔薬。黄藤。槐樹。「槐の花」の季語は夏。


 「槐門」は大臣の別称のことです。「棘」は、「刺(とげ)」と同じ意味で「いばら」を指します。これを「おどろ」とも読みます。広辞苑では、「草木の乱れ茂ること。また、その場所。髪などの乱れたさま」とあります。「棘々(おどろおどろ)しい様」などと、怖いほど乱れた様子を表現するときに用います。
「棘路」は音読みでは「きょくろ」で、「おどろ‐の‐みち【棘路】」と読みます。
【広辞苑】
(1)草木の乱れ茂っている道。
(2)公卿(くぎょう)の異称。「九棘」よりでた語
「槐門棘路(かいもんきょくろ)」とは、大臣などを指す「三公」と「九卿(きゅうけい)」への道は、棘(いばら)の道のごとく厳しいということから、「三公と九卿」という位やそれに準じるような位の高い人を指します。このことから「槐門棘路」は、「国政などを預かる最高幹部のこと」を指すようになりました。(四字熟語辞典)
「槐門棘路」の二文字をとって、「槐棘(かいきょく)」と略して言うこともあります。歴史的に見ますと、周代、朝廷に三槐を植えて三公の座位を示し、九棘を植えて九卿の座位を示したと言います。そのことから「三公九卿の位。公卿」を指すようになりました。
 ある団体が、停滞時期の底を迎えた時に、役員達は「拱手傍観(きょうしゅぼうかん)」「袖手傍観(しゅうしゅぼうかん)」、「手をこまねいてなにもしない」、ただ傍観するだけでした。何ら手を打とうとしないトップ達に満足できないある人が担ぎ出されて、新しいトップが誕生しました。新体制の基で、大なたを振るい、活性化が進みました。その時に、私は「槐門棘路」という言葉を思い出しました。国政、この場合は、ある法人団体の最高幹部は、上に立つ人の力量で大きく変化するものであることを実感したのです。
 私はおばあちゃん子で、祖母から色々と学びました。他所でも紹介しましたが、「稔るほど、頭を垂れる稲穂かな」もその一つとして教えられました。小学校高学年だったと思いますが「槐門棘路」という言葉を併せて覚えるように言われたのです。何かの呪文かお経のように一所懸命覚えました。当然その時には詳しい意味はわかりませんでした。
 祖母は中学二年の時に急逝してしまいました。後に学校や社会人になってから、私が色々な場面で大役を仰せつかったときに、この言葉を反芻したことを覚えています。そしてその大役を仰せつかったことは、自分自身を見直す良い機会となってきました。トップは、「座右之銘(ざゆうのめい)」を鏡とし、自分自身を常にその鏡に映して反省をする必要があることを認識しました。
 因みに「座右」は「座っている自分の右」ということから「身辺、身の回り」を指します。すなわち、「座右に置いて毎日のいましめとする格言(広辞苑)」のことで「座右銘」ともいいます。
 企業トップの心構えと言うことでは、いろいろなことが言えるかもしれませんが、その一つとして「君子三楽(くんしさんらく)」という四字熟語が挙げられます。
 「君子三楽」は孟子の言葉です。「君子」は、教養もあり、徳を持つ人格者のことです。「三楽」は、3つの楽しみですから、「君子の三つの楽しみ」と解すことができます。
 孟子の言う3つの楽しみとはなんでしょうか?
「父母倶(とも)に存し、兄弟故(こ)無きは一の楽しみなり」が最初に出てきます。両親が健康で過ごしていて、兄弟が元気に暮らしていることです。「故」は「故人」とか「物故(死亡)」というように使われ、「故」は、色々な意味がありますが、ここでは広辞苑の下記2)に相当します。
1)[易経(雑卦)「革は故(ふる)きを去る也」]古いものごと。
2)死ぬこと。また、すでに死んだ人をよぶ場合に冠する語。源氏物語(桐壺)「―大納言今はとなるまで」
 第二の楽しみは、「仰いで天に愧(は)じず、俯(ふ)して人に乍(は)じざるは二の楽しみなり」です。「その行いが、地上を見下ろし、何もかも知っている”天”に対しても恥じることもなく、下から見上げる「地」から見ても、やましいことをしていない。したがって、堂々と人生を生きていけるので、これほどの楽しみはない」と云うことを言っています。
 第三は、「天下の英才を得て之(これ)を教育するは三の楽しみなり」で、特別な説明を要しないと思います。世の中の英才を相手にして、彼らを育てることを孟子は第三の楽しみとしています。
「君子三楽」からは大きく脱線してしまいますが、「壺中之天(こちゅうのてん)」という四字熟語が後漢書にでてきます。ユートピアのことを指しますが、俗世から離れた別天地ということから、酒を飲んで俗世の憂さを忘れるという意味でも使われます。
 中国後漢時代のことです。薬売りの老人がいました。昼間はせっせと薬を売るのですが、帰宅すると壺の中に入っていきました。壺の中には、宮殿があり、ごちそうやお酒がテーブルにいっぱい置かれていたそうです。お酒のみには、よだれが垂れるような四字熟語ですね。
 しかし、努々喜んでばかりはいられません。「荘周之夢(そうしゅうのゆめ)」とも「胡蝶之夢(こちょうのゆめ)」とも言います。夢と現実がはかないこと、人生のはかなさを言う四字熟語ですが、壺中之天で、舞い上がっていますと、荘周之夢になりかねません。
 荘子(斉物論)にでて来るのですが「荘子が夢で胡蝶になって楽しみ、自分と蝶との区別を忘れたという故事から)現実と夢の区別がつかないこと。自他を分かたぬ境地。また、人生のはかなさにたとえる。蝶夢。(広辞苑第六版)」という説明でこの四字熟語が良く理解できますし、心しなければなりませんね。因みに「荘周」は道教の始祖の一人とされる思想家の荘子の別名です。
 喜びという点では「一喜一憂(いっきいちゆう)」があります。「ちょっとした状況変化に喜んでみたり、悲しんでみたりと周囲の状況変化に振り回される」ことをいいます。
 また、「歓天喜地(かんてんきち)」も思い浮かべます。「天に歓(よろこ)び、地に喜ぶ」ということからも想像できますように「大変な喜び」を表します。同様に「欣喜雀躍(きんきじゃくやく」は、「雀が踊るように欣喜(大喜び)する」、「狂喜乱舞(きょうきらんぶ)」も「狂って乱舞するほどの喜び」という同じような意味の四字熟語です。そのようなときには、人間の顔は「喜色満面(きしょくまんめん)」、すなわち「顔全体に喜びが溢れ隠せない」ことを意味します。
 多少意味は異なりますが「得意満面(とくいまんめん)」という四字熟語もあります。また「有頂天外(うちょうてんがい)」という四字熟語があります。「有頂天になる」という言葉がありますが、有頂天外は、その外側にあるという、喜びのあまり我を忘れてしまうことです。「有頂天」とは、仏教では「三界(さんがい)の最上位の天」ということですので、そこまで上り詰めたような大きな喜びを指します。
 人の上に立つ者としては、有頂天外の喜びが日々続くようですと、それこそ有頂天外ですね。
「顔」ということでは「鬼面仏心(きめんぶっしん)」という四字熟語があります。「見た目には鬼の顔のように怖いのですが、心の優しい」という意味です。その逆が「人面獣心(じんめんじゅうしん)」です。「人の顔をした獣」、こわいですね。
 
 
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