地震考古学という学問は、最近、考古学の一部門として、認知され光を浴びている。
さて、2011年3月11日に起きた東日本大震災は「1000年に1度」の災害といわれるが、1100年前に同じような巨大地震があった。
869年に起きた貞観地震である。
平安時代の歴史書「日本三大実録」に記録が残されていて、東日本大震災との共通点を上げると、
①は震源地。ともに三陸沖。
②は規模。
貞観地震のマグニチュードは8.4以上と推定されている。
東日本大震災はM9.0だった。
③は被害者。
貞観地震の死者は1000人といわれる。当時の日本の人口は500万人なので、今に換算すると2万人となる。
④は大地震の前後に誘発地震が起きている。
貞観地震の前後に、日本各地で地震や噴火が頻繁に起きている。
863年(6年前) 今の富山県から新潟県にかけ大地震
864年(5年前) 富士山、阿蘇山が噴火
868年(前年) いまの兵庫県で大地震(M7以上)
869年貞観地震 (8.4以上)
871年(2年後) 鳥海山が噴火
878年(9年後) 関東地方で大地震
887年(18年後) 南海地震(M8.0~8.5)
今回の東日本大地震の前に起きた地震や噴火
1995年(16年前)阪神淡路大震災
2004年(7年前) 新潟県中越地震
2008年(3年前) 岩手宮城内陸地震
2009年(2年前) 浅間山噴火
2010年 (1年前) 桜島噴火
2011年(その年) 新燃岳噴火
2011年(今年) 東日本大震災 (9.0以上)
貞観地震と東日本大震災を比較すると、①から④迄、すべて類似している。
今後どうなるのか。
貞観地震は何年後かに噴火や大地震が続いて起こっている。
地震専門家は「大きな地震が火山や活断層を刺激し、他の地震や噴火を誘発する可能性はある。過去を詳しく調べることで、今後起こることを想定内にできるはず」
過去を詳しく調べるのが、表題の地震考古学である。
調べるのは、日本では少なくとも、奈良時代以降は災害記録はかなり詳しく残っているらしい。
そして、東日本大震災が起こってからは、大規模で活断層の調査は詳しく行われている。
それに加えて、最近の都市開発に伴う遺跡発掘調査で、かなり地震の跡が発掘されており、今は、地震考古学が一挙に花開いている状況に見える。
古墳調査に限っても、遺跡の測量図によれば、有名な古墳では、応神天皇陵、(継体天皇陵と考えられている)今城塚古墳には、明瞭に1596年九月の慶長伏見大地震で地滑りがあったことが分かる痕跡がある。
これらを扱う地震考古学は時代が生んだ新しい学問分野であると思った。
慶長伏見大地震とは現在の京都・伏見付近の有馬-高槻断層帯および六甲・淡路島断層帯を震源断層として発生したマグニチュード(M) 7.25-7.75程度と推定される直下型地震である。
地震による死者数の合計は京都や堺で1,000人以上を数えたと伝えられている。