電力天下り、震災後も継続・宮城 河北新報 2014年7月26日(土)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140726_11016.html
宮城県の原子力行政を担当した技術職トップのOBが、福島第1原発事故後に東北電力に再就職していたことが25日、分かった。慣例に従ったとみられる。県は東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の可否判断に深く関わるだけに、中立性や公正性の点で疑問の声も出そうだ。
◎再稼働判断中立性に疑義
県は「一定のルールに基づき、経験を生かせる人材を紹介している。再就職が行政判断に影響することはない」と説明。「内規に基づき、退職後2年以内の人は紹介していない」と話す。
県によると、OBは東日本大震災から間もない2011年4月、東北電力電源立地部に再就職した。原子力安全対策課を所管する県環境生活部次長で退職し、再就職直前までの2年間は県公害衛生検査センターに務めていた。
関係者の話では、東北電での肩書は電源立地部調査役。年収600万円で退職金はないという。
環境生活部幹部が東北電に再就職するケースは1989年に始まり、震災前7人、震災後1人の計8人。ほとんどが県庁で原子力安全対策室長や原子力センター所長などを経験している。
東北電力への再就職の状況は表の通り。県環境生活部の技術職トップが代々引き継いでおり、慣例化している様子がうかがえる。原発事故後に一部県幹部から再就職を辞退するよう提案されたが、中断されなかったという。
東北電力は「当社事業を円滑に推進していく上で、専門分野に見識のある人の助言が必要と考え、採用している」とコメントしている。
電力会社が原発を再稼働させるためには、原子力規制委員会の審査に合格した後、「(立地県などを想定した)地元の同意」を得る必要がある。宮城県も安全性を検討する独自組織の設置方針を固めており、従来の立地自治体と電力会社の関係は変化している。
女川原発では、2号機について規制委による審査が行われている。
<癒着の温床の一つ>
国会事故調査委員を務めた野村修也・中央大法科大学院教授の話 規制当局が事業者のとりこになる温床の一つが「天下り」。一定のルールを守れば許されるものではない。福島の事故の教訓を大事にしなければ、原発の安全性に対する信頼度は低下する。行政の判断も信用を得られなくなるだろう。
◎「内規通り」正当性強調/宮城県、慣例化を否定
宮城県OBの東北電力への再就職について、県は25日、「内規に基づいている」などと正当性を強調した。技術職トップの「天下り」先として慣例化しているとの見方については、「自動的に行く(再就職する)わけではない」と否定した。
県人事課は「在職中も客観的な立場で業務に当たっており、恣意(しい)的な要素は入ってこない」と説明する。
過去を含め、再就職した8人はいずれも県環境生活部の技術職トップ。この点について県は「東北電の求めに応じて環境分野で経験を積んだ人を紹介している。その点で技術職トップが最有力になる」(人事課)と語り、適材適所の結果であることを強調した。
原発再稼働に向け、県は可否判断の重要な鍵を握ることになる。人事課の担当者は「内規で当時の人間関係、情報に基づいて県に要求する行為は禁じている。(行政上の)支障があるとは認識していない」と述べた。
天下り役員一覧 (画像アップロード参照) /Users/machiko/Desktop/20140726s1001.jpg
河北新報が、電力関係の人事交流(天下り)を公表したことで、電力行政を巡る様々な構図や図式を推察していたことが事実となった。このことは、国策として行なってきた電力需給について再考しなければならないことが山積していることを示唆しているといえよう。
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140726_11016.html
宮城県の原子力行政を担当した技術職トップのOBが、福島第1原発事故後に東北電力に再就職していたことが25日、分かった。慣例に従ったとみられる。県は東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の可否判断に深く関わるだけに、中立性や公正性の点で疑問の声も出そうだ。
◎再稼働判断中立性に疑義
県は「一定のルールに基づき、経験を生かせる人材を紹介している。再就職が行政判断に影響することはない」と説明。「内規に基づき、退職後2年以内の人は紹介していない」と話す。
県によると、OBは東日本大震災から間もない2011年4月、東北電力電源立地部に再就職した。原子力安全対策課を所管する県環境生活部次長で退職し、再就職直前までの2年間は県公害衛生検査センターに務めていた。
関係者の話では、東北電での肩書は電源立地部調査役。年収600万円で退職金はないという。
環境生活部幹部が東北電に再就職するケースは1989年に始まり、震災前7人、震災後1人の計8人。ほとんどが県庁で原子力安全対策室長や原子力センター所長などを経験している。
東北電力への再就職の状況は表の通り。県環境生活部の技術職トップが代々引き継いでおり、慣例化している様子がうかがえる。原発事故後に一部県幹部から再就職を辞退するよう提案されたが、中断されなかったという。
東北電力は「当社事業を円滑に推進していく上で、専門分野に見識のある人の助言が必要と考え、採用している」とコメントしている。
電力会社が原発を再稼働させるためには、原子力規制委員会の審査に合格した後、「(立地県などを想定した)地元の同意」を得る必要がある。宮城県も安全性を検討する独自組織の設置方針を固めており、従来の立地自治体と電力会社の関係は変化している。
女川原発では、2号機について規制委による審査が行われている。
<癒着の温床の一つ>
国会事故調査委員を務めた野村修也・中央大法科大学院教授の話 規制当局が事業者のとりこになる温床の一つが「天下り」。一定のルールを守れば許されるものではない。福島の事故の教訓を大事にしなければ、原発の安全性に対する信頼度は低下する。行政の判断も信用を得られなくなるだろう。
◎「内規通り」正当性強調/宮城県、慣例化を否定
宮城県OBの東北電力への再就職について、県は25日、「内規に基づいている」などと正当性を強調した。技術職トップの「天下り」先として慣例化しているとの見方については、「自動的に行く(再就職する)わけではない」と否定した。
県人事課は「在職中も客観的な立場で業務に当たっており、恣意(しい)的な要素は入ってこない」と説明する。
過去を含め、再就職した8人はいずれも県環境生活部の技術職トップ。この点について県は「東北電の求めに応じて環境分野で経験を積んだ人を紹介している。その点で技術職トップが最有力になる」(人事課)と語り、適材適所の結果であることを強調した。
原発再稼働に向け、県は可否判断の重要な鍵を握ることになる。人事課の担当者は「内規で当時の人間関係、情報に基づいて県に要求する行為は禁じている。(行政上の)支障があるとは認識していない」と述べた。
天下り役員一覧 (画像アップロード参照) /Users/machiko/Desktop/20140726s1001.jpg
河北新報が、電力関係の人事交流(天下り)を公表したことで、電力行政を巡る様々な構図や図式を推察していたことが事実となった。このことは、国策として行なってきた電力需給について再考しなければならないことが山積していることを示唆しているといえよう。