青空Green倶楽部

時々意の趣くままに・・ミヤンマ―・国際・政治・経済・温暖化or寒冷化・限界集落etc

民主主義国と権威主義国

2023-05-26 13:21:24 | コラム



 民主主義国家は主権が国民にあり民主制の国家です。権威主義国家は民族を基礎として成立し指導者によって体現し国民はこの権威に無条件に服従する国家です。政治学的には非民主主義国家と捉えたり民主主義と全体主義の中間にある国家と捉えたり確かな定義はないようです。上図のように民主主義国家には完全な民主主義国家と欠陥のある民主主義国家の濃淡があり権威主義国家には権威主義国家とハイブリッド体制の国家に分類できます。                                                                

 中米の覇権争いにロシアのウクライナ侵攻等でグローバル化による共通の経済的利益より地政学的な国家安全保障上の懸念から民主主義国家と権威主義国家の分断が緊張をもたらしています。スエーデンのV-Dem研究所の調査報告書によれば民主主義国家の政治形態は最善とは言えないが「望ましい」のですが世界では少数派で人口比で30%に過ぎないのです。民主主義国と権威主義、独裁国家の構図で見た場合は約23億人対56億人で多くが権威主義独裁国側の国で生活しているのです。

 日本は2022年のV-Dem研究所の民主政治ランキングで179カ国中28位です。1位はスエーデン 2,デンマーク 3,ノルウェー 4,コスタリカ 5,ニュージーランド 7,スイス 9,ドイツ 14、オーストラリア 16、フランス 19、イギリス 24、カナダ 29、アメリカです。民主主義国家の各国で政治不信やポピュリズムの高まりや格差もあり、日本では少子高齢化に伴う人口減少や巨額の公的債務等難問が山積しています。

 オックスフオード大の国際統計サイト「Our world in data」2021年の時点でも「自由民主主義国」は34カ国「選挙による民主主義国」は56カ国で意味ある選挙を実施している国は90カ国です。「選挙による独裁国」は63カ国で「閉鎖的独裁国」は46カ国です。合わせて109カ国で権威主義国家が民主主義国家より多いのです。2021年の世界人口78,8億人のうち民主主義を享受しているのは23億人(29%)で71%の55,6億人が投票権の保障を充分受けていないのです。

 民主主義国でも米pew research centernのデータで民主主義国34カ国で市民の52%が自国の民主主義の機能、仕方に不満があると答えています。満足は44%です。不満のあると回答した割合の高い国はイギリスで69%、アメリカで59%、フランスで58%、日本で53%の回答者の過半数が自国の政治に不満を抱いています。自分たちで選んだ政治家に猜疑心を抱いている。代表として選んだ大統領、首相、国会議員が民意を理解していない。既得権益の利益を優先する。有権者の多様な利害と価値観が政治に反映されていないと回答しています。

 民主主義国家に分類されている事と有権者の満足は別物で選挙に対する不信感に民主主義的手法に対する不信、不満につながっています。完成した民主主義体制は存在していない。権威主義国家、強権国家が経済的台頭し軍事力と発言力が増す中で自由と民主主義の価値観をいかに広げていくか正念場を迎えています。

写真はstatista転載です。

 

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グローバルサウス(global south)

2023-05-14 17:40:51 |  ドキュメント



 グローバルサウスとはインドやインドネシア、トルコ、南アフリカといった南半球に多いアジア・アフリカ・南米などの新興国や途上国の総称で主に北半球の先進国との対比として使われます。グローバルサウスの定まった定義はありません。経済大国になった中国は含まれない。欧米でもない中国でもないもう一つの国際軸として注目されています。

 欧米や日本の民主主義国と中国、ロシアの権威主義国との分断の国際社会の中で中立を貫いて動向を直視しています。冷戦時の東西双方の陣営と距離を置いた「第三世界」を表現するときにも使われます。実際の国土が南半球に位置しているかにかかわらず新興国全般を意味する場合もあります。

 国際通貨基金(IMF)によればグローバルサウスの新興国、途上国のGDPは40兆ドル台で先進主要国G7と逆転したのです。グローバルサウスの主要国インドで2023年1月に「グローバルサウスの声サミット」を開催し125カ国の代表者が参加しました。中国は招待されていません。

 グローバルサウスの国々は欧米先進国や日本とは違った目線で世界情勢を見ています。欧米先進国や日本はロシアのウクライナ侵攻を非難していますが欧米諸国や日本は過去に同じようにアジア・アフリカ諸国でひどい事をしてきた。グローバルサウスの国々は欧米諸国や日本のような目線でロシアのウクライナ侵攻を見ている訳ではないのです。

 グローバルサウスの国々はグローバル化に伴い人権問題や安価な労働力、天然資源の採掘による環境破壊に資源や農産物の枯渇や地球温暖化による海面上昇等々グローバルノース(先進国)の豊かさの影で多大な犠牲になった側面もあるのです。

 米中の覇権争いや民主主義国や権威主義国に是々非々で立ち向かい経済力も増し国際発言力もより一層増すことになるでしょう。特にグローバルサウスの代表格のインド外交が注目されています。GDPもまもなく日本を追い抜くであろう経済力も伴ってG7にもロシア・中国の2極にも全方位で対峙しています。

 日本のNHKなど劣化TVラジオメディアはほぼ無意味な野球や相撲やスポーツの勝敗やお笑い芸人番組で大騒ぎし一元的で正確な報道をしていない。過去の先進国の戦争や植民地支配や現実の貧困や格差、特に欧米諸国の治安や風俗の乱れやグローバル企業の搾取等々問題も多い。グローバルサウスの国々がもう少し全うな国際社会になるように貢献される事を願っています。

 写真はSocial Eurpe 転載

 
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