例えば、写真は米飴を作っているところ。米の粉からねっていかれて飴になっていくところをずっと動画で追っかけています。取材しているのはNPOくまもと未来の澤啓子さんで、動画を見てもらうとわかりやすいのですが実は見学者がいっぱい来ていてその中で実演しているところです。米飴が伸びて巻かれながらね練られていく音が心地よく、一方で見学者の驚嘆の声や、感心するため息などが聞こえます。
プロの取材ではこういう場合、見学者といえども声を出したり、近づいてはいけないのですが、この日は取材者は澤さんなので、どなたも普通の見学の雰囲気で、「わあーっ」「へえーっ」「見て見てみてえ」などと賑やかです。ビデオで見ている我々もまさにそこにいるような臨場感に溢れています。女子アナの紋切り型の反応ではなく、中高年齢の男女が多く、遠慮なしに驚きの声を上げてくれるのが、職人さんにも伝わり、ちょっとした「お菓子職人劇場」のようです。
NPOの澤さんはこういう風にいつも熊本県内の郷土料理や特産品を作る人の現場でおしゃべりをしながら自分自身の関心を前面に出して取材??、というよりノウハウを習得に行っているかのようです。見学者以上に取材者澤さんの驚きの声、質問が目立ちます。このビデオは例えば、この米飴屋さんにすれば単純に店のコマーシャルに使えます。テレビのCMではありません。この日のように見学に来たいと思っている人に事前に見せて回ったり、「食」を考える生活者グループに見せたりするCMとしてです。
つまり店にファンを連れて来るためのCMです。不特定多数を相手にするのではなく、食に関心あるお母さんがた、親子、NPOなどに見てもらって、地域の伝統産業の見学というコンセプトでも十分活用できます。総合学習にも。澤さんの声があって却って、そういう人たちに親しみを持ってもらえます。
澤さんはといえば、すでに熊本市内のケーブルテレビで放送するコンテンツとして成立しています。地上波民放でもやります。熊本ではこのように既存メディアのルートをすでに開拓しているのですが、この発想は全国どこでも通じます。メディアのほうはこういう情報を欲しいと思っているのですが、なかなかそんな人と出会えません。住民のほうもメディアは敷居が高いと思い込んでるので、なかなか接触ができません。そこで、私のような人間の役割があるのですが、間違いなく全国の各地にそういう存在はいます。
昔は発信するメディアを求めて右往左往していたのですが、今はネットでやれちゃいます。が、要は見てもらえるかどうかのところが課題になります。一時勢いがあった市民メディアの動きが少し静まったのもそこにあるのでしょう。しかし、住民ディレクターは結果的に市民メディアでもありますが、本質は地域の活性化、地域づくり、地域のコミュニケーションの活性化で、面白がってもらえるとか、何万人の人が見ないと意味がないとかに意味はないのです。10人でもいいから、地域の熱い気持ちを受け取ってくれる人たちや、いいことばかり言うけれど動かない何十万人の人よりも、この飴作りの現場に実際身銭を切って来てくれて、驚嘆の声を上げてくれる一人の人を求めるのです。
その上で、さらにこのコンテンツがマルチに活用できるのは取材者である澤啓子さんを売ることです。
続きは明日に・・・。
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