ちょうど前年の1999年がくまもと未来国体の年で、何度か紹介していますように国体時に熊本県下から120人の住民ディレクターを養成し、イベントFMラジオ局の運営と民放局の夕方ニュースの25分番組を制作していました。それが後ほど視聴率13.5%を記録した「新発見伝くまもと」という地域づくり応援番組になったのです。国体時の住民ディレクターの一部のスタッフを伴って西日本新聞のど真ん中で住民ディレクター新聞を数年間やりました。私自身は次第に皆さんに任せて全国ルートの開拓に出て行ったので、現在の状況は把握していませんが、当時は1年後には紙面の半面を週2回制作するほどになりました。
今でも住民ディレクターはテレビが専門だと思われている方が多いのですが、地域づくりの場を創ることが目的なので新聞、雑誌、SNSなどテレビ以外でも活用できるものは全部するのです。全国各地を回っていると多くの担当者が「こんなのはできないだろうか?」と提案される場合が多いのですがほとんどのケースは10年も前からやっていることが多いです。しかし、各地の皆さんからすると熊本の実態がみえないので、仕方がないことです。
西日本新聞は本社が福岡なのでまずは熊本支局で実験的にやってみようということで始まりました。「火の国リポート」の名前は当時の支局長が付けられました。我々は私をデスクとして5人の住民ディレクターが記者というより編集員になり、県下各地の住民の皆さんに依頼して記事を書いてもらうプロセスを応援しました。テレビの番組づくりそのままです。
左下に二人の写真がありますがその左側がデスク役の私です。「心温まる地域の情報お届けします」とのタイトルで「住民自身が住んでいる地域から情報を発信する。しかもその情報は住民の編集スタッフが各地の人々に呼びかけ、集め、整理する。火の国リポート基本の考え方だ。メディアによくありがちな表向きだけの住民参加ではなく、(新聞社も)本気でやるということなので、私たちも企画の最初から主婦のみなさんらと共にボランティアで参加している。この小さな歩みを人間的で温かい地域情報化社会の創造につなげたい。」と書いています。
当初は西日本新聞の記者さんと連携を考えていたのですが、1年もするとよその新聞社やテレビ局の記者の皆さんがこの欄を見て取材に動くというほどになりました。実際記事を書いた住民のみなさんから入る情報なので間違いなくそういう記者さんが増え、「火の国リポート」はプロの記者から追いかけられる存在ともなりました。要はプロの記者には無理な日常の中から生まれた「おしゃべり話題、井戸端企画」がその位置づけを確たるものとしたのです。
コンテンツ論議ではこの視点はでますが、じゃあ誰がやれるの?というところで止まってしまう企画です。住民ディレクターはテレビをやっているのでそれを文字に落とせばいいのです。一石二鳥も三鳥にもなります。やはり「コンテンツは人」なのです。
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