みちさんはそのまま抗がん剤の治療に入り、15分に1回の腹痛、下痢を繰り返しつつ、3週間の入院、1週間の退院、また抗がん剤、3週間の様子見入院、6クール
の予定だったんだけど、最初の1クール目の2週間の今日、急に退院になった。
何度も連絡くれて、
「後5年は生きたかったなぁ……」
と涙声の叔母に、
「まだ10年も20年かもしれないのにっ!!!絶対に進む時間を、悩んで過ごして治るなら悩めばいい。でも悩んでも治らない、余計にテンション下げて落ち込むのなら時間がもったいないー!!!」
「本当だねー。あんたは強いね……」
「強いんじゃないっ!悩んでも治らないでしょっ!!!」
ヘコむ叔母と話してた。
あたしは……死ぬ病気じゃないから言えるのかな……。
それは ますみちゃんと話す時も言ったな。
でも。ハッパを掛けるいつも毒吐きを演じたよ。
周りは抗がん剤の先輩ばかりで本当に色々教えてくれたらしい。
「抗がん剤2週間目くらいから髪の毛抜け始めるんだってー。可愛い帽子欲しいー。あんた、ネットで探してー!みんな、3クール目とか、5クール目って……。本当に心強い……」
絶対に可愛い、カッコいい、オシャレな帽子にしてやろう!
3つポチっと。
今日届けようとしてたら退院の電話。
またまたオペ終わりの先生を待ち、CTの画像を見ながらお話を聞いた。
「ここを見て?こんなに腫れてたのがこんなに……ね?」
「小さくなってますね。」
「ここも。圧迫されてたのが……ね?」
「広くなってますね。」
とにかく、オペと抗がん剤で、ちゃんとしっかり効果が現れて白血球の値も安定してるので、早目の一旦退院、と。
久しぶりに会ったみちさんは、帽子被ってた。
「もう抜けてる?」
「そうよぉ。抜けてるー。」
「これっ!見て!絶対気に入る!」
退院あとの車でプレゼン。
「かわいい!あっ!オシャレー!」
喜んでくれた。
お肌も髪も大切にして、月に1回は必ず美容室はるみさんちに行ってたのに。
でも、絶対に負けさせない。
もっとかわいい帽子プレゼントしよう。
負けさせない。