最近では兵庫県佐用町、長野県長野市、岩手県住田町、そして13日にうかがった山梨県上野原市・・・。まだまだあります、市町村のケーブルだけではありませんが、恐らく今は自治体ケーブルテレビが元気にやれる時期なのでしょう。
地域SNSなどの普及で一人一人の表現が簡単に地域を超えて伝わるようになったと実感する人が増えています。とはいえ、「実際生活」では地域の人々とのコミュニケーション、関係性が極めて大切です。その課題を解決する方法がずっとありませんでした。地域で考えるとやはりネットを使ったSNSよりはケーブルテレビがより直接的な影響力を持っています。お年寄りも子供も全員が簡単に見られるからです。
わたしたちはこの55年間テレビの始まりと同時にずっと遠くの出来事や遠くの人々の姿を見てきました。正確にいうと見せられてきました。テレビジョンは「遠くを見る」「遠眼鏡」という意味です。で、わたしたちは自分の地域ではなく東京を中心とする都市生活、生活感のない無機質空間、無機質人間をいっぱい見せられてきました。その先に宇宙、惑星など「テレビで見る」ということで知ってきました。そして55年間、遠くばかり見ることになれて足元を見なかったので、多くのものを失いました。地元にいた青い鳥が見えませんでした。
こういう状況が続いた中で気づいたらインターネットが普通になり(とはいえまだまだひかれてない地域も多いですが)人と人を結ぶ道具として様々な使い方が展開されました。しかし、道具は道具です、使う人の問題が解決されない限り道具を使う面白さはいずれ止まります。ひとは暮らしを豊かにするために道具を作り、使って来たからです。
道具そのものの面白さには普遍性はありません。一人の人間や地域単位では到底創れない優秀なIT道具が次々と無料で使える状況も来ました。そしてその土台になってきた(かのようにみえていた)金融経済が壊れ、今やいよいよ裸の人間が何ができるか?という人間一人一人の能力、身体、健康が最大の財産であり、これから迎える大変な時代の切り札となってきました。
光ケーブルテレビは昔あったCATVと仕組みは基本的に同じです。テレビの機能があるだけです。ケーブルテレビが元気なのはとうとうこのテレビという道具を使い切る人たちが出てきたからだと思います。勿論、同じことを同じようなタレントで同じような番組ばかり流している民放に飽きたということも55年の年月が成した業です。それと共にケーブルテレビのステイタスが上がったこともあります。ですから元気なケーブルテレビは民放を参考にしないで独自路線をいけるところです。
山梨県上野原に行って感動したのは、社長、役員、全責任をもつ局長、社員の全員が本当に素人だったことです。とっても魅力的です。面白いです。昭和28年にテレビ放送が始まったときに多くのチャレンジャーが登場し活躍したような、新しい開拓者の登場が今、小さな地域のケーブルテレビで続々とはじまっています。
(写真;平成8年から続く熊本市のケーブルテレビの番組「使えるテレビ」/日本初の住民ディレクター番組)
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