すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【ロシアW杯最終予選】ハリルジャパンの敵は「自分」だ

2016-09-17 09:42:52 | サッカー日本代表
ミスさえなくせばアジアでは勝てる

 最終予選の行く末を予想するとすれば、おそらく監督が考えるサッカーは実現できないまま、それでもグダグダのポゼッション・サッカーで日本は接戦をものにして行くのだろう。ハリルのサッカー(ハイプレス&ショートカウンター)はアジア相手では噛み合わないのだから仕方ない。

 とすれば問題は予選突破したあとだ。本大会が始まるまでの間に、ハリルのコンセプトを浸透させ具現化しなければならない。それができるかどうかがカギだ。

 だがそんな先のことを考えるのでは鬼が笑う。とりあえずのハードルは最終予選突破である。

 いまの日本の現状は「相手の力が上でかなわない」というのではない。自分たちのミス(決定力不足や守備のミス)で苦戦している。つまり敵は自分だ。逆に考えれば監督が考えるコンセプトは実現できていないが、ミスさえなくせばアジアでは勝てる、ということだ。

 私はサッカーの内容にこだわりたいので「地区予選は結果がすべてだ」論にはくみしないが、予選突破が至上命題であることには変わりない。

 繰り返すが敵は自分だ。「初戦を落とせば突破率0%」などというマスコミの煽りに惑わされず、選手は自分に勝ってほしい。

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【ロシアW杯最終予選】本田のコンディション不良の原因は何か?

2016-09-16 09:40:31 | サッカー日本代表
スタメン固定のハリルは柔軟になれ

 本田は最終予選皮切りの2試合、UAE戦とタイ戦で明らかにフィジカル・コンディションがよくなかった。いったいなぜか?

 ひとつには所属チームのミランで試合に出てないこと。もしこれが理由なら、コンディションが戻るまでベンチに置いて待てばいい。そのぶん若手を試せていい。

 だがハリルはこういう発想ができない。

「ハリルは柔軟な監督だ」という触れ込みとは逆に、コンディションがよかろうが悪かろうが「本田=スタメン」という頭で凝り固まっている。少なくとも本田と香川の起用法に関しては、彼は「柔軟」とは真逆だ。だったら日本は「本田、香川と心中するのか?」という話になる。

 前回の記事で「香川と本田を切れ」と書いたのは、厳密には「スタメンから外せ」という意味なのだが、ハリルにはそれができない。ではどうするのか? 監督を替えるしかなくなる。この問題はハリルジャパンの致命傷になりかねないだけに深刻だ。他方、本田のコンディション不良が年齢からくる衰えなのだとしたら、考え込むまでもないだろう。

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【ロシアW杯最終予選】香川と本田を切れ

2016-09-13 10:17:20 | サッカー日本代表
「ザックジャパン化」の元を断つ

 ボールホルダーは突っ立ったまま「パスをどこへ出そうか?」とエンエン思案している。周囲の味方は動き出しがまったくなく、フリーランニングせず棒立ちのまま足元へボールを要求する。で、前が詰まったらバックパスしてやり直しーー。

 ハリルジャパンが最終予選で演じているのは、あのザックジャパンを彷彿とさせる鈍行列車みたいなこんなサッカーだ。遅攻の典型。あきらかにハリルが考えているサッカーとちがう。

 全員が前にスペースを見つけ、空いたスペースへ、スペースへと人とボールがスムーズに移動する。で、スピーディかつオートマチックにボールが縦へ運ばれていく。それがハリルの目ざすサッカーだろう。

 ハリルジャパンは過去の練習やミーティングでこの基本を積み上げてきているはずだ。なのに本番になると先祖返りしてザックジャパン化してしまう。

 なぜそうなるのか?

 ひとつは前回の記事でも分析したように、相手がアジアのチームだから(相手が引くので前にスペースがない)。そしてもうひとつの理由は、良くも悪くも「自分をもって」いる香川と本田が同時にフィールドにいるからだ。彼らがセットになると自動的にザックジャパン化する。世代交代の意味も含め、やはりどうしてもここに手を入れる必要がある。

 システムを変えないなら、香川の代わりに清武をトップ下に入れ、本田の代役には武藤を使う(本当なら本田はボランチで使いたいが)。これだけで人とボールの流れがスムーズになるはずだ。

 前にも書いたがハリルはいつか、あのときカズと北沢を切った岡ちゃんの役回りをすべき時がくる。それが遅いか早いかの違いだけだ(個人的には遅かったと考えている)。

 ハリルは香川と本田をアンタッチャブルな存在にしてしまっているが、最終予選での糞詰まりを直すには荒療治が必要だ。タイ戦で結果を出した原口と浅野も引き続き起用し、若返りを図って「勝負の流れ」を一気につかみたい。

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【ロシアW杯最終予選】ハリルジャパンはなぜうまく行かないのか?

2016-09-09 13:18:26 | サッカー日本代表
アジアの予選では過去の積み上げが生きない

 ハリルジャパンはアジア最終予選でなぜ苦戦しているのか?

 ひとことでいえば「サッカーには相手がある」ということだ。日本の志向するサッカーが、相手と噛み合っていない。

 ハリルが金科玉条にしてきたのは、ハイプレスからのショートカウンター。つまり「縦に速いサッカー」はワールドカップの本大会で強豪国とやるとき生きるスタイルだ。

 たとえばドイツやスペインなど強豪国はポゼッションしてくる。これを日本の側からみればどうか?「相手にボールを持たせ」て高い位置からプレスをかける。で、ボールを奪ってショートカウンターをかける、という発想が成り立つ。

 ヨーロッパ至上主義のハリルからみれば、倒すべき相手はドイツやスペインだ。彼にとってはワールドカップの「本大会」でドイツやスペイン相手に勝って初めて「勝った」といえる。それこそがハリルにとっての自己実現である。ゆえに彼は強豪国を倒すための戦術、すなわち「縦に速く」、「前からプレスを」、「ボールを取ったら少ないタッチ数で攻めろ」というコンセプトを組み上げ、選手に注入してきた。

 逆にいえばハリルにとってアジアなどという「世界の辺境」はもともと頭になく、ゆえにアジアの国を倒すための戦術なんぞは考えたくもない、いや眼中になかった。だから監督就任以降、彼がくり返していたのはひたすら対強豪国用の戦術、つまりハイプレスからのショートカウンターだった。

アジアでは「本大会」と正反対の戦い方を要求される

 だがアジアの国々はドイツやスペインと違い、日本をリスペクトして「専守防衛」でくる。日本ボールのときにはリトリートして自陣にブロックを作りじっくり構える。逆にこれを日本の側からみれば、相手がボールを握ろうとしないのだから必然的に日本がポゼッションすることになる。練習と逆だ。

 すると本田や香川の遺伝子に組み込まれた「虫」がうずき出し、ゆっくりボールを横につなぎながら真ん中へ、真ん中へ。ワンツーを使って中央を崩すようなスタイルのサッカーになってしまう。つまり彼らの「虫」を抑え込み、ハリルがいままで準備してきた戦術とまるで正反対のやり方になる。

 ハリルは強豪国相手にボールを持たせ、高い位置でボールを奪い返して少ない手数で速攻カウンターをかけるサッカーを志向している。だがアジアの予選では、逆に日本がボールを「持たされ」、ポゼッション「させられ」、じっくり手数を「かけざるをえず」ボールを握って引いた相手を崩す「遅攻」を強要させられる。

 すなわちアジアではハリルが丹精込めて作ってきた土俵は吹っ飛び、「別の土俵」でサッカーをさせられる。これが、ハリルジャパンが最終予選で苦戦している理由である。

 自分たちのやろうとしているスタイルが相手と噛み合っていないのだ。

打開策はあるか?

 では日本代表がアジアの壁を突破するには、どうすればいいのか? 決まっている。最終予選の間だけ、手倉森さんが指揮すればいい(いや冗談だ)。

 最終予選を勝ち抜けるのに、特効薬はない。基本に忠実にやるだけだ。

 相手が自陣に引いたら敵が密集する真ん中は避け、サイドを使って攻める。クロスが有効だ。クロスを入れてもし一発で決められなくても、(サッカーは手を使えないスポーツだから)ボールは必ずゴール前でリバウンドする。で、このセカンドボールを詰めればいい。つまりクロスは2度おいしい。

 また同じサイドを使うのでも、事前に「仕込み」をするかどうかで威力が倍増する。たとえばまず真ん中に張っているFWや二列目の味方にクサビのボールを当てる。すると敵のDFは中央へ絞る動きをする。これでサイドが開くので、すぐにボールをサイドへ展開する。すると今度は敵がボールサイドをケアするためにまた重心を移すーー。つまり敵のディフェンスラインをアコーディオンのように、絞らせたり開かせたりさせるわけだ。

 こんなふうにボールが動くたび、敵のDFはその都度ポジショニングを修正し、ボールとマークする相手および自ゴールをそのたび視野に入れ直さなければならない。集中力もすり減る。疲れが倍増する。敵のDFにとって、この揺さぶりがどんなにキツイか? そのうち必ず網の目のどこかに「ほころび」ができるはずだ。そこを狙えばいい。

 では日本代表はどうか? 攻めがまるで単調だ。真ん中を崩したいときには執拗に真ん中ばかり。これでは敵はサイドを捨て、DFを中央に固めておくだけでいい。逆にサイドを使うにせよ、前述のような「仕込み」をやらないからカンタンに弾き返されてしまう。

 結論をいえば、アジアを突破するには「アジア用の戦い方」をすること。当たり前の話だが、ハリルジャパンはこれができていない。10月6日のイラク戦までに頭を切り替え、選手はアジア・バージョンのソフトをインストールしておいてほしい。

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【ロシアW杯最終予選】ゆったり遅攻の「ザックジャパン化」ふたたび 〜タイ0-2日本

2016-09-07 10:17:00 | サッカー日本代表
相手が弱ければ勝てる

 相手が弱いから日本が勝った。ただそれだけの試合だった。

 攻めが中央に偏ったUAE戦の反省から、日本は確かにサイドをよく使っていた(このチームは何度「同じ反省」をすれば気がすむのか?)。だがそれ以外はボールの運び方がザックジャパン時代と何も変わりない。ボールを前へ運ぶのにえらく時間をかけている。

 ゆったりとポゼッションし、縦に速く行ける局面でもわざわざいったんボールをバックパスして、ひと休み。すっかりラクをする遅攻サッカーに先祖返りしている。最終ラインから目の覚めるようなグラウンダーの長い縦パスが出るわけでもなし。ディフェンディング・サードから何度も横に繋ぎながら、のんびり前へ押し出していく。

 日本ボールのとき、タイは見ているだけで厳しく寄せてこない。それが結果的に日本の遅攻と噛み合った。かくてエンエンと日本がボールを支配し、もし点が入るとすればそれは日本の得点以外ありえない「共犯関係」が続いた(だって日本がずっとボールを握ってるんだから)。タイは日本より2枚くらい格下で怖さがまったくなく、圧力さえ感じなかった。日本が勝つのは当たり前だ。

 ハリルが監督に就任して以降、「縦に速く」とか「ダイアゴナルなサイドチェンジを」とか、いろんなキーワードが乱れ飛んだ。だがそんなものはすべてスッ飛び、結局はショートパスをゆったり繋ぐザックジャパンになっている。決定力のなさも相変わらずで、あれだけチャンスを作りながら2点に終わった。これで相手がオーストラリアやサウジになったら……先が思いやられる。

本大会ではグループリーグ敗退が関の山だろう

 とはいえ選手別に見ると、何人かの選手は非常にいい働きをした。原口は積極的にボールにからみ、思い切りよく上がるSB酒井高徳とのコンビネーションで左サイドを蹂躙した。原口はネガティヴ・トランジションもよく、相手ボールになった瞬間にすぐ厳しい守備をしていた。すばらしいプレイぶりだった。

 またスタメンで登場したFW浅野も持ち前のスピードを生かし、アグレッシヴに裏のスペースへ走り込んだ。カラダの使い方もずいぶん進化し、マーカーとの間にうまく身をねじ込んでボールをキープしていた。

 一方、香川と本田はサエなかった。ともに決定機はあったが決められず、特に香川は消極的でパスを出すことしか頭にない(シュートの発想がない)。香川と本田があのデキなら、清武と武藤をスタメンで使ったほうがよかったのでは? とさえ思えた。ハリルの「年功序列スタメン」も再考が必要だろう。このチーム最大の課題のひとつは世代交代だが、それを促すような起用法に思えない。もちろんアジア最終予選のド本番でリスクは取れないだろうが、ならばここに至る手前の段階でしかるべき手当てをしておくべきだった。

 スタメン陣の年代を考えれば、ぶっちゃけこのチームには「伸びしろ」がない。もしW杯本大会へ行けたとしても、グループリーグ敗退が関の山だろう。

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【ロシアW杯最終予選】審判に盗まれた試合だがデキも悪かった 〜日本1-2UAE

2016-09-02 09:42:18 | サッカー日本代表
中央突破にこだわり自滅

 リトリートする相手にうまくハメられた試合だった。日本のボールになるとUAEはスルスル下がって自陣にブロックを作る。日本はその人が密集する真ん中を、細かいパスで無理やりこじ開けようとする。先祖返りの「ザックジャパン化」だ。かくてボールは敵の足に引っかかり、攻めが弾き返される。その繰り返しだった。後半ややマシになったが、前半からもっとサイドを使わないとダメだ。

 また日本の選手はフィジカル・コンディションが悪かった。本田はカラダが重く、香川は運動量が足りない。相手に引かれたとき、ボールホルダーは足を止めてパスの出しどころを探してる。だが味方の選手は敵で混雑するバイタルエリアからゴール前にかけて、全員が突っ立って動こうとせず棒立ちのままボールを眺めているーー。そんなシーンがひんぱんに見られた。

 ボールホルダーとパスの受け手の2人しかプレイに関与していない。第3の動きがない。パスのコースを作り、敵を撹乱する鋭いランニングがほとんどなかった。

「あのシンガポール戦」を見ているかのよう

 選手別では、ボランチに起用された大島はパスが弱く「Jリーグ・クオリティ」だった。寄せも甘く見ているだけでミスも多い。思い切りのよさがまったくない。なぜ起用したのかナゾだ。

 ナゾといえば後半には恒例の「原口ボランチ起用」も飛び出したが、完全なカラ振りに終わった。原口をどうしてもあのポジションで使いたいなら、それ専用のトレーニングが相当必要だ。本番になったら思い出したようにあの位置へ投入するのでは彼本来の持ち味が生きない。ハリルはいったい何を考えているのだろうか?

 それにしてもUAEはしっかりしていた。自陣に引いたときもラインコントロールで陣形をコンパクトに保ち、ボールを奪えば少ないタッチで攻め上がる。「いまファウルされたぞ!」という演技も含めてしたたかだった。それにつられるように審判の笛もUAE寄りになった。

 かたやハリルジャパンは「真ん中フェチ」も直ってなければ、引いた相手を崩せないのも直ってない。このチームは「あの屈辱のシンガポール戦」からまったく進歩してないようだ。先が思いやられる。

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