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ライトスタッフ/アイランド/地獄の黙示録

2017年12月26日 | 映画

DVDで鑑賞した旧作、3作品の感想です。

ライトスタッフ (The Right Stuff) 1983

ドリーム」を見た時に、マーキュリー計画(有人宇宙飛行計画)に携わった宇宙飛行士たちを描いた作品があると知りました。アメリカ初の宇宙飛行士として選ばれた7人の話ですが、彼らの成功の前にはある飛行士の存在がありました。ドキュメンタリーが原作とあって、ドラマを交えつつも記録映画のように手堅く作られた作品でした。

3時間以上の長編ですが、それもそのはず、まずはプロローグとして音速への挑戦から始まるのです。この時点で何人もの飛行士が犠牲になったことを知り、愕然としました。そして天才飛行士イェーガー(サム・シェパード)が初めて音速飛行を実現しますが、その彼も宇宙飛行士には選ばれなかったのです。

宇宙飛行士を選考するための、首をひねりたくなるような試験の数々もおもしろかった。その中から「ドリーム」にも出てきたジョン・グレン(エド・ハリス)をはじめ、選りすぐりの7人が選ばれます。今も宇宙飛行士になるのは難関ですが、アメリカ初の有人宇宙飛行ですから、その注目度は半端ありません。家族の苦悩も描かれていました。

誰も経験したことのない命がけのミッションにチャレンジする、彼らの勇気とフロンティアスピリットにただただ感銘を受けました。あらゆる訓練を乗り越えてきた自分に対する自信であり、支える技術者たちへの絶対的な信頼があってこそ、初めてなし得た偉業だったのでしょうね。宇宙開発の礎を知り、胸が熱くなりました。

アイランド (The Island) 2005

カズオ・イシグロさんがノーベル文学賞を受賞した時に「わたしを離さないで」に似た作品として一部で話題になっていた本作。イアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン主演のSF映画ですが、マイケル・ベイ監督らしい良質の娯楽作品となっていて、すごくおもしろかったです。

「わたしを~」では文学的・哲学的に婉曲に表現されていることがらが、本作ではクローンがいたらこんなことができちゃいますよ、こんな問題が起こりますよ、とずばり描かれています。それでいて人権や倫理の問題もさりげなく織り込まれていて、考えさせられる作品にもなっていました。

リンカーン(マクレガー)とジョーダン(ヨハンソン)は、清潔な施設の中で規則正しく、厳しく管理された生活を送っていました。ところがリンカーンはふとしたことで、自分たちが外界の富豪やセレブリティのクローンであり、臓器提供のためだけに生かされていることを知ってしまいます。リンカーンはジョーダンとともに施設から逃げ出しますが...。

リンカーンのオリジナルの人物は、著名なカーデザイナーという設定。というわけで、オリジナルvsクローンのイアン・マクレガー1人2役演技や、マイケル・ベイ監督らしいスリリングなカーアクションが存分に楽しめました。リンカーンが自分たちだけでなく、施設の仲間たちも助けようと奮闘するなど、気持ちのよいストーリーとなっています。

地獄の黙示録 (Apocalypse Now) 1979

フランシス・コッポラ監督による、ベトナム戦争の狂気を描いた作品。「猿の惑星:聖戦記」に登場した大佐が、本作のカーツ大佐をモデルにしているのでは?という声があり、見てみたくなりました。3時間半もの長編で、ようやくカーツ大佐が登場するのが2時間半を過ぎてからです。><

サイゴンのホテルで待機していたウィラード大尉(マーティン・シーン)は、ジャングルの奥地で勝手に自らの王国を築いたというカーツ大佐(マーロン・ブランド)を暗殺する指令を受けます。何も知らない部下たちを連れ、小型船で川を遡って王国を目指すウィラードたちは、途中で数々の異様な体験をします...。

ラスボスであるカーツ大佐が登場するまでに、狂ったエピソードがてんこ盛り。どうしても川でサーフィンがしたくて、ベトコンの村を襲撃する中佐とか、ジャングルの中で開催されるプレイメイトたちのステージとか...。そんなわけでカーツ大佐が登場する頃にはすでにへろへろでした。

傑作といわれる作品ですが、あまりリアリティが感じられなくて、私にはそこまで心に響きませんでした。

 

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