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アウトソーシングの危険性 *会社をヤクザ的暴力からどう守るか*

2018-02-02 12:13:13 | 時事問題

アウトソーシング(外部委託) の危険性を

知らない企業と国家

*核心的情報をアウトソーシングする愚かな会社 

 *核心的防衛力をアウトソーシングする愚かな国家

                                  永井津記夫

    *アウトソーシングして経営危機を招いたベネッセ

  2014年にベネッセから個人情報が流出した、との報道がなされた。当時、教員の私にとって関係のある教育関係の企業であったので「ベネッセも大変なことになったなあ!」という思いをいだいた。が、自分が当事者になっているとは夢にも思わなかった。後日、ベネッセから個人情報漏洩の詫び状が送られてきて、私の子供が小学生のときに「進研ゼミ」に加入していて保護者である私の住所・氏名なども情報として外部流出していたのであった。ベネッセ側の情報が、アウトソーシング(外部委託)した会社の下請けの会社の社員によって持ち出されて名簿業者に売られていたのである。

  ベネッセはこの顧客の個人情報漏洩によって多額の損失を出し、保護者の信頼を損ねる結果となり、多数の顧客がベネッセを離れた。これはベネッセという企業の存亡にかかわる問題となった。

  ベネッセの失敗はどこにあったのか。その答は簡単である。「顧客の個人情報」という教材を提供する会社として核心的に重要なものの取扱いをアウトソーシング(外部委託)したからである。企業にとって核心的なものを外部委託(アウトソーシング)してはならない。たとえ、人材不足でも、その人材を、外部からヘッドハンティングしてでも雇い入れるか、育てるかをしなければならない(金はかかるかもしれない)ということである。いちばん重要なところに金をケチると大きな損失、企業の存亡にかかわる事態を招くことがよくあるのだ。内部社員でも情報漏洩の危険性はあり、内部社員による情報漏洩防止対策は徹底しなければならないが、アウトソーシングするよりははるかに安全であるといえよう。安全にはコストがかかる。コストを削減するためにアウトソーシングして、大きな損失を出しては何をか言わんやである。会社の掃除なども外部委託している場合が多いと思われるが、持ち出されては困るような情報のある部屋などの掃除を外部業者にまかせるのではなく、内部の社員でやるべきであろう。外部からのスパイ活動の防止も徹底する必要がある。軍事戦略的思考も必要になる。

  ベネッセは昨年、赤字から脱却し経営危機を脱したようである。ベネッセには私の勤めていた高校の卒業生も勤めており、今後ともよい方向に向かってほしいものである。

 

*会社をヤクザ的組織の暴力的言動からどう守るか

  テレビ局新聞社銀行はよく外部からの脅しや威嚇にさらされることがある。▽▽連合、△△総連、◇◇組などと称する組織からやって来て、会社の受付で、数人の屈強な男たちが大声でわめく。この行為は会社に対応機能がないと十分な脅しとなり、効果を発揮することが多いのだ。

 ネットなどに▽▽組が某テレビ局に押しかけ脅しをかけたために▽▽組の悪行は報道されない、というような記事がある。これが事実なら脅しが奏効したということになる。が、経営者には会社組織としての“防衛体制”をつくるという発想が皆無ですべて警察まかせですませると考えていて、自力で対処することなど最初から頭にないのが通常だろう。このような暴力的状況(脅し、威嚇)にどう対応するか、学校でも教えないし、世の中で正式に教えている所はどこにもないのではないだろうか。

  ヤクザ組織ならこのような脅しにはヤクザ的対応をする。つまり、“暴力”で相手を叩き伏せればよいだけである。が、カタギの会社はヤクザ組織に応援を頼む、つまり、アウトソーシングするわけにはいかない(テレビ番組では企業や国会議員等がヤクザを使って邪魔者を消す話がよくあるが論外だ)(* 新注)。ばれたら世間から袋だたきにあうし、刑務所行きになる。ではどうするか。

  まず、現今のハイテク時代を勘案すると、受付に「受付に失礼な応対がないかを調べるため対応の会話を録音させていただいております」というような案内文を目立つように置くということである。もちろん、防犯カメラも目立つように何台か設置しておくことも必要である。これで、失礼な男どもの暴言や行動をある程度ふせげる。

  録音や防犯カメラで簡単に引き下がらない場合はどうするか。これには、びびらない、腕力もある正社員(* 注1)を配置するのである(この社員を警備員のように一つの場所に常駐させたり、巡回させる必要はない。緊急時に所定の場所にすぐに集合できる部署にいればよい)。ヤクザ的な脅し、どなり声にビビらない社員を数名用意しておくということである。ヤクザ的組織の連中が大声を出すだけで帰ればそれでよいし、帰らずに最後に手を出せば、正当防衛で叩き伏せる。これができる社員を採用し用意しておけばほぼ会社としての対策はできていることになる。暴対用の社員の反撃にしっぽを巻いて逃げ帰ったヤクザ組織がナイフや刀などの凶器を持ち出して再度乗り込んできたら(これを行なうヤクザ組織はまずない)、明白な犯罪行為であり今度は警察に出動を要請することになる。私の説く暴対用組織体制をとっている会社がどれくらいあるのだろう。

  私は昭和49年ころ、近所の人から息子をぜひ教えてほしいと頼まれて、英語を教えることになった。ある私立大学の付属高校に通う三年生であった。坊主頭で体も大きくいかつい顔立ちをしていた。勉強後、その生徒と話してみると、学校では最初、“ワル”と間違われて目をつけられたということであった。「学校では問題を起こした生徒にどんな指導をしているのか」とたずねると、「“説諭部”というのがあって、柔道や空手をやっていた体も大きくてこわい先生がワルを指導している(※説諭部は他の学校ではふつう生徒指導部という)」という答が返ってきた。「この高校はワルに対処するために“ワル用”の教師を採用しているのか」と思ったものである。当時、大阪の府立高校の中のいわゆる“底辺校”では校内暴力などで学校が荒れているところがかなりあった。“底辺校”でも生徒指導部のしっかりしているところは表面的には落ち着いているが、そうでないところは、授業もまともにできない状態になっている学校もあった。

  つまり、学校においても“ワルの暴力”に対応する組織と人材があるところは、安定しており、その組織に不備があるところは問題に対処できていないということである。

  テレビ局新聞社などもよくヤクザ的組織からの直接的な威圧、暴言、暴力に見舞われることがあると思われるが、それに対応する戦略、一種の“軍事的戦略”が必要である。自前の対策組織を会社の中に作るということである。ただ、その組織の長の人選は文武両道に秀でた、暴力にビビらない人物を選ぶことが肝要である。マスコミがあらゆることに対して真実を伝えるためには自前の“防衛組織”を作る必要がある。“伝えるべきこと”を怖れから伝えないことも“嘘を伝えること”と同様にあってはならないことである。

  さわらぬ神にたたりなし式に、ヤクザ的組織やヤクザ的国家などの蛮行、悪行、汚点は報道せず、その(嘘か真か裏のとれない)主張や映像をそのまま垂れ流すようなことをやっていたら、日本のマスコミ、すなわち、テレビ局や新聞は大多数の国民から見捨てられることになるだろう。“報道の信用性を失った”新聞や、日本人の一部の者の利益に与くみし、多数の利益を損なうように誘導しようとする新聞は存在する価値がない。

  会社やマスコミは核心的情報の確保や暴力対策に対して、アウトソーシング(外部委託) してはいけないことは明らかであろう。が、日本という国はもっとも肝腎な“暴力対策”に対してアウトソーシングするという非常に危険な、国家としてはあってはならないことをやっている。つまり、自国の防衛を米国に依存しているということである。これほど危険なことはないのであるが、今は憲法上の制約と米国の意向(指示)にしばられて自由な発想と行動がとれない状況が続いている。(米国は無料で防衛力[核の傘]を貸しているわけではない。非常に高くついていて日本人の富がごっそり奪われているが、この点を指摘する経済人はほぼいない。政治家も [与野党通じて] いない。)

  この点についてはこのブログだけで述べることは困難なので、別の機会に論じなければならないが、歴史の重みに欠ける“ヤクザ国”“野蛮国”に取り囲まれた中で、日本は歴史の重みとすぐれた文化を有し、“神仏習合”の非排他的、調和的宗教観を有する“稀少”国として世界を本当の意味でリードするためにどのように行動していくのかを決断する時期が来ていると私は考えている。


(* 新注) 「論外」と簡単に切り捨ててしまったが、実際には、様々な形で、暴力団や総会屋が企業経営で発生する弱み(不祥事)、企業経営幹部個人に由来する弱み(不祥事)につけ込んで巧妙な形で企業の利益の一部を吸い取るということは希でなく存在するようである。これは、不祥事を起こしたことに対して(最高)責任者が辞任するなどの適切な処置をすれば良いのであるが、それが社長かその周辺の幹部であると自分の地位にしがみつくために、ヤクザ組織がそこにつけ込んで、金を搾り取る(合法的な形で)ということが起こる。これを防ぐ方法はある。手順を踏まないといけないが(話は簡単ではないけれども)、簡単に言えば、企業の幹部(社長を含む)が不祥事を起こし、外部から企業に対して不利益な要求をしてくる場合、当該幹部が責任を取ってすぐ辞任できる環境、つまり、退職金に相当する金を用意して責任を取ってすぐ辞任できる環境を用意しておくということである(金でしがみついているのではないかもしれないが)。その金は何らかの名目で企業が正式に用意しておく。また、幹部でないが、ある程度、重要なポストにいる社員の不祥事も非合法組織に利用されやすいので、幹部と同様に対応すればよい。幹部一人に1億円の退職金(手切れ金)で済むものをそれをせずヤクザ組織に10億、20億と吸い上げられて最後にはバレて企業存亡の危機に至るようなことになってはならない。 (この部分、2018年5月31日追記)

  

(* 注1) 腕力と度胸があってビビらない人物は100人のうち1人くらいかもしれない。百人のうちの半分50名は女性である。なかには男に勝る猛者もいる場合もあると思うが、女性に腕力を求めるのは適当ではないだろう。残りの50名に1名くらいは男の勇者がいるであろう。残りの49名は猛者でなくても、心優しく、頭のきれる人もいるだろうし、手先の器用な人もいるだろう。人はそれぞれの役割がある。腕力と度胸があるのがいちばん勝れていると言っているのではないので誤解のないように“暴対用”に一番適している人物に言及しているだけである。が、この腕力と度胸のある人物を嫉妬から排除してはならないし、上に立つ者は有効活用しなければならない。企業の中にはこのタイプを採用しない企業もあると考えられるが、どの企業も少数は採用しておくべきである(上記のワル対策に“ワル用の教師”を採用している高校のように)。

  残りの49名の中には腕力はないが、度胸はある人物が3,4人いるはずである。彼らも鍛えれば“暴対用”に使える。全ての組織(企業、マスコミ、役所、国)は“暴対用”の人員を、低レベルから高レベルまでの軍事戦略的思考にもとづいて採用、配置すべきである。(“軍事戦略的思考”には「孫子の兵法」なども含まれるが、軍隊組織のみが使う“思考”ではない。あらゆる善良な組織が生き残るために合法的に活用すべきものである。悪人ほど活用しているというような社会を作ってはならない。) (2018年2月2日記、2月3日追記、2月14日小修正)