すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 23/24 第13節】チェルシーの無気力ぶりが目も当てられない ~ニューカッスル 4-1チェルシー

2023-11-30 10:49:19 | イングランド・プレミアリーグ
同節シティvsレッズ戦のハイレベルさとは天地の差だ

 同じプレミアリーグ第13節のマンチェスター・シティ対リバプールの試合があまりにもハイレベルで息詰まる内容だったので、相対的にこの試合の酷さが目立った。とても同じリーグとは思えない内容だった。

 前シーズンからすっかり無気力状態が続くチェルシー。だが今季は前々節でトッテナムに勝ち、前節はマンチェスター・シティと4-4で引き分けるなど上げ潮ムードにあった。個人的にも応援しているので期待したが……当てが外れた。

 なにしろ試合中に、てくてく歩いている選手がいるのだ。シティvsレッズ戦の高い緊張感とはかけ離れている。これでは勝てない。

 まずは13分だ。ニューカッスルが押し込んだ。ペナルティアークでボールを保持したマイリーがボックス右でもらう動きをしたイサクへ縦パスを出す。流れるようにゴール方向へ向き直ったイサクは、ゴール左へきっちりシュートを叩き込んだ。

 これに対しチェルシーも反撃する。20分だ。

 ロングカウンターからスターリングが裏へ抜け出しゴールを狙う。だがボックス手前でDFトリッピアーに止められた。しかしこれはファウルでFKをもらった。

 場所はボックス手前の左だ。キッカーのスターリングは壁の上を越える素晴らしいショットで同点弾をお見舞いした。23分だ。

 以降は追いついたチェルシーが流れをつかんだ。ここまでは「まだまだ試合はわからない」という緊張感があった。そして前半を折り返す。

ニューカッスルが畳み込んで試合を決める

 さて60分だ。ニューカッスルのゴードンが左サイドからきれいなクロスを入れる。これに合わせて完全なフリーでゴール前へ飛び込んだラッセルズがヘッドでゴール右へ押し込んだ。

 続く1分後の61分には、自陣でバックパスを受けたDFチアゴ・シウバがなんとキックミス。これでジョエリントンがボールを奪い返し、ボックス内でGKと一対一になりゴールを決めた。3-1だ。

 追い込まれたチェルシーは69分に3枚替えを敢行する。ジャクソンとギャラガー、ウゴチュクに代えてブロヤ、カイセド、ムドリクを入れて攻めのテコ入れをした。

 だが73分に自陣でリース・ジェームズが、ゴードンを倒して2枚目のカードをもらい退場になってしまう。これでチェルシーは万事窮した。

 数的優位になったニューカッスルは83分、アルミロンのスルーパスに飛び込んだゴードンが4点目を挙げて試合をきっちり終わらせた。

 チェルシーは不運な面もあったが、肝心なところで意気が上がらない。選手1人1人の技術レベルは高いのだが「気持ちの問題」だろう。なんだか今季もさえない感じだ。


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【プレミアリーグ】シティが圧巻のサッカーを見せつける ~マンチェスター・シティ 1-1 リバプール

2023-11-26 10:54:17 | イングランド・プレミアリーグ
「3つのスピード」がとんでもなく速いシティ

 イングランドのプレミアリーグ第13節が行われ、マンチェスター・シティがホームのエティハド・スタジアムでリバプールを迎え撃った。高度に緊迫した究極のゲームが行われ、ハイレベルな試合は1対1の引き分けで終わった。

 シティはアーリング・ハーランドを筆頭に、ジェレミー・ドクやベルナルド・シウバらを擁して臨んだ。一方のリバプールはモハメド・サラーとダルウィン・ヌニェス、ディオゴ・ジョタを前線に構える4-3-3だ。日本代表の遠藤航はベンチスタートだった。

 のっけからシティはプレイスピードとボールスピード、判断のスピード、という「3つのスピード」がとんでもなく速い。プレイは必ず2タッチ以内で行われ、ポジティブ・トランジションとネガティブ・トランジションも素晴らしく速い。プレス回避も見事だ。なかでも俊敏なドリブルで敵の最終ラインを食い破るドクが物凄い迫力である。

 3-4-3システムの彼らは3-2-5の形でビルドアップする。ゲームは序盤からシティのペースで進んだ。マンCが一枚も二枚も上手な感じだった。

 試合はそんな彼らが先制した。27分だ。DFアケがドリブルで敵陣を進み、2人かわして最前線のハーランドにパス。受けたハーランドは、ゴール右隅ギリギリに左足で強烈なショットを叩き込む。ボールはGKアリソンが伸ばした手を弾いて入った。

 ハーランドはプレミアリーグ通算50ゴール目。史上最速だ。

途中出場の遠藤航が最後を締めた

 試合の中盤もずっとシティのペースで進んだ。だが逆にレッズの側から見れば、強豪シティを1点に抑えてうまく戦っているともいえる。

 その証拠に、後半に入り時間が押し迫るにつれ次第にリバプールが押し返し始める。そして88分にバイタルエリアでアレクサンダー=アーノルドの凄まじい2タッチでの右足のシュートがファーに決まった。レッズがとうとう同点に追いつく。

 さすがにこのハイレベルでは遠藤はついて行けないなぁ、と思って観ていたら、なんと85分に1対1の痺れる状況で遠藤が交代出場した。クロップは試合を締めるつもりだ。リバプールとしては帝王シティ相手に「引き分けで御の字」てなところだろう。

 それにしてもあんな難しい局面で遠藤が大事な試合の幕引きをまかされるとは、やはりクロップは遠藤の「守り切る力」を認めているのだ。それ以外にありえない。なにしろクロップは遠藤に試合を託したのだから。

 とすれば彼がこの後、強化すべきことは、組み立てのパス出しを含めた攻撃面だろう。そこさえクリアすればレギュラーは近い。

 こんなふうに試合は基本シティのペースで進んだが、特に後半アディショナルタイムに入るあたりからのレッズの追い上げは凄い迫力だった。かくて試合はこのまま1-1の引き分けで終わった。「世界の頂上決戦」は見ごたえ充分だった。

 本題と関係ないが、久保健英はレアル・マドリーなどに行かず、絶対にこの世界で勝負すべきだと強く感じた。そうすれば彼はまだまだ伸びるだろう。

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【J1リーグ】神戸がJ1優勝。大迫勇也よ、よくやった

2023-11-25 16:39:28 | Jリーグ
神戸の「大きなサッカー」がJ1を制した

 J1リーグ第33節のヴィッセル神戸対名古屋グランパス戦。2-1で神戸が勝利を収め、見事、彼らがJ1リーグ優勝を決めた。

 神戸といえば、FWの大迫勇也めがけて入れるダイレクトなロングパスや、SBからの対角のロングボールなど、縦に速くムダのない「大きなサッカー」で勝ち進んだ。ダイレクト・スタイルだ。

 彼らは、イニエスタを招聘して一時掲げた「バルサ化」とは正反対のサッカーで優勝した。そう。かつてはスペイン的な、意味もなくパスを繋ぎ倒す「遅いサッカー」が世界で主流だった。だがいまや世界を見れば、神戸のようなダイレクトで縦に速いチームが勝っている。

 つまり時代はひと回りしてダイレクトなサッカーへと回帰し、進化しているわけだ。今季の神戸はその最先端を行き、そして優勝した。

大迫勇也よ、得点王を獲り「2冠」をめざせ

 この試合、2アシストした大迫は本当にすばらしい選手だ。彼のポストプレイは誰にもマネができない。不世出のFWである。

 このあと大迫勇也がめざすべきは、得点王だ。目下、彼は22得点で得点ランキングの1位にいる。ぜひとも得点王を獲り、得点王とJ1リーグ優勝の2冠で「完全優勝」をめざしてほしい。

 森保監督に見せつけてやるのだ。

 そして森保監督は七重の膝を八重に折り、大迫勇也を日本代表に呼ぶべきだ。

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【J1 戦術分析】なぜヴィッセル神戸は強いのか?

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【W杯アジア2次予選】好調・日本はターンオーバーで勝ち抜く

2023-11-23 05:02:33 | サッカー日本代表
見えてきた2次予選の戦い方

 2026年北中米ワールドカップ・アジア2次予選は、第二戦のシリア戦が終わり徐々に日本の戦い方が見えてきた。

 シリア戦では第一戦のミャンマー戦からスタメンをごっそり9人入れ替えてターンオーバーした。日本は今後もこのやり方が常套手段になりそうだ。

 しかもそのなかで新しく追加招集されたMF佐野海舟(鹿島アントラーズ)がミャンマー戦で攻守に活躍した。他方、同じく追加招集のFW細谷真大(柏レイソル)もシリア戦で代表初ゴールを決めている。

 日本は新しく出てくる人材が必ず活躍するイケイケの好循環にあるようだ。

Jリーグにはまだ原石が眠っているのでは?

 おまけに日本はこれでも三笘薫や中村敬斗、鎌田大地、板倉滉、古橋亨梧、旗手怜央、前田大然、伊藤敦樹ら主力クラスがごっそりケガで脱落しているのだ。

 にもかかわらず、こうしてターンオーバーがきく。おそるべき選手層である。かつてない分厚さを誇っている。あの1993年のカタール・ドーハで、左SBの都並敏史がケガで欠場しただけで四苦八苦していたのが夢のようだ。

 特に佐野や細谷の躍動ぶりを見れば、まだまだJリーグには磨けば光る宝石が眠っているような気がするのは私だけだろうか?

 これでケガ人が続々戻ってくれば、めざすW杯本大会に向け明るい話題しかない状態になりそうだ。

ただし有頂天になってはいけない

 また既存の選手たちもそれぞれ活躍している。ミャンマー戦では南野拓実が絶妙なアシストをして復調の兆しを見せたし、伸び悩んでいた浅野はこのところ攻守に進境著しい。ミャンマー戦でハットトリックした上田綺世も、シリア戦でまた2点を取った。入れ食いだ。

 ほかにも常時安定の伊東純也はシリア戦で4アシストし、同様に1ゴール1アシストした久保健英は超ド級のプレーぶりでいまやチームの柱だ。

 一方、両SBの菅原由勢と伊藤洋輝も攻撃力が爆発しているし、ミャンマー戦では右SBの毎熊晟矢がいいプレーをしていた。菅原とはいいライバルだ。また遠藤航と森田英正を交えた冨安健洋や谷口彰悟ら守備陣の鉄板ぶりも安心できる。

 ただしこの連戦連勝で、くれぐれも有頂天にならないことが肝心だ。メディアは浮かれて煽るだろうが、舞台はまだアジア2次予選。相手ははるか格下だ。これぐらいできて当たり前なのだ。問題は、W杯本大会の決勝トーナメントでどこまでできるか? そんな厳しい心構えで次戦に臨みたい。

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【W杯アジア2次予選】点差こそ開いたがシリアは勇敢だった ~シリア 0-5 日本

2023-11-22 02:58:22 | サッカー日本代表
両者の攻防がおもしろい試合だ

 さて問題の敵地でのシリア戦である。2026年北中米ワールドカップ・アジア2次予選の第二戦であるシリア対日本戦は、結局すったもんだの挙句にテレビ中継はなかった。

 また公式にはネット配信も「なし」ということになっていたが……ネットをさ迷っていたらYouTubeでシリアの公営放送らしきものをライブ中継しているのを見つけた。で、それを観させてもらった。

 画面は小さいしコンディションは悪いが、贅沢は言えない。

 日本は初戦のミャンマー戦から9人のスタメンを入れ替えてきた。フォーメーションは4-2-3-1だ。先発したのは、まずGKが鈴木彩艶。最終ラインは右から菅原由勢、谷口彰悟、冨安健洋、伊藤洋輝の並びだ。

 中盤には遠藤航と森田英正のダブルボランチが陣取る。また2列目には右から伊東純也、久保建英、浅野拓磨。そしてワントップは上田綺世だ。一方のシリアは4-1-4-1である。

 このゲーム、日本の選手たちは非常にコンディションがいい。彼らは機敏で実に運動量豊富だ。まるで映像を早送りしたかのようにビシバシ走っていた。プレースピードがとても速い。

 ポゼッション率は日本のほうが圧倒的に高いが、シリアもボールを持たないわけではない。彼らは思ったほど自陣へ引き込むでもなく、日本の攻めに合わせてよく上下動していた。

 シリアはミャンマーのように引きっぱなしじゃない。堂々と日本と殴り合った。彼らは勇敢に戦っていた。ただし日本のほうはゴールを5つ取ったが、シリアは無得点であることが大きな違いだ。

先制点は久保の豪快なゴールだった

 日本の先制点は前半33分だった。久保がボックス外からゴール右に豪快なシュートを決めた。続く37分には左SBの伊藤洋輝がサイドからクロスを入れ、それを逆サイドの伊東が中へ折り返し最後は上田がゴールに叩き込んだ。

 40分にはボールが中央の久保から伊東へと渡り、またもや上田がシュートを決めた。日本は3-0で前半を折り返した。

 後半に入り47分だった。ボックス手前で上田が倒されて迎えた日本のフリーキック。キッカーの久保がヒールでボールを後ろへそらし、受けた菅原が見事な弾丸シュートを決めた。デザインされたFKで4点目だ。

 後半のシリアはけっこうボールを繋いでくる。あの感じだと、おそらくこのグループは日本とシリアが突破を決めるだろう。彼らは1対1もけっこう強い。

シリアは激しくハイプレスでくる

 最終ラインでボールを保持した日本に対し、シリアは激しくハイプレスをかけてくる。戦術的だ。というのもシリア代表のエクトル・クーペル監督は、歴戦の名将なのである。

 彼は現役時代はアルゼンチン代表のセンターバックでならした。90年代後半からはリーガ・エスパニョーラのマヨルカの監督を務めた。

 そして1998-99シーズンにはUEFAカップウィナーズカップに堂々出場し、準決勝でスコットランドのハート・オブ・ミドロシアンFCを破って決勝に進出した。惜しくも決勝ではイタリアのラツィオに敗れたが、その功績は讃えられてしかるべきだろう。

 またこのシーズンのリーグ戦では、FCバルセロナとレアル・マドリードに次いでクラブ史上最高の3位に躍進。翌シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得している。

 続く1999年にはバレンシアの監督に就任。なんと1999-2000シーズン、および2000-01シーズンの2季連続でチャンピオンズリーグの決勝に進出し惜しくも敗れた。以降はイタリアのインテルでも2位や3位を獲ったりしている。

途中出場の細谷が5点目を獲った

 さて試合に戻ろう。日本は65分に上田と浅野が退き、代わって南野拓実と細谷真大が投入された。南野は左サイド、細谷はワントップだ。また75分には久保が引っ込んでMF堂安律が、冨安と交代でDF町田浩樹が出場した。

 日本の5点目は82分だった。左サイドにいた伊東からのクロスを、途中出場の細谷が胸でワントラップし2タッチ目できっちりゴールへ押し込んだ。U-22日本代表から追加招集された細谷がいきなり結果を出した。かくて83分には遠藤に代えて田中碧が投入される。

 そしてタイムアップ。点差こそかなり開いたが、シリアはなかなかいいチームだ。非常におもしろい試合だった。彼らは日本に決してひるむことなく、最後まであきらめず健闘していた。シリアには敬意を表したい。

 日本は2次予選のこのB組で唯一、連勝し、勝ち点を6に積み上げた。フル出場した伊東純也はなんと4アシストだ。また細谷は記念すべき代表初ゴールを決めた。チームはまさに絶好調。次の試合は3月の北朝鮮とのホーム&アウェー2連戦だ。このまま最後まで突っ走ろう。

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【U-17W杯2023】攻めが遅いのんびりジャパン ~スペイン 2-1 日本

2023-11-21 09:59:05 | サッカー日本代表
スペインにボールを持たせてカウンターを狙うが……

 インドネシアで開かれている「U-17ワールドカップ2023」はラウンド16を迎えた。11月20日、アジアカップで優勝しているU-17日本代表はスペインと戦った。試合は常に日本が先行される展開で、1-2で日本が力負けした。

 なにしろ日本が入ったヤマは、スペインはいるわドイツはいるはブラジルはいるはアルゼンチンはいるわ、という地獄のような組み分けだ。もし勝ち進んでも前途多難だっただろう。

 さてこのゲーム、基本はスペインがボールを持ち、日本は4-4-2のブロックを作って守る展開で進んだ。相手にボールを持たせて打ち取ろうという作戦だ。だが後述するが、彼らは決定的にそのためのノウハウに欠けていた。彼らはカウンター攻撃のやり方を知らないのだ。

 立ち上がりから、日本は最終ラインでマイボールになっても、きちんとビルドアップしようとしない。単にロングボールを放り込むだけでガッカリした。そんな日本にチャンスがあるとすればショートカウンターだろう。

 それにしても日本はのんびりプレイするチームだ。プレイスピードとボールスピード、判断のスピードが致命的に遅い。トランジションにも鋭さがなく、インテンシティも低い。たまに速く鋭い縦パスが入るが、基本はのんびりムードだ。

なんでもかんでも遅攻にしてしまう

 このU-17日本代表は今年7月に行われたアジアカップで優勝したときもそうだったが、(せっかく速攻が利く状況でも)なんでもかんでも遅攻にしてしまう。戦況に合わせて臨機応変に戦うのではなく、常に「自分たちのサッカー=遅攻」だけをやっている感じだ。

 彼らはとにかく攻めが遅いので、たまにマイボールにできてもすぐ敵に引かれて自陣にブロックを作られてしまう。必要もないのにバックパスし、その間に敵に守備の態勢を整えられてしまう。

 皮肉に言えば、彼らは敵がブロックを作るのを「待ってやってから」攻めているのだ。とにかく切り替えが遅い。

 このゲームの日本はスペインにボールを持たせているのだから、敵は常に前がかりになっている状態だ。つまりスペインは守備の態勢が崩れている。ならばボールを奪ったら速く攻めなければダメだ。敵の守備隊形が整っていないうちに攻め切ってしまわなければ勝機はない。このチームはもっと「縦への速さ」が必要なのだ。(これは「縦にロングボールを入れろ」という意味ではない)

 日本は男子のフル代表だけが縦に速いサッカーをやっているが、それが各年代に浸透していない。日本は(フル代表を除き)女子も含めて各年代とも遅攻に偏ったチームばかりだ。彼らは局面に応じたサッカーができていない。

スペインの鋭い攻めを浴びる

 さて試合はスペインが前でボールを奪うと、たちまち牙をむき出しにして攻めて来る。試合開始早々の前半8分。左から中央に鋭いラストパスを通され、キム・ジュニェントにゴールされた。先制点だ。

 日本は押し込まれると、中央の敵アタッカーを簡単にフリーにしてしまう。守備がガタガタだ。これでは何点取られるかわからない。

 だがそんな40分、右サイドから佐藤龍之介がマイナスのクロスを入れた。するとなぜかスペインの中央の守備が甘く名和田我空がフリーになっており、彼はゴール右にコースを狙ってシュートを決めた。同点だ。

 しかし74分にはライン裏に斜めのスルーパスを出され、CFマルク・ギウに見事なゴールを決められた。日本の冒険はこれで終わった。

 結論として、このチームはサッカーがわかってないし、駆け引きがまるでなってない。根本からコンセプト自体を考え直さなければダメだろう。

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【W杯アジア2次予選】はるか格下相手に快勝する 〜日本 5-0 ミャンマー

2023-11-17 08:47:40 | サッカー日本代表
問題はW杯本大会で格上相手に「これ」ができるか? だ

 サッカー日本代表は11月16日、2026年北中米ワールドカップ・アジア2次予選の初戦でミャンマー代表と対戦し、5-0と快勝した。

 ワントップに入った上田綺世はハットトリックだ。それだけでなく南野拓実が2アシスト、鎌田大地が1ゴール、堂安律が1ゴール1アシストした。スタメンで出た彼ら4人は大暴れだった。

 ただし相手がはるか格下のミャンマーではできるのが当たり前だ。問題はW杯の本大会で格上相手に同じことができるかどうか? である。

 特に代表のテストマッチで思うように点が取れてない上田にはそれがいえる。これで喜んでいる場合じゃないだろう。

試合は冒頭からハーフコートマッチ化する

 予想通り、この試合は冒頭から森保ジャパンが一方的に攻め立てた。ミャンマーは全員が自陣に立てこもり、日本が縦横にボールをつなぐ展開だ。そして上田や鎌田大地らが大量5点を取り、しっかりゲームを終わらせた。

 試合は前半開始から、いきなり日本のハーフコートマッチになった。ミャンマーは5-4-1から7-2-1に変化し自陣にブロックを作って守り倒そうとする。日本はアンカーの田中碧が最終ラインの前にポジショニングし、ボールを左右に振り分け攻撃を差配していた。さすがのプレーぶりだ。

 相手が格下のミャンマーとあって、代表では力んで力を発揮できてない南野もさすがにカラダの力が抜けている。彼はさっそくアシストした。それは前半11分だった。

 南野が敵陣中央からゴール前へ縦にフワッとした柔らかい浮き球を送り、と同時に前へ走り込んだ上田が軽くジャンプしてヘッドでゴール左に叩き込んだ。日本の先制点だ。

 相手にガッチリ引かれて無得点のままただ時間だけが過ぎて行くーーというパターンが日本にとってはいちばんイヤな展開だった。だが早めに点が取れたので、これですっかりあとがラクになった。

 日本のフォーメーションは4-1-4-1だ。守備時は4-2-3-1に可変する。スタメンはGKが大迫敬介。最終ラインは右から毎熊晟矢、谷口彰悟、町田浩樹、中山雄太。アンカーは田中。2列目は右から堂安、鎌田、南野、相馬勇紀。ワントップは上田だ。

所属チームでは不遇な鎌田も躍動する

 日本の2点目は28分だった。田中が縦に短いパスを入れ、受けた鎌田は左足でゴール左に矢のようなミドルシュートを決めた。鎌田は所属のラツィオではあまり試合に出られてないが、代表ではウソのように躍動していた。

 この日の日本はたとえ一度ボールを失っても、相手がミャンマーだけにすぐ奪い返せる。そしてまた日本の攻撃だ。

 42分には中山がひどいバックチャージを受けた。だが審判はファウルさえ取らない。こういう試合でケガしてしまうのがいちばんつまらない。審判はああいう場面できちんとファウルを取り、以後のファウルを防いで試合を落ち着かせるべきだ。

 さて前半のアディショナルタイムに入った49分。堂安が右のポケットから、プラスのダイアゴナルなグラウンダーのパスを出す。これに反応して縦に抜け出した上田が右足でゴールにボールを流し込んだ。3-0だ。

 日本には一度もピンチらしいピンチが来ないまま、かくて前半が終わった。

攻守によく働く佐野海舟は使える

 そして後半に入り、立ち上がりから谷口に代えて渡辺剛、鎌田に代えて佐野海舟が投入された。佐野はアンカーに入り、代わりに田中は右インサイドハーフに回った。

 後半5分、4点目が入る。谷口から縦パスを受けた南野が、2タッチ目で縦にパスを入れる。受けた上田がこれをゴールに押し込み彼は3ゴール目。ハットトリックを達成した。

 後半19分には南野がドリブルから敵陣ボックス内へ持ち込みシュートしたが、ワクへ行かない。大舞台で力んで実力が出せないタイプの南野だが、このミャンマー戦ではリラックスできており2アシストした。だが結局シュートは決められない。これが彼の限界かもしれない。

 続く後半22分、日本は上田に代えて細谷真大、南野に代えて守田英正を投入した。守田はアンカーに入り、アンカーだった佐野が左インサイドハーフに回った。佐野はこの日、非常にいいプレーをした。要所で相手の攻撃の芽を摘み、セカンドボールもよく回収していた。彼は今後も代表に定着しそうだ。

 さて最後は41分だ。堂安が守田からの浮き球の縦パスをワントラップし、左足でゴールした。見事にGKの股を抜いた。締めて5-0である。日本はこれで久保と伊東、浅野拓磨、遠藤航、伊藤洋輝、菅原由勢ら主力組6人を温存し、第二戦のシリア戦に挑むことになる。

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【プレミアリーグ 23/24 第12節】遠藤航はオン・ザ・ボールを磨け ~リヴァプール 3-0 ブレントフォード

2023-11-14 05:04:37 | イングランド・プレミアリーグ
頻繁に起こるボールロストをなくしたい

 現地時間11月12日にプレミアリーグ第12節が行われ、リヴァプールとブレントフォードが対戦した。試合はリバプールが3ゴールを上げて勝利した。遠藤航がアンカーで先発フル出場した。

 ひさしぶりにプレミアリーグで先発した遠藤は、まずまず無難にプレーした。ただし4分と14分、37分に、そう難しくない場面でボールロストをしたほか、退場もののラフプレーをするなど課題も露わになった。

 この試合はボールが落ち着かないゲームだった。ブレントフォードは2-4-4でビルドアップするが、リバプールがボールを保持すると5-3-2で自陣にブロックを敷いて待ち構えた。そんな試合が動いたのは39分だった。

 ボックス内で縦パスを受けたCFダルウィン・ヌニェスが、右にいたサラーに横パスを出す。受けたサラーはきっちり枠内にシュートを決めた。先制点だ。このあとサラーとジョタが1点づつを取り、3-0でレッズが完勝した。

 リバプールのフォーメーションはいつもの4-1-2-3だ。スタメンはGKがアリソン。最終ラインは右からトレント・アレクサンダーアーノルド、ジョエル・マティプ、ファン・ダイク、コスタス・ツィミカスだ。

 アンカーは遠藤。右インサイドハーフはドミニク・ソボスライ、左インサイドハーフはコーディ・ガクポ。3トップは右からサラー、ヌニェス、ディオゴ・ジョタだ。

オン・ザ・ボールでバタつく

 この試合の遠藤は(3回のボールロストを除けば)そう目立った大きなミスもなく、破綻なくこなしていた。まずまずだった。ただし安定感があったとは言えない。

 例えばボールをトラップしようとして大きく弾いてしまい、そのため結果的に敵と競り合いになって仕方なくファウルしてしまったりしていた。

 例えば55分のシーンなどは象徴的だ。彼はボールを収めようとしてコントロールミスし、奪われそうになって出した足がブレントフォードのMFクリスティアン・ノアゴーの膝に当たった。これはレッドカードかどうかVARで検証されたが、ノーカウントで終わり助かった。

 こんなふうにオン・ザ・ボールのときの遠藤はけっこうバタバタしており、どうも危なっかしい。今にもミスしそうだった。そんなふうだから「パスの受け手はどこにボールが欲しいか?」などを考えた上でパス出ししているようには見えない。

 また遠藤のパスは他人に預ける無難なパスばかりで、マクアリスターのような「試合を決めてしまう」ような決定的なキーパスがないのが物足りなく感じる。

 ただしこれはあくまでライバルのマクアリスターとくらべればの話だ。遠藤のポジションはあくまでアンカーなので、求められるパス出しは組み立ての第一歩になるシンプルなボールだろう。ゆえに現状でも特に問題はない。

競り合いで敵の足を踏むクセをなくせ

 もうひとつ遠藤のプレイで気になったのは、競り合いの時に相手の足を踏んでしまうことが多い点だ。現にこの試合でもやっていた。

 また11月10日に行われたヨーロッパリーグ第4節のトゥールーズ戦でも、退場の可能性のある彼のプレイが論議を呼んだ。一方、このブレントフォード戦では見逃されてラッキーだったというしかない。

 まとめれば、やはり遠藤はプレミアリーグに慣れるのにまだ時間がかかりそうだ。

 この試合ではふだんアンカーを務めるマクアリスターが出場停止だったため遠藤が出たが、これが例えばビッグ6のチームが相手ならクロップは遠藤をスタメン出場させただろうか?

 結論として、遠藤はまだしばらく慣らし運転が必要だろう。

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【ラ・リーガ 23/24 第13節】なぜ久保は輝けなかったのか? ~アルメリア 1-3 レアル・ソシエダ

2023-11-13 05:12:05 | その他の欧州サッカー
レギュラー陣と控え組の力の差がモロに出た

 現地時間11月11日にラ・リーガ第13節が行われ、アウェイのレアル・ソシエダはアルメリアに3対1で勝利した。この試合、久保健英はターンオーバーで後半からの出場になった。

 というのも、レアル・ソシエダは欧州チャンピオンズリーグのグループD・第4節のベンフィカ戦を終えて中2日しか経ってなかったからだ。

 ゆえにこの日のスタメンはミケル・メリーノやブライス・メンデスらが並ぶいつものメンバーとは違い、ベニャト・トゥリエンテスやアルセン・ザハリャン、ウマル・サディクらがスタートから出場していた。

 そのためラ・レアルは例によってレギュラー陣と控え組の力の差が大きくあらわになり、控えメンバーが出た前半はまるでいいところがなくノーゴールでハーフタイムを迎えていた。

久保のいる右サイドが犠牲になった

 そして後半になって、久保は左インサイドハーフのミケル・メリーノとともに頭から途中出場した。だが久保はわずかにセットプレイで得点に絡んだだけで、ほとんど輝けなかった。

 それはなぜか?

 いつもは久保と右サイドでコンビを組む右インサイドハーフのブライス・メンデスがこの日は欠場し、ベンチ入りさえしてなかったからだ。代わりに右インサイドハーフはトゥリエンテスが務めていた。

 だがそのトゥリエンテスは、レギュラー組のブライス・メンデスとは段違いに力が劣る。で、必然的にボールは久保のいる右サイドではなく、左インサイドハーフのミケル・メリーノを軸に左サイドで回ることになった。

 そのため右サイドの久保はボールタッチ自体が非常に少なく、ほとんど試合に入れなかった。これは久保がダメだったのではなく、組み合わせの問題だ。

 ラ・レアル名物の、スタメン組と控え組の力の差が如実に出る現象のおかげで、久保のいる右サイドが犠牲になったのである。

果たして彼らは今季を無事に終えられるのか?

 この試合は3ゴールを奪ってひとまず勝ったものの、ソシエダの選手層の薄さは本当に深刻だ。ラ・リーガとチャンピオンズリーグを掛け持ちする地獄の今シーズン、果たして彼らは良い成績を収められるのだろうか?

 いまのところはなんとか健闘しているが、これが長く続くとはとても思えない。

 過密日程で今後もローテーションを組むことが必至になるだけに、この試合で起こったような変調はまた何度も起こる可能性がある。彼らの行く末が心配される。

 とりあえずは現ラインナップで凌いだとしても、しかるべき時期にしかるべき新戦力を補強しない限り、同じことは必ずまた起こるだろう。

 しかもただでさえ、ブライス・メンデスやミケル・メリーノら主力組には移籍のウワサが絶えないのだ。もし彼らがビッグクラブに引き抜かれでもすれば、ラ・レアルはまさに一巻の終わり。泥船化して万事休すだ。

久保はプレミアリーグ上位へ行くべきだ

 とすれば久保は早晩、もっと選手層の厚い上位クラブに移籍せざるを得なくなるだろう。ならば個人的には、ウワサされているレアル・マドリーなどではなく、プレミアリーグの上位クラブへ行くことをおすすめしておく。

 スペイン語が通じる居心地のいいマドリーへ行ってナアナアで「井の中の蛙」になるのではなく、世界中から「化け物たち」が集まりしのぎを削る世界一のプレミアリーグで切磋琢磨したほうが若い久保のためになる。

 これだけはまちがいない。

 要は「スペイン一」をめざすのか? それとも「世界一」をめざすのか? の違いだ。

 ややもすればストイックさに欠け慢心してしまいがちな久保は、環境を厳しくして自分であえてハードルを上げたほうが努力するようになる。

 マドリーへ行きそれで満足してしまうのではなく、後者を選んで難関に挑み「自分にはまだまだ足りないところがある」と自覚して自己改革を続けたほうが、まだまだ伸びしろのある久保にはふさわしい。後者を選べば、彼はまだグンと成長する。うけあいだ。

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【CL 23/24 E組 第4節】鎌田がレギュラーを取れないのは不当か? ~ラツィオ 1-0 フェイエノールト

2023-11-12 05:40:07 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
ハイライン・ハイプレスが超絶的だった

 現地時間11月7日に欧州チャンピオンズリーグの第4節が行われ、ラツィオとフェイエノールトが対戦した。試合は1-0でホームのラツィオが競り勝った。右インサイドハーフでスタメン出場した鎌田大地がレギュラー獲りに雄々しく名乗りを上げた。
 
 地味だが、非常に戦術的な醍醐味のあるゲームだった。フェイエノールトの最終ラインがボールを保持したビルドアップ時、ラツィオはハーフウェイラインのすぐ手前に超ハイラインを設定し、なんと前の7枚が敵陣へ入って総がかりでハイプレスをかけた。

 第一陣は4枚、それをプッシュアップする第二陣が3枚だ。この前からの強い圧力に前半のフェイエノールトは苦しみ、ビルドアップの精度を欠いた。

 それでも次第にフェイエノールトはボランチをうまく使ってボールの逃げ道を作り、ラツィオの圧から逃れるようにはなった。だが肝心のゴールを奪うまでには至らなかった。

 かくて前半46分にラツィオのFWチーロ・インモービレがボックス内へ侵入し、ゴール右の角度のない所から素晴らしいゴラッソを叩き込んだ。鎌田はこのとき、きっちりゴール前に詰めてこぼれ球に備えていた。見えないファインプレーだ。

 さて、これでラツィオの勝利は決まった。彼らはこの試合をものにしたことで、2勝1分けのグループ2位となり決勝トーナメント圏内に浮上した。

鎌田は「可もなく不可もなく」だったか?

 では本題である鎌田の話に移ろう。

 この試合における各メディアの鎌田に対する評価は、おおむね「可もなく不可もなく」レベルだった。だが個人的にはまったく解せない。

 鎌田は運動量も多く、守ってはよくプレスをかけ、攻めては攻撃の起点になる重要なパスを何度も展開していた。

 一方、鉄板のレギュラーだとされる左インサイドハーフのルイス・アルベルトはフィジカルが弱く、案外ボールをロストしていた。この試合での鎌田は彼よりデキがよかった。

よさがわかりにくい鎌田大地

 そんな鎌田という選手は、よさが非常にわかりにくい選手である。例えば一見してそれとわかるダイナミックなエネルギー感でもあればわかりやすいが、鎌田はそれとはまったく対極にあるタイプだ。

 逆に、彼はいい意味でカラダの力がすっかり抜けており、決して力まずひょうひょうと軽やかにプレイする。そのサマはまるで道を究めた剣の達人のようだ。

 そんな鎌田のプレイを見て、「躍動感やエネルギー感がないぞ。なんだか気力がなさそうに見えるな。この選手はいったいどこがいいのだろうか?」と疑問に思う人もいるのではないだろうか? そう、鎌田はよさがわかりにくいのだ。だから損をする。

 反対に同じ右インサイドハーフのライバルであるゲンドゥージなどは、プレイに躍動感やエネルギー感があり、一見して「いい!」と感じる。観る者にわかりやすいよさがある。鎌田とは好対照だ。だが、実はどちらもいい選手なのだ。

サッリの戦術さえ十分に理解すればチャンスはある

 そこで疑問に思うのは、鉄板のレギュラーだとされている左インサイドハーフのルイス・アルベルトである。彼はどちらかといえば鎌田と同じで、わかりやすい躍動感やエネルギー感はない。しかもこの試合を観ればわかる通り、案外、重要な場面でボールロストしたりもしている。

 もちろん彼の技術が高いのはわかるが、それにしてもなぜこの選手が「絶対の鉄板」なのだろう? とも感じる……。だがズバリ、鎌田との違いは、彼の過去の長年のラツィオでの実績とチームで果たす役割だ。

 ルイス・アルベルトは2016年から7年間もラツィオに在籍し、その間、セリエA月間最優秀選手賞を取るなどの活躍をしてきた。そしてサッリの着任以来、彼の右腕であり続けてきた。

 要するにルイス・アルベルトが絶対的だとされているのはそうした継続的なチーム内での実績と、サッリ特有のユニークな戦術「サッリ・ボール」を誰よりもよく理解し実践しているからだ。

 とすれば技術面では決して彼に劣らない鎌田がレギュラーを獲るには、少し長い目で見てサッリの戦術をしっかり理解すればいいだけの話だ。そうすれば彼の持つ高い技術がますます生きてくる。こう考えれば、鎌田のレギュラー獲りはそれほど遠い日のことではないかもしれない。

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【EL 23/24 B組 第4節】三笘は明らかに疲れている ~アヤックス 0-2 ブライトン

2023-11-11 07:00:38 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
PLとELの掛け持ちでチームは疲労困憊だ

 現地時間11月9日にヨーロッパリーグのグループB・第4節が行われ、アヤックスとブライトンが対戦した。アウェイのブライトンがアンス・ファティとサイモン・アディングラのゴールで2点を取って勝ち切った。

 特にファティは、1ゴール1アシストの活躍だ。しかもチームはこれで2勝1分けで、決勝トーナメント進出圏内の2位になる大きな勝利をあげた。

 一方のアヤックスは対照的に、0勝2分けのグループ最下位だ。暗いどん底の淵にいる。

 彼らは第1節の強豪マルセイユ戦では、非常にエキサイティングなサッカーで息詰まるシーソーゲームを演じて見せた。結果は3-3の引き分けに終わったが、見ごたえ充分だった。だがその後は1勝もできず浮上の気配がない。

 かたやブライトンも勝ったとはいえ、ケガ人続出でこの試合もデキはいまいちだった。左SBでスタメン出場したジェームズ・ミルナーはあっという間にケガで交代してしまったし、DFルイス・ダンクも負傷して前半でベンチに下がった。

 またケガ明けのペルビス・エストゥピニャンが後半から出場したが、またも故障し試合から退場した。彼ら選手たちはプレミアリーグとリーグカップ、ヨーロッパリーグを掛け持ちし、過密日程で四苦八苦なのだ。

キレがなかった三笘

 なかでも特に三笘薫は、明らかに疲れていた。得意のドリブルは冴えず、途中でブロックされてしまう。インテンシティも低い。大部分、試合から消えていた。

 目立ったシーンといえば、68分にペナルティエリア内から一度シュートを放った場面ぐらいだった。ちなみに彼はフル出場している。

 三笘もプレミアリーグとリーグカップ、ヨーロッパリーグにフル回転で「全試合出場」しており疲労困憊している。そのうち壊れるだろう。

 なのに彼は今度はW杯アジア2次予選に駆り出され、日本とはレベルが段違いに低いミャンマーやシリアと戦わなければならないのだ(国内組でも勝てるにもかかわらず)。

 本人からすれば、たまったもんじゃないだろう。だが口が裂けてもそんなことは言えない。

 願わくば、くれぐれもケガだけはないよう祈りたい。

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【CL 23/24 D組 第4節】久保の存在が敵のゾーンを歪ませる ~レアル・ソシエダ 3-1 ベンフィカ

2023-11-10 05:14:27 | CL/EL/EURO(世界規模のサッカーリーグ)
ベンフィカは完全に崩壊していた

 例によって「久保健英が凄かった!」という記事があふれていたので、試しに試合を観た。するとベンフィカが完全に崩壊しており、まったくサッカーになってない。おもしろくもなんともないゲームだった。

 ベンフィカの最終ラインが押し上げてゾーンを圧縮せず、ラ・レアルにスペースをやりすぎた。彼らにスペースを与えると、こういうとんでもないことになる。

 久保の個人技を楽しみたい人にはこたえられないが、拮抗した試合全体のおもしろさを観たい人にとってはまるで無意味なゲームだった。「あっ」という間に20分間で3点入ってゲームは終わった。で、ソシエダの決勝トーナメント進出が決まった。

 ただし、さらに踏み込んで深く思考してみると、ベンフィカが崩壊していたのは実は彼らが「ダメなチーム」だったわけではなく久保がベンフィカを「壊した」のだと考えると非常に興味深いことが見えてくる。

 すなわち久保が巻き起こす「珍現象」だ。

久保がマーカーを引きつけ敵のゾーンを偏らせる

 この試合、久保が右サイドでボールを持ってドリブルを始めると、ベンフィカの3枚のマーカーがそれに引っ張られた。で、この状態で久保は敵を引きつけながら縦にドリブルする。すると何が起こるか?

 ベンフィカの全体のゾーンが右方に引っ張られて偏りができる。

 つまり右に引き付けられて左サイドが空く。この状態でボールを逆サイドにサイドチェンジすれば、逆サイドにいる左WGのバレネチェアや左IHのミケル・メリーノらがフリーになっており彼らがおもしろいようにゴールを決めることができるのだ。

 つまり右サイドにいる久保のドリブルがベンフィカのゾーン全体を右へ引っ張り、左サイドにスペースができる。そのため左にいるバレネチェアやミケル・メリーノらがフリーでボールをもらえるわけだ。

 この久保が作り出す「久保システム」は非常に有効だ。

 日本代表でも使えるかもしれない。

 例えば右サイドで久保がドリブルしマーカーを数人引き付ける。すると逆サイドの三笘がフリーになる。で、サイドチェンジすれば三笘のゴールが簡単に生まれるーー。

 そんな「怪現象」が日本代表でも観られるかもしれない。

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【日本代表メンバー発表】ガチのメンバーを選んだ森保監督の「愚」

2023-11-09 08:50:57 | サッカー日本代表
改革の意思がない監督とそれを擁護するサッカーメディア

 きのう行われた2026年北中米W杯・アジア2次予選の代表メンバー発表記者会見が、「やれやれ」なことになっていた。

 ちなみに私はこの会見が開かれる直前に書いたブログ記事で、「欧州チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグ等と日程が重なり過密日程になるアジア2次予選をきっかけに、日本代表はAチームとBチームを作るべきだ」と唱えた。

 そして対戦相手が日本とは大きくレベルの劣るアジア2次予選では、「国内組を主体としたBチームで臨むべきだ」と提案した。過密日程を避けて選手の消耗やケガを防ぐと同時に、将来の若い日本代表選手を育てるためだ。一石二鳥である。

森保監督が「2次予選は甘くない」と反論する論拠は?

 すると、私の案とは相反して誰でも想像がつくガチなメンバーを発表した森保監督は、会見の席上、「2次予選はそんなに甘くない」と主張した。

 そして「なぜ甘くないか?」を裏付ける傍証として2つの過去のケースをあげた。ひとつは次の通り、前回の予選におけるミャンマー戦での話だ。

「カタール・ワールドカップの予選の際も、ホームのミャンマー戦は10点取ったが、アウェーのミャンマー戦では2点しか取れなかった」

 そして傍証の第二点として「アルベルト・ザッケローニ監督時代のアジア3次予選では、3勝1分け2敗という結果だった」という逸話を語った。

 だから「2次予選は甘くないんだ」というわけだ。

まったく別のチームを例に挙げるのは論理が破綻している

 では、わかりやすい2点目の論拠から反論しよう。いやいや、「ザッケローニ監督時代の予選では〇〇だった」などと、今とはまったく別のチームを例に挙げて「だから2次予選は甘くないんだ」などと論述しても根拠になってない。

 だって、それは今とはまるでレベルが違う別のチームのお話なのだから。

 では続けて森保監督が傍証として挙げた一点目の論拠へ行こう。繰り返しになるが、それはこういうお話だ。

「カタール・ワールドカップの予選のときもホームのミャンマー戦は10点取ったが、アウェーのミャンマー戦では2点しか取れなかった。ゆえに、2次予選は甘くないのだ」

 いやいやカタールW杯における日本代表は、典型的な「カウンターのチーム」だった。だがその後、久保健英が台頭し彼がトップ下でゲームを作れるようになった今の日本代表は、例えば「ポゼッションでも勝てる」だろう。

 つまり今の代表はカタールW杯における日本代表とは、まったく別のチームになっているわけだ。

今の冨安と遠藤、守田は「神レベル」だ

 いや久保だけじゃない。今の代表にはカタールW杯当時にはいなかった、強力な右SBの菅原由勢もいる。それに冨安だって、カタールW杯当時とくらべれば格段に進歩した。いまや冨安はアーセナルで「神レベル」だ。

 それだけじゃない。

 遠藤航と守田英正のボランチ・コンビにしても、カタールW杯当時とくらべればもはや「別のコンビ」に進化したと言っていい。それとも森保監督は今年10月17日に行われ、日本が圧勝したあのチュニジア代表戦での遠藤と守田、冨安の3人のプレーぶりを見ておられないのだろうか?

 いやいや、そんなわけはない。なにしろ現に森保監督ご自身が、あの試合を指揮しておられたのだから。

ポストプレイでひと皮むけて進化した浅野

 おまけに森保監督のイチのお弟子さんでもあるFWの浅野拓磨も、10月シリーズのカナダ戦では「今まで彼が一度も見せたことがなかった」ような見事なポストプレーをしていた。

 そんな浅野は、カタールW杯当時から長足の進歩を遂げたといえる。それとも森保監督は、「いや浅野はまったく進歩していない」とでもおっしゃるのだろうか?

 こんなふうに要素を上げて行くと、カタールW杯当時と今の代表とではレベルやスタイルがまったく別のチームになっていることがわかる。

 にもかかわらず森保監督はカタールW杯予選当時の日本代表のケースを例に挙げ、「アウェーのミャンマー戦では2点しか取れなかった。だから2次予選は甘くないんだ」などと、ヘンちくりんな例示をなさっている。

 いや、それは今とはすっかり別のチームだった過去の時代のお話だ。挙げる例示や傍証が論拠になっていない。論理が破綻している。

 なぜなら問題は、「今の代表はどうなのか?」なのだから。

炭鉱のカナリアは鳴かない

 しかも笑ってしまうのは、森保監督が記者会見の壇上でこんな「トンデモ理論」を開陳しているのに、その会見に詰めかけたメディア陣からまったく異論が出なかった点だ。

 いや、森保監督に反論しなかっただけじゃない。森保監督とナアナアで一蓮托生の彼らメディアは、きのう揃って自社が公開した代表メンバー発表会見の記事タイトルで堂々と「2次予選は甘くない」などという大見出しを立てて森保監督にこびへつらっている。

 これでは岸田政権とベッタリ癒着し、岸田官邸のヨイショ記事ばかり書いている官邸メディアとまるで同じだ。

 彼らは森保監督に嫌われたら商売上がったりなのである。

 つまり「体制側」と利益を同じくしているヨイショ・メディアなのだ。

 当然、彼らは森保監督に反論するどころか、「2次予選は甘くない」などと今回ガチのメンバーを選んだ森保監督を擁護する記事を書く。

 こんなふうにメディアが自浄作用を失ったら終わりだ。

(唯一、過密日程で「ケガは考えないのか?」と森保監督に厳しく質問されていた記者さんが1人おられたが)

 結局、彼らは、岸田官邸を取り巻く腐敗した記者クラブ・メディアが絶対に岸田首相を叩かないのと同じだ。そして彼らサッカー・メディアは、岸田首相を批判しないことで結果的に「日本を滅ぼそう」としている官邸メディアと同じことをしている。

 炭鉱のカナリアは、鳴かなくなったら終わりである。

 やれやれ、だ。

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【第2次森保ジャパン】日本代表はAチームとBチームを作るべきだ

2023-11-08 11:20:26 | サッカー日本代表
低レベル化が心配なワールドカップ

 2026年北中米ワールドカップのアジア枠は、「4.5」から「8.5」に拡大された。これが意味するところは大きい。まず杞憂されるのは、ワールドカップの「低レベル化」だ。

 いや例えば欧州チャンピオンズリーグでさえ、現在行われているグループステージはレベルの劣るクラブが混じっており、あんまり見る気がしないくらいだ。あの「チャンピオンズリーグでさえ」である。

 それに対し、今度のワールドカップの場合はレベルの低いアジア枠が「8.5」もあり、そのぶんさらなる低レベル化が心配される。

 欧州チャンピオンズリーグのグループステージでさえ試合によっては観る気がしないのに、アジア枠が「8.5」もあるワールドカップのグループステージなど観る人は激減するのではないか? と心配される。

 まあアジア枠を広げたのはビジネス的な理由もあるのかもしれないが、いずれにしろワ-ルドカップの低レベル化が進むことだけはまちがいないだろう。

アジア2次予選に「欧州組総動員」で臨む愚かなJFA

 さて、本題だ。

 本日の午後3時から、第2次森保ジャパンのワールドカップ・アジア2次予選(ミャンマー戦・シリア戦)に向けたメンバー発表が行われる。

 おそらく森保ジャパンは、アジア枠が「8.5」に広げられたというのに欧州組を総動員した全力のメンバーで臨むのだろう。

 愚かなことだ。

 すでに何度か書いたが、ただでさえ現在サッカー界は、欧州チャンピオンズリーグとヨーロッパリーグ、ヨーロッパカンファレンスリーグ、およびカラバオカップやFAカップなどの大きな大会や国内カップ戦がぞくぞく行われている過密スケジュールの真っただ中だ。

 各クラブは、自国リーグ戦とこれらの大会に並行して選手を出すため、四苦八苦でやりくりしている。

 そこへ持ってきて、ワールドカップのアジア2次予選である。しかもアジア枠が「8.5」に拡大され楽勝必至の同大会の2次予選に、こともあろうに第2次森保ジャパンは「欧州組も総動員した大政翼賛体制」で臨むのである。

 バカバカしいことこの上ない。

Bチームの組織化は代表の底上げになる

 昔から言われてきたように、いいかげん日本代表はAチームとBチームを作って両輪体制で運営するべきなのだ。おそらくAチームは欧州組中心、Bチームは国内組中心になるだろう。

 そしてワールドカップのアジア2次予選やアジアカップなどは、Bチームで戦うべきなのだ。日本人選手のレベルは、もうすでにその域に達している。

 いやそれだけでなくBチームの選抜やその活動は、日本代表の大いなる底辺拡大と底上げ、レベルアップに大きく貢献するはずだ。

 具体的には、今回の「10月シリーズ」のカナダ戦やチュニジア戦などはBチームで臨み、ワールドカップ・アジア2次予選への「Bチーム参加」の地ならしをすべきだった。

 こうした計画的で実効的な組織運営をせず、ワールドカップの「たかが」アジア2次予選へ欧州組まで総動員した大政翼賛体制で臨むなんて実にバカげている。

 選手が疲弊するだけだ。

 日本サッカー協会は、そろそろ日本代表の「Aチーム・Bチーム」化に本気で取り組むべきだろう。

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【分析コラム】なぜ鎌田大地はスタメン起用されないのか?

2023-11-07 09:16:15 | その他の欧州サッカー
フィジカルと選手の組み合わせの問題だ

 ラツィオの鎌田大地は、なぜリーグ戦でスタメン起用されないのか? 断片的に現地報道が伝わってくるが、どうもその理由がハッキリしない。そこで多少の推測も交えて考察してみよう。

 現地報道から漏れ聞こえてくるところでは、マウリツィオ・サッリ監督自身は鎌田のことを「大好きな選手だ」と言って気に入っているらしい。これは事実のようだ。とすればスタメン起用されないのは、選手として認められてないからではない。

 とすれば使われないのは、同時に起用する選手との兼ね合い、つまりバランスの問題だろう、と想像はつく。

 さて、まずサッリはしきりに「フィジカル」を重視し、取り沙汰している。

 そして現地報道によれば、向こうでは鎌田は「フィジカルが強くない」とされているようだ。で、サッリが左インサイドハーフとしてレギュラーだと考えているルイス・アルベルトも、同様にフィジカルは強くない。

 ゆえに鎌田とルイス・アルベルトを両インサイドハーフとして同時に使うと、フィジカルが弱い同士でバランスが悪い。サッリはそう考えている。

 で、鉄板のルイス・アルベルトを左IHに使い、右IHにはフィジカルが強いゲンドゥージを組み合わせている。

 つまり第一に「フィジカル問題」で、鎌田はゲンドゥージに負けているわけだ。

鉄板のルイス・アルベルトともかぶる

 もうひとつ、難しい問題がある。

 どうやら現地では、「鎌田は右IHより、左IHのほうがデキがいい」とされているようだ。ところがその左IHは、鉄板であるルイス・アルベルトの不動のポジションである。

 これにより第二には、この「ポジション問題」で鎌田はルイス・アルベルトに負けているのだ。つまり左IHとしては、鎌田はルイス・アルベルトの控えになる。

 結果、鎌田の出場機会はめっきり少なくなっているわけだ。

 さらにもうひとつ問題がある。

 実はそれでもサッリは鎌田を使いたいために、試合途中で先発した左IHのルイス・アルベルトを下げ、代わりに鎌田を途中出場させることがある。

 ところがルイス・アルベルトは自分が途中交代させられることをひどく嫌い、ベンチに下がるたびサッリに激しく毒づくのだ。

 そんな問題もあり、サッリは鎌田をますます起用しにくくなって行くーー。

 まとめると、こういうことだ。

 このテの問題は、選手間や監督との間で必ず大きな軋轢を生む。チームとしていい状態だとはいえない。

 ちなみに鎌田の契約は単年だ。2年の延長オプションが付いているが、来夏にまたフリートランスファーで移籍することもできる。もしこのポジション問題がこじれるようなら、いっそのこと鎌田は移籍するのもテかもしれない。

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