1925年農民・小作争議1,303件の特徴等 (読書メモ)
参照「日本労働年鑑第7集/1926年版」 大原社研編
1、1925年農民・小作争議の特徴
第一に、従来の地主小作の封建的主従関係を脱却し、地主の搾取に対し階級意識による反抗がある。第二に、過去の百姓一揆的闘いから、近代の労働組合的闘い、すなわち計画的・組織的運動へと変化している。第三に、初期の小作地返還不作同盟から次の小作米不納、永久3割減要求、本年に至っては地主側が「所有権」を楯にして裁判に訴える強圧的ケースがかなり多くなり、これに対して小作側は「耕作権」を旗印に対抗し、対立は益々深刻化している。
2、小作争議件数
小作争議は、1921年(大正10年)から一挙に爆発し、その数は年々増加し、1925年(大正14年)は1,303件で、前年比43件の増加である。大阪府で227件、福岡県210件、兵庫県169件、愛知県80件、岐阜県60件、新潟県57件、埼玉県55件、京都府38件、香川県37件、岡山県36件で、次いで鳥取、山梨、三重、滋賀、奈良、和歌山、富山、東京、徳島、島根、愛媛の順である。
3、争議の原因と要求
争議の原因は、凶作・不作が多い。要求の第一に、その年の小作料減額が65.8%(前年74.1%)、第二に、小作料永久減額が21.1%(前年19.0%)である。
4、小作争議関係人数
1925年の小作争議の関係地主数は19,302人(前年19,015人)、関係小作人数は84,404人(前年79,928人)。
(それにしてもこの年に決起した農民は、すごい数です。同い年の労働争議は293件、労働者のスト参加者は40,742名ですから、その倍以上の農民が決起しています。)
5、小作争議の結果
妥協・一定の改善 855件(前年1,148件)で全体の50.26%
全面勝利・要求貫徹 51件(前年75件)で全体の3%
全面敗北・要求撤回 13件(前年32件)で全体の0.76%
未解決・争議継続 763件(前年252件)で全体の44.86%
6、小作調停
1924年(大正13年)7月21日に発布された小作調停法は、1924年12月1日から1925年6月末の7カ月で調停申立総数は863件で、調停成立数は428件(約5割)で、不成立は7件である。地主側の申立が57%、小作側の申立が42.5%である。
7、次回から『1925年の主な小作争議』です。
石生豊田小作争議(岡山県)
伏石小作争議(香川県)
基山村騒擾事件(佐賀県)
群築村小作争議(熊本県)
金蔵寺争議(香川県)
小坂鉱毒・煙害反対争議(秋田県)
阿仁前田の小作争議(秋田県)
以上