すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【サッカー日本代表】代表チームを国内組で埋めろ

2016-10-31 07:24:01 | サッカー日本代表
Jリーグにダメ出しするハリルを見返せ

 裾野が広く分厚くなれば、全体がグンとレベルアップする。

 代表チームが国内組で埋まるくらいになれば、その国のサッカーは確実に強くなる。それくらいJリーグがレベルアップすれば、その国のサッカーはより盛んになり発展する。そのためにはJリーグを代表選手の主たる供給源にすることを目指す必要がある。

 ハリルの海外組偏重は確かに極端だが、日本と海外ではレベルの違いは確かにある。レベルだけでなくサッカーに対する概念や認識そのものも違う。寄せの速さや1対1の強さなど、ベースになる部分にも差がある。とすればJリーグに盛んにダメ出しするハリルを見返すようでなければ、日本はいつまでたってもW杯本大会でグループリーグ止まりだろう。

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【ハリルジャパン】いかにボールを持たずに勝つか?

2016-10-30 09:47:31 | サッカー戦術論
ハリルが考えるカウンターは効率的だ

 いろんな意味でハリルほどインスパイアされる代表監督は初めてだ。「このおっさんはいったい何を考えてるんだろう?」と想像をめぐらしていると、次々にいろんな思考が湧いてくる。そのひとつが「いかにボールを持たずに勝つか?」である。

 ポゼッション・サッカーを正当化する言葉として、「90分間ボールをキープし続ければ負けることはない」がある。では逆にハリルが志向するようなカウンター・サッカーの利点は何か? ボールを失うリスクがないことだ。なぜなら初めからボールは持っていないのだから。

 例えばポゼッションし、前にかかっているときボールを失えば、後ろにスペースを作ってしまっているため一発でカウンターを食らう。だが自分たちがボールを持たないカウンター攻撃の場合、前でボールを奪えれば、極端なケースではボールに1〜2度触るだけで得点できる。非常に効率的だ。

 日本人は今まで、ポゼッションし、ゲームを支配することで初めて勝てると考えてきた。だが「いかにボールを持たずに勝つか?」を発想する勝ち方もあるのだ。これだから正解のないサッカーはおもしろい。

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【サッカー日本代表】ハリルホジッチはトリックスターか?

2016-10-29 06:57:16 | サッカー日本代表
混乱と栄光をもたらす大いなる破壊者

 ハリルは狡猾な策略家であり、石橋を叩き割っても渡らない。あくまで疑いの眼差しで見る。彼はひとことでいえば「劇場型」の策士だ。常にテレビカメラの中心に自分を位置づけ、見られることを十分に意識し、抜け目なく演技する。自己演出して自分を高く売る。

 戦国武将でいえば、「マムシの道三」といわれた斎藤道三のようなタイプだ。道三は一介の油商人から身を起こし、権謀術数を駆使して大名にのし上がった。周囲の人間は絶えず気をつけていないと寝首をかかれる。

 ハリルはマスコミに向け、「所属チームでレギュラーでなければ代表チームに呼ばない」などと大言壮語し、自らの館である代表チームの権威を高めてみせる。「代表チームはそれほどの存在なんだ」と権威付ける。「その長である俺は特別なんだ」と自分を位置付ける。

 圧倒された日本人は誰もハリルの意図や狙いがわからず、彼のサッカーを「縦ポンだ」「ドン引きじゃないか」などと毀誉褒貶がすさまじい。結果、ハリルはひたすら混迷と無秩序を再生産し、世の中を混沌の只中へと叩き落とす。ハリルの哄笑が聞こえてくるようだ。

「どうだ? 私の哲学がわかるか?」

 人々はハリルというリトマス試験紙によって試され、弄ばれ、見渡す限り広がる暗闇の底へと叩き落される。

 彼はトリックスターである。

 トリックスターとは、神話や民間伝承に登場する人物だ。トリック(詐術)を駆使して神や自然界の秩序を破り、物語を混乱に陥れるいたずら者として描かれる。善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、全く逆の二面性を持ち、文化英雄であると同時に悪しき破壊者であり、賢者でもある。法や秩序に照らせば、そんな一貫性のない矛盾した特徴をもつ。

ハリルは日本の既成概念を壊す

 振り返ればあの革命家フィリップ・トルシエの「恐怖政治」に対するアンチテーゼとして「自由なサッカー」「アクション・サッカー」などという、まるでゆとり教育のような旗印を立てたジーコジャパンは木っ端微塵に吹っ飛び、ザックジャパンは無残に崩壊した。では日本が世界で勝てるサッカーとは? その果てにやってきたのが、ハリルホジッチというトリックスターだった。

 真の芸術は、既成の価値観を根底から塗り替える。

「日本による、日本人らしいサッカーは流れるようなパスサッカーだ」

 そんな人々の愚かしい期待を裏切り、ハリルのフットボールは日本人が理解不能な未知の領域へと観る者をいざなう。「支配率が高い=善」という常識をぶち壊し、「敵に押し込まれている=悪」なる既成概念をなぎ倒す。この果てにあるものは破壊か? 成功か?

 それは神のみぞ知る、である。

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【ロシアW杯最終予選】全試合で先制点を取ったが3位の真実

2016-10-28 09:09:37 | サッカー日本代表
「先制点が大事だ」といわれるが……

 サッカーでは「先制点が大事だ」とよくいわれる。先に点を取ればチームのムードも変わるし、戦術的な選択肢もふえる。例えばアウェィで先制点を取れたら、以後ディフェンシブに試合を進め失点を避けるなど、戦い方を選べるようになる。いろんな意味で有利なのだ。

 さて本題だが、ハリルジャパンは最終予選のすべての試合で先制点が取れている。にもかかわらず現在、2勝1敗1分けの3位だ。これはいったいなぜなのか?

 前回の記事でも触れたが、まず守備が不安定であること。せっかく先制点を取っても、自分たちのミスから失点しリードをフイにしてしまっている。第一にここを修正したい。1-0のまましぶとく戦い、もし追加点が取れないようなら1点を守り切ってシャットアウトしてしまう戦い方ができるようになれば強い。

 第二の勝てない理由は、追加点が取れないことだ。2点目が取れたタイ戦とイラク戦は絵に描いたように勝てたが、1点しか取れなかったUAE戦とオーストラリア戦は勝ち切れなかった(豪州戦は戦術的な引き分けだが)。せっかく先制点が取れても、追加点が取れなければ勝利を確実にできない。その意味で2点目は重要だ。

 以上の二点は、今回の最終予選におけるハリルジャパンの顕著な傾向だ。先制点による有利を有利にできてない。修正点はミスから失点しないことと、2点目を取ることだ。次戦のサウジ戦以降は、ぜひそんな戦い方をしてほしい。

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【ロシアW杯最終予選】ハリルジャパンのアキレス腱は攻撃でなく守備だ

2016-10-27 09:58:31 | サッカー日本代表
不安的な試合を続ける日本はまず守備を安定させろ

 前回の記事を書くためイラク戦の映像を細かく見直したのだが、日本の守備のレベルに笑えない気分になってしまった。イラクの組織的なゾーンディフェンスのほうが明らかにレベルが高いのだ。

 いうまでもなくサッカーは守備がベースになる。攻撃よりもまずは守備の組織を構築し、「運」に左右されない安定した試合ができるようになる必要がある。計算できるゲームをするには守備の安定が不可欠だ。

 ひるがえってこれまでの最終予選を振り返れば、ハリルジャパンは守備陣がミスから失点したり、基本に忠実な守備ができずに不安定な試合を続けている。特にゾーンでなく人に食いつく守備を直すには、頭の中の常識をそっくり入れ替える必要がある。

 そこで提案だが……日本はしばらくオーストラリア戦の前半みたいなサッカーを繰り返し、正しいゾーンディフェンスのしかたを身体に覚えこませてはどうだろうか? (皮肉でなく)真面目にそう思う。

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【ロシアW杯最終予選】ハリルが考えるサッカーは知的で狡猾だ

2016-10-26 10:10:37 | サッカー戦術論
敵のよさを消しカウンターで殲滅する

 目ざすサッカーが見えてこないーー。

 ハリルに疑問をもつ人の多くがこう語る。だがそれはおそらくチームがまだ成長の過程にあるからだろう。その証拠に過去のゲームを丹念にチェックすれば、重要なヒントになる局面が見えてくる。鮮やかなショートカウンターが決まったイラク戦の1点目とオーストラリア戦の1点目がそれだ。どちらの得点も見る者に鮮烈な印象を残したゴールである。

 まずイラク戦の1点目は前半24分だった。イラクの選手がドリブルで日本陣内にボールを持ち込み、呼応して日本のバイタルエリア周辺には5人のイラク人アタッカーが猛烈な勢いでなだれ込んできた。そこで相手が前がかりになった瞬間、原口がプレスバックで敵のパスをひっかけ、こぼれ球を清武が拾う。あとはご存知の通りだ。

 清武がドリブルで1人かわすとイラク陣内にはポジションバランスの崩れた4人のDFしかいない。ちなみにこのとき原口はプレスバックでパスカットするや、すぐさま「3人目の動き」でゴール前まで突進し、最後は清武からの折り返しをゴールしている。

 一方、オーストラリア戦の1点目は前半4分。相手センターバックがグラウンダーの縦パスを出したところを原口がカットし、横にいた長谷部にボールを預けたところから始まる(このときも原口は長谷部にパスした瞬間、すぐに3人目の動きをして前へダッシュしている)。

 オーストラリアとしては、最終ラインからビルドアップしようとした1本目のパスをさらわれた形だ。彼らはマイボールだったため「さあ攻めるぞ」と攻撃的MFとFWが揃って日本陣内にポジショニングし、全体の陣形がやや前のめりの体勢だった。このバランスでパスカットされたのだからたまらない。オーストラリアは味方が帰陣して陣形を整えるヒマもなく、ボールはたちまち本田に渡り、ポストプレイから原口のビューティフル・ゴールになった。

 さて、ここから何が見えてくるか?

 どちらのゴールにも共通しているのは、相手チームが前がかりになったところにプレスをかけてボールを奪い、少ない手数で素早くカウンターを決めた点だ。つまり相手にボールを持たせ、罠を仕掛けて相手チームが「さあ攻めるぞ」と守備のバランスを崩した瞬間に仕留めている。さらに見逃せないのは、どちらの局面でも原口がプレスバックからパスカットし、すぐに3人目の動きをして前へ抜け出し最後は自分でゴールを決めている点だ。

 観ている人間にはたまたまマイボールになり、そのとき選手の配置が偶然ああだったからゴールが決まったように見える。だがあれは偶然ではなく、必然だ。パスカットのタイミングと敵のバランス、3人目の動き。すべてが狙った通りにアジャストされている。人工的な創造物だ。

 あの2つのゴールが、ハリルの目ざすサッカーなのである。

 非常に知的で狡猾、抜け目がない。相手をあざ笑うかのように獲物を狩る。イラク戦とオーストラリア戦では日本のゲームモデルが異なり、どこにゾーンを置くかが違った。だが点を取った局面には共通点が多い。そこには当然、ハリルの「意志」が働いていたと見るべきだろう。

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【ロシアW杯最終予選】あのオーストラリア戦が社会に与える影響とは?

2016-10-25 09:06:41 | サッカー日本代表
守備的な内容に「YES」か「NO」か

「ハリルを評価するか、否定するかは、オーストラリア戦の内容をどう見るかで分かれる」

 そんな言説がある。だが本当にそうだろうか?

 おそらくこの説を唱える人は、オーストラリア戦は「もっと攻撃的にやれ」「守ってばかりじゃないか」という否定派と、「アウェイで勝ち点1を取れたのは大きい」とする賛成派に割れた。だからオーストラリア戦の内容を認めるかどうかで、ハリルを評価するか否かが分かれるのではないか? と考えたのだろう。

 確かにふだんサッカーを観ない一般ピープルがたまたまオーストラリア戦中継を観て、「なんだか動きがないなあ。おもしろくない。もっと攻めろ」と感じるのは自然だろう。だがある程度サッカーを観ていて戦術やセオリーのわかっている人なら、オーストラリア戦への評価は「肯定」あるいは「消極的肯定」である程度は一定しているのではないか?

 例えば私個人はリードしていた前半の試合運びは「肯定」、同点にされた後半に関しては「消極的肯定」だ。

 試合を修正するとすれば、後半はラインが下がり過ぎていたのでもっと上げること。また、あのデキの悪いオーストラリア相手なら後半に追加点を奪って勝てる可能性が高いと感じた。あの日の、コンディションの悪いオーストラリアであれば首位を叩く絶好のチャンスだった。ゆえに守備はよくやっていたが攻撃的には機能してなかった香川を清武に代え、後半は攻めに転じるべきだと考えた。

 ただしだからといって「ハリルは守備的だったから解任せよ」なんて話にはならない。後半は確かに自分の思った展開にはならなかったが、ただしアウェイで勝ち点1ならOKといえばそうなので「消極的肯定」だ。

 だが……むしろふだんサッカーを観ない一般ピープルにとってはさぞ「おもしろくない」試合だっただろう、ああいう試合をやっていてはサッカー人気が長期低落傾向になるのではないか? ビジネス的にまずいんじゃないか? という議論ならあるかもしれないが。

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【サッカー日本代表】ハリルで日本のサッカーは「退化した」のか?

2016-10-24 09:35:12 | サッカー日本代表
今は更地にしている最中だ

 ハリルによって日本のサッカーが「退化した」とする意見をよく見かける。その典型例は「パスを繋いで相手を崩す日本らしいサッカーが消えた」という主張だ。

 だが今の段階で退化と決めつけるのはどうだろうか?

 ハリルはそれまで建っていた家を完全に取り壊し、更地にしてから全く新しい家を建てようとしている。で、日本サッカーに決定的に欠けていた縦に速い攻めやデュエルを根付かせようとしている。

 とすれば以前のようなサッカーがひとまず姿を消すのは当然だし、そもそもこうした意見は「日本らしいサッカーとは何か?」を自分の主観で定義したものにすぎない。日本らしさは観る者の主観によって変わるし、絶対の正解はない。

 ただし更地に建つ新しいサッカーが日本にとってプラスになるのか? それは日本が世界で勝てるサッカーなのか? は家が建ってみないとなんともいえない。それまで日本人はハラハラドキドキが続くのだろう。

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【ロシアW杯最終予選】UAEとイラクに寝首をかかれた上位チームが脱落する

2016-10-21 09:56:04 | サッカー日本代表
したたかなUAEには要注意だ

 アジア最終予選はまだ折り返し地点の手前だが、サウジ戦まで時間があるのでちょっとここまでの対戦相手をふり返ってみよう。驚かされるのは首位争いしているわけじゃないイラクとUAEがいいチームだったことだ。

 イラクは美しいゾーンディフェンスだ。引いて自陣にいるときもラインコントロールで陣形をコンパクトに保ち、ぬかりなく網を張っている。それにくらべ日本のディフェンスは中途半端な「ゾーンもどき」。未完成でミスも多く見劣りする。少なくともディフェンスに関しては、日本はもうアジアでの優位を失っている印象だ。

 イラクはリオ五輪メンバーを多く含む。平均年齢が若く、日本とちがい豊かな将来性がある。楽しみなチームだ。たまたま勝ち星に恵まれず下位にいるが(彼らは「持ってない」)、なぜこのチームがこの順位なんだろう? と思わせる好チームである。次のW杯では強敵になるかもしれない。彼らは本国が戦争でサッカーなどやっていられない状況なのに、きっちりチームを作って健闘している。本当にリスペクトするに値する人々だ。

 かたやUAEは、ボールの位置に対する選手のポジショニングが非常に速い。相手ボールになれば素早く自陣に引いてブロックを作るが、ボールを奪うと同時にスピーディーなカウンターを発動する。ベタ引きでディフェンシブなチームは攻撃に人数をかけないことが多いが彼らはちがう。マイボールにした瞬間に手数をかけず十分な数の選手が敵陣に侵入する。逆に敵陣でボールを失ったときの帰陣もかなり速く、ディフェンシブな戦いに慣れている。したたかで抜け目のないチームだ。

 一方、オーストラリアは、日本戦ではコンディションが悪く本調子ではなかったようだ。確かにあのレベルではなぜ上位にいるのか謎である。最終ラインからていねいにビルドアップしようとするが、ボールの運び方がたどたどしく、選手はボールコントロールもままならない感じだった。こわさがまったくない。コンディションが戻ればまた態勢を立て直してくるのだろうが、少なくとも日本戦の内容は参考にならないだろう。

 結論として最終予選の折り返し地点以降は、UAEとイラクに足元をすくわれた上位チームがまず脱落するのではないかと予想する。もちろん上位同士の直接対決も見物だ。特に日本にとっては残るホーム&アウェイのサウジ戦、ホームでのオーストラリア戦は痺れる戦いになるだろう。

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【サッカー日本代表】選手の士気をそぐハリルの言動を止めろ

2016-10-20 08:59:29 | サッカー日本代表
選手の「気持ち」を考えてほしい

 私はハリルを解任したほうがいいと考えている。ただし彼のサッカー観や戦術そのものに異存はない。私が問題視しているのは、彼の選手起用と「軽すぎる口」だ。

 例えばハリルは先日GKだけを集めた特別合宿で、「GKは190cm以上が理想だ」と発言した。それが普段からの彼のモットーなのかもしれないが、そこでハリルに立ち止まって考えてほしいのは、現日本代表の正GK西川は183cmしかないということだ。これを西川から見れば当然、「俺を信用してないのか?」となるだろう。ハリルは、こういう選手の士気をそぐ言動をやってしまう。

 いやハリルにしてみればあくまで客観的に語っているつもりなのだろう。だが彼は喋りすぎる。こんなことは頭で思っていても「言わなくていいこと」だ。彼は評論家ではない。日本代表監督だ。自分の言動が代表選手にどんな影響を与えるかくらいは考えてものを言うべきだ。

控えの選手を萎えさせる選手起用

 また別のケースもある。

 先日のオーストラリア戦。右SBの酒井(宏)が累積警告で出場停止になったため、それまで左SBでスタメン出場していた酒井高徳が右SBで出場した。するとハリルはその代わりに本来CBの槙野を急きょ左SBとして先発させた。

 確かにフィジカルの強いオーストラリア相手なら競り合いに強い槙野を使うのは合理的だ。だがこれを左SBが本職である控えの太田から見ればどう映るか? 当然、「俺を信用してないのか?」となるはずだ。ひょっとしたら太田は今後、ハリルを信じてプレイすることができなくなるかもしれない。

 また同じくこの試合、FWの岡崎がケガで欠場したためハリルは本田を急造ワントップとして先発させた。ハリルは「サプライズを起こした」と得意満面だった。だがあの選手起用を控えのFW浅野から見ればどう映るか? 当然、「俺を信用してないのか?」となるだろう。

「総力戦だ」といえば聞こえはいいが、ハリルは控えの選手を信用してない。「スタメンの11人が潰れたら終わりです。彼らと心中します」というギリギリの戦い方になってしまっている。

 こんなふうにハリルは選手を「意気に感じて開花させる」どころか、反対に選手のメンタルを阻害する選手起用や言動を行う。それにより選手の士気はそがれ、彼らは本来の力を出せなくなる可能性が出てくる。

 前にも書いた通り、選手起用は魔法の杖だ。うまく使えば10の力を20にできる。だがメンタルを壊す選手起用を行えば、選手は持っている10の力を5や6しか出せない。ハリルにはもっと選手のメンタルをポジティブに伸ばすことを考えてほしい。

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【サッカー日本代表】ハリルの大言壮語が言行不一致を引き起こす

2016-10-19 08:43:56 | サッカー日本代表
喋りすぎて自爆する愛すべきキャラ?

 ハリルはとにかく喋りすぎる。彼をカテゴライズするなら「劇場型の策士」だ。居並ぶマスコミの前で「ハリル劇場」を作り、大仰な表現で演技をする。絶えず観衆の目を意識して自分の言動で自らを権威づけ、アピールしようとする。だがやがては結局、それが言行不一致を引き起こし、自分の言動で自爆する。

「Jリーグのチームはズルズル下がる。プレスをかける位置が低すぎる」と批判しておきながら、自分は先日のオーストラリア戦のような「ドン引きサッカー」をする。

 そしてその試合では自分で本田をスタメンに選んでおきながら、試合後には「本田のコンディションが本来通りなら勝てたかもしれない」などと評論家のように分析する(自分で本田を選んだ時点で彼のコンディションはわかっていたのでは?)

「所属チームでレギュラーでなければ代表に呼ばない」と、自分が司る日本代表を権威づける大言壮語をかましておきながら、いまや代表のスタメンを飾る海外組は所属チームで軒並み控えだ。

 まるでギャグである。

 もし彼が日本代表の監督でなかったら、手を叩いて面白がるところだ。だが不幸にしてここは日本である。つまり笑っている場合じゃない。

 人の上に立つ人間は、自分の言動に責任をもつ必要がある。そのことで部下から信頼され、チームに一体感が醸成される。それによって勝てるチームになる。ハリルにはその点をもっとよく考えてほしい。

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【サッカー日本代表】ハリルジャパンは三すくみの状態だ

2016-10-16 09:20:38 | サッカー日本代表
縦に速いサッカー vs 自分たちのサッカー

 前回の記事では「ハリル解任論」を唱えたが、実は今の代表が抱える問題点は監督を代えただけで簡単に解決するようなものじゃない。そのひとつがチーム内での路線対立だ。ハリルが考えるサッカーと、本田や香川の志向が正反対なのだ。

 簡単にいえばハリルは縦に速いカウンター志向。対する本田や香川はじっくりタメるポゼッション志向である。そんな今の日本代表は、見事に三すくみのような状態になっている。

 本田や香川に好きにやらせると、ショートパスやワンツーを使って中央突破にこだわる「自分たちのサッカー」になってしまう。だがブラジルW杯惨敗で証明された通り、それでは世界に勝てない。ゆえに戦術にうるさいハリルの締め付けが必要になる。

 だが一方ハリルが監督でいる限り、メンタルの壊れた香川に固執し香川と心中してしまう。スタメン完全固定で世代交代も進まない。つまりどっちに転んでも日本代表に明日はない、って話になる。事態は深刻だ。

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【サッカー日本代表】私が「ハリル解任」に転じた3つの理由

2016-10-15 07:47:12 | サッカー日本代表
代表選手を育てる選手起用ができない

 過去に何度も書いたが、ハリルが志向するサッカーの方向性は正しい(ゾーンディフェンスをベースにしたハイプレス&ショートカウンター)。弱小国である日本が、ワールドカップの本大会で強豪国を相手にグループリーグ突破を狙うのにぴったりの戦術だ。ゆえに私は以前からハリルにポジティブな興味をもち、ずっと観察を続けてきた。

 だがハリルは「戦術以外」の面で減点ポイントが多い。その最大の要素が選手起用だ。彼は戦術で相手チームを上回ることはできても、選手起用で後手を踏む。スタメン選び、選手交代ともに硬直的で穴がある。

 まずハリルは数年単位で将来を見据えた「育てる」起用ができない。レギュラーは海外組完全固定で、彼らが所属チームで試合に出ていようがいまいが関係なし。「この11人が売り切れたら終わりです。彼らと心中します」みたいなギリギリの戦い方しかできない。(注/この記事を書いた2016年時点では、ハリルはレギュラー組を完全固定し若い選手をまったく使おうとしなかった)

 そもそも対戦相手が高校サッカー部レベルのアジア2次予選など、若手発掘の場に使えばいいのだ。だがハリルは2次予選でも海外組をズラリ揃えた鉄板フルメンバーで臨んだ。おかげで若手や国内組が育たず、今になって海外組がケガ人続出で自分の首を絞めている。それでもハリルは「海外組以外、だれを選ぶんだ? いたら教えてほしい」などと居直るのだからすごい。いや、ほかならぬあなた自身が門戸を閉ざし、若手を育ててこなかったのが悪いのだ。

 かくて2年後のロシアW杯ではアラサー(30才前後)の高齢選手をズラリ並べて戦うことになる。これでは決して日本サッカー界のためにならない。

最大のテーマは世代交代だ

 さかのぼればハリル就任当初、私はメキメキ頭角を現してきた​武藤嘉則や柴崎岳ら若い選手が積極起用され、てっきり世代交代が実現するものと期待していた。いつまでも本田ら北京五輪世代が代表のメインでは将来性がない。だがハリルは若手を呼んでも、試合に出場させるのは決まって後半の残り5分や10分になってから。顔見せみたいな使い方しかしない。これでは若手が力を示すのは奇跡的な確率だろう。

 例えば最近では原口がレギュラーに定着しそうな活躍を見せているが、彼にしろ以前は後半30〜40分台にしか起用されない時期が続き苦労した。たまに使われ結果を出しても、それ以降はまたパッタリ起用されない日々が続いた。

 清武にしても同じだ。彼は2015年11月のシンガポール戦や今年のキリンカップに出場し、プレイ内容も非常によかった。だがそれ以降もスタメンは「絶不調・香川」の完全固定で結局ロクに使われない。やっと先日のイラク戦でスタメン出場しすばらしい結果を出したが、続くオーストラリア戦ではまたスタメン落ちした。代わりにピッチに立ったのは、メンタルの壊れた抜け殻のような香川だった。愕然とした。

 たまに使われ結果を出しても、以後また起用されないのでは選手はいったい何を目標に頑張ればいいのか? 脱力するだけだ。士気が落ちる。チーム力アップにならない。そもそも今のネガティブな精神状態の香川を起用するとは、ハリルは人間のメンタルと運動機能の関係を心理学的に理解しているとは思えない。

 日本代表は香川に期待し、いったい何年チャンスを与え続けてきたのか? もういいかげん結論を出してもいい頃だろう。代表チームの香川は別人だ。所属チームで出たり出なかったりするのは個人の自由だが、「代表」は特別な場所である。つぎ込んだリソースに見合う活躍をしたか? で厳正にジャッジされるべきだろう。

巧みな選手起用が「マジック」を起こす

 さて一方、選手起用は試合で「マジック」を起こすエネルギー源にもなる。魔法の杖だ。

 選手は監督に使ってもらって初めて「この監督のために死ぬ気でやろう」と意気に感じる。そうしたメンタル面での高まり=アグレッシブさが負け試合を逆転するモチベーションになったり、番狂わせを起こすエネルギーになる。起用されることがメンタル面で大きな力になる。だがハリルは選手を「このおっさんのためなら死んでもいい」と思わせるようなタイプじゃない。

 例えば試合中や選手の交代時、選手に指示を出すときのハリルの態度は目も当てられない。半ばキレながら、激しいゼスチャーで一方的に喚きまくる。まるで奴隷にムチを入れるご主人様のようだ。選手を「乗せる」ような声掛けとはまったく逆である。その証拠にメンタルの弱い香川などは絶対にハリルの目を見ない。あれではムチを入れるどころか、選手を萎縮させるだけだ。選手をモチベートするのではなく「アンチ・モチベーター」になってしまっている。

 こんなふうにハリルは選手のメンタルを自在に操り、そのことで士気を鼓舞し、巧みに勝利をたぐり寄せるような選手起用ができない。

問題はW杯本大会でその監督がどう機能するか?

 結局、ハリル政権下では若手が出場するのは難しいのだ。仮に結果を出してもスタメンに定着するのは天文学的な確率である。例えば引き分けに終わった先日のオーストラリア戦(アウェイ)では、最初の選手交代が後半37分と遅すぎた。で、試合後にハリルはベンチにいた浅野と斎藤についてどうコメントしたか? 

「彼らは経験がなく、プレッシャーに負けるのではないかと途中起用をためらった」

 要するにハリルは「10年修行してなければ包丁は持たせない」みたいな選手起用しかできないのだ。これでは若手が育つわけがない。逆にそこでリスクを冒し使って初めて選手は育つのではないか? 本番で使うつもりがない(信用してない)選手をなぜ呼ぶのか? という疑問と併せ、選手の扱いに一貫性がない印象がぬぐえない。

 巷間、「イラク戦で引き分け以下ならハリルは解任」とか、「アウェイのオーストラリア戦に負けたら解任」などと言われていた。だが、そもそもそんな目先の試合の勝ち負けだけで「続投」だの「解任」だのを決めていいのか? 私はむしろ2年後のW杯本大会でその監督がどんな役割を果たし、どう機能するか? で決めるべきだと考える。

 30代の選手をズラリ並べたチームで本大会グループリーグを敗退したって何の意味もない(若手で負けるなら別)。単に今後2年間をドブに捨てるだけだ。だが監督がハリルのままではかなりの確率でそうなる。

 ゆえに私はハリルを解任すべきだと考える。

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【ロシアW杯最終予選】ハリルが海外組に「レギュラーを取れ」だって?

2016-10-14 05:19:41 | サッカー日本代表
選手にする話じゃない

 先日のオーストラリア戦後、ハリルは所属チームで控えに甘んじている海外組に「レギュラーを取ってくれ」と言い渡したらしい。自分が過去に「レギュラーでなければ代表では使わない」などと大言壮語をふかしまくり、それが今ごろになって「言行不一致だ」と記者に突っ込まれて困っているのだ。まあ自業自得だわな。

 だがそもそも「レギュラーになるかどうか」なんてのは、もちろん選手本人が決めることじゃない。所属チームの監督が決める話だ。選手にそんなことを言ってもなんの意味もない。

 そして恐ろしいことに今の海外組を取り巻く状況を見ると、本田や香川を筆頭に、それぞれ所属チームで強力なライバルを複数抱えており、彼らがレギュラーを取る可能性など限りなく低い。とすればハリルジャパンはこの先ずっと、「海外組はゲームに出てないから試合勘がない」などと揶揄される危うい状況で試合を続けることになる。

 なぜならヨーロッパ至上主義のハリルにとってドイツやイタリアでプレーする香川や本田は絶対的な存在であり、ハリルは「彼らと心中する」つもりでいるのだから。

 なんでもハリルが「新たな海外組を招集検討」とか「国内組の新戦力発掘に乗り出す」などと報じられているが、仮に新しい選手を招集してもどうせ本番では使わないに決まっている。新人を呼ぶだけ呼んで使わないーー。それはハリルが過去に何度も繰り返してきたことだ。試合当日になれば、どうせフィールドにいるのは香川と本田だろう。

 しかしワールドカップ「本大会」が始まっても、海外組が相変わらず控えのままだったらハリルはいったいどうするつもりなのか?

 そして日本サッカー協会は、いったいこの状況をどう考えるのだろうか?

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【豪州戦・分析】同点にされた後半は勝ち点3を狙うギアチェンジをすべきだった

2016-10-12 08:42:36 | サッカー日本代表
前半の試合運びはよかったが……

 アウェイでリードしていた前半は、自陣にブロックを敷く「大人のゲーム運び」でうまくやった。実際、ボールを「握らされた」オーストラリアはチャンスらしいチャンスを作れなかったし、逆に日本はマイボールになればカウンターから何度か好機を演出した。「このまま1-0で逃げ切りもアリ。ただしカウンターになれば追加点も狙うぞ」という前半の戦い方は理にかなっていた。

 だが後半は疲れから、前半には殺していた自陣のスペースが空き始め、ぽっかりエアポケットに入ったようにバイタルでフリーマンを作ってしまうシーンも散見された。(放り込みでなく)最終ラインから丁寧にビルドアップしてきてくれるオーストラリアは怖さがまったくなかっただけに、PKから同点にされた時点で勝ち点3を狙うギアチェンジをすべきだった。

 具体的には同点になると同時に香川を清武に、本田を浅野に代え、ゾーンをもっと前に押し出して攻撃モードに変える。これでオーストラリアのライン裏にできたスペースを浅野で狙う。もちろんそのぶんリスクは負うことになるが、この日のオーストラリアならある程度撃ち合っても日本に分があったはずだ。日本は星勘定ではあくまで「追う立場」なのだから、セットプレイだけ気をつけて攻撃的にシフトしてもよかった。

選手起用が保守的すぎて可能性を感じさせない

 明らかに選手に疲れが見えているのに、最初の交代が「後半37分」というハリルの選手起用は相変わらず超・保守的だ。固定観念にとらわれ、あくまで香川に固執した采配も含め「相手の首を取りに行こう」という姿勢が見えない。ファウルの判定にパニックになり何度もキレるメンタル面も合わせ、この監督は追う立場になるとめっきり弱いのではないか?

 ちなみに同じ11日に行われたサウジーUAE戦はサウジが勝ち、トータルではサウジが勝ち点10の1位になった。オーストラリアが勝ち点8で2位につけ、3位の日本は勝ち点7で追っている。もちろんまだまだ十分に可能性はあるが、あのUAE戦に1敗していることを考えればこの試合での勝ち点・差し引き「2」の差は大きい。来年は中東でのアウェイ・シリーズを控えているだけに、いま一歩の上積みがほしかった。

 最後にオーガナイザーとしてのハリルをどう見るか? 戦術的蘊蓄は魅力的だが選手起用には大いに疑問が残る。特にメンタルが壊れた抜け殻のような香川へのあの異常な執着には、「なら勝手に心中すれば?」というしかない。このままでは意味もなく香川を引っ張りジリ貧になる。監督を変えるか、香川を切るか? ふたつにひとつだろう。

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