写真・紡績染物労働組合発会式―大阪（壇上中村スズ子）1928年
1928年に女性たち多数が立ち上がった主な労働争議まとめ―1928年の労働争議(読書メモ)
参照・協調会史料
・日本労働年鑑第10集/1929年版(大原社研編)
小林織物工場争議
場所 長野県
従業員数 女19人 男2人
争議参加者 19人の女性のみ
労農党応援
争議発生日 1月18日
原因 賃金1割賃下げ
要求
一、賃下げ反対
二、工場の暖房など
会社批判演説会開催 官憲労働者を検束 会社、19人全員の解雇攻撃
解決 解雇手当1500円支給
桜陽館製糸場争議
場所 福島県
従業員数 女144人 男25人
争議参加者 全員
労農党系が応援
争議発生日 1月
原因 賃金不払いと工場閉鎖
ストライキ決行で一旦は解決したが再び争議勃発
大阪メリヤス紡織株式会社旧工場争議
場所 大阪
従業員数 女559人 男289人
参加者数 全員
争議発生 1月
総同盟大阪紡織労働組合
原因 会社の組合切り崩し攻撃。12人解雇。示威行動。調停の結果、2500円の解雇手当で解決。
日本絹織株式会社桐生分工場争議
場所 桐生市
従業員数 女68人 男1人
争議参加者 女性45人 男1人
労働組合 評議会系桐生労働会
争議 1927年11月～28年2月
原因 1割の賃下げと工場長の独断的態度に反発した女性たちの工場長排斥の闘い。11月23日要求書提出
一、賃金1割5分の値上げ
二、工場法の完全な実施
三、健康保険料を会社負担
四、解雇手当の制定
五、退職手当の制定
六、勤続手当の改善
七、罰金制の即時撤廃
外4項目
2月28日、会社は争議参加者23人を解雇してきた。
福島共同製糸場争議
場所 福島県伊達郡
従業員数 女70人 男13人
争議参加数 83人全員
応援 労農党
原因 工場閉鎖と賃金不払い。賃金の全額払いを要求し、ストライキ決行。示威行動で11人が検束。
3月1日未払い賃金支給し解決
大阪紡績株式会社工場争議
場所 大阪
従業員数 女1130人 男200人
争議参加者 女性830人
要求 賃下げ反対と女工の待遇改善。
闘い 3月2日出勤交代時に女性830人が一斉にストライキに入ろうとしたため、会社狼狽し、すぐに女工代表から要求を聴いて交渉を開始し解決した。
旭絹織株式会社撚糸部争議
場所 滋賀県
従業員数 女320人
争議参加者 女性320人全員
争議発生日 4月23日
闘い 平素から横暴な監督に怒っていた女性たちは、4月23日午前4時30分、秘かに数隊に分かれ石山寺門庭に集結し、みなで要求を決め、そのままストライキを敢行した。あわてた会社はすぐに女工代表と会見し24日解決した。
大日本紡績株式会社鹿児島工場争議
場所 鹿児島県
従業員数 女1184人 男280人
争議参加者数 女性240人 男24人
労働組合 鹿児島合同労働組合
会社は女工たちの賃下げを強行し、4月30日以降組合員を次々に馘首してきた。5月2日早朝よりストライキ敢行。
要求
1、反動主任の排斥
1、4月30日以降の馘首者を全員撤回
3、女工の賃金を以前と同じになるように値上げすること
1、女工の労働環境の改善
①寄宿舎の便所掃除の廃止
②炊事登板の廃止
など
解決 男23人、女32人の他は復職で解決
富士紡績株式会社大分工場争議
場所 大分
労働者 3172人(主に女性)
争議参加者 女性24人
作業方法を巡って5月2日、24人の女性たちが闘った。
合資会社森田帽子製造所争議
場所 大阪市
従業員数 女50人 男74人
争議参加者数 124人全員
不況による休業に対し、124人は休業中の賃金支給や解雇手当などを要求し実現した。
日東大工品株式会社争議
場所 小倉市
従業員数 女70人 男19人
争議参加者 89人全員
要求
一、賃上げ
二、解雇手当
三、労働時間制定
など
天満織物株式会社城北工場争議
場所 大阪市
従業員数 女1370人 男500人
争議参加者数 全員
労働組合 大阪紡織染物労働組合(旧評議会系)
大阪紡織労働組合(総同盟)
発生 5月
原因 会社は組合幹部に目を付け、10人を次々と解雇してきた。不当解雇撤回、深夜業撤廃など要求し1800人がサボタージュ闘争に決起。大阪府特高課の斡旋で10人の解雇者に金3千円支払うなどで解決。
川西善三郎織布工場争議
場所 大阪
従業員数 女159人 男59人
争議参加者 全員
5月20日、会社は賃下げを決め、女性たちの父兄を呼んで賃下げを伝えた。5月22日、労働者たちは突如ストライキを決行した。会社は父兄に命じて切り崩しをはかってきたが失敗した。6月3日妥協が成立して解決した。
福島紡績株式会社福山工場争議
場所 福山
従業員数 女954人 男410人 計1364人
争議参加者 女性だけ6人
6月解雇問題で争議
東京モスリン金町工場争議
場所 東京
争議参加者 女性1,075人
日本紡織労働組合
争議発生 6月
闘い 外出時間延長・結婚の自由など要求しスト(～7月12日)
繭糸販売組合香南社争議
場所 高知県
従業員数 女155人 男20人
争議参加者 女性46人
7月1日から7月17日 解雇問題を巡り争議
株式会社備作製糸富山工場争議
場所 富山
従業員数 女344人 男32人
争議参加者 女性39人
7月7日から8日解雇に抗議し女性39人がストライキ
合名会社島田製鉄所争議
場所 富山県
従業員数 女109人 男30人
争議参加者 女性のみ36人
7月7日賃下げ1割から2割。女性たちは「これでは生活できない」と今迄通りの賃金支払いを要求
冨士瓦斯紡績株式会社争議
場所 川崎市
従業員数 女2747人 男940人
参加者 女性668人
争議発生日 7月13日
総同盟神奈川聯合会
会社の人事係が寮の舎監2人を不当に解雇してきた。会社の横暴に憤慨し、解雇者の復職や人事係の罷免などを要求した女性668人(労働年鑑では2500人がスト参加)は、7月13日朝7時交代時にあわせ、最初に寄宿舎の女性367人がストライキに突入した。ストライキは17日6時まで続いた。結局会社が必死になって女性たちを説得して、2人に解雇手当の他に相当な金一封を支払う、今回のストライキでは他に解雇はしない、人事係を適当な時に処理する等約束し、7月18日争議は終わった。
加美館製糸工場争議
場所 宮城県
従業員数 女200人 男25人
争議参加者 全員
仲間の女性への労働強化を不憫と重い、その怒りで7月18日一斉にストライキ
合資会社坂田館製糸場争議
場所 埼玉県
従業員数 女95人 男14人
争議参加者 女性70人
もともと低賃金のため労働者を募集しても誰も入ってこなかった。会社はあらたに募集賃金や手当を上げて募集した。これに職場の女性たち70人が憤慨した。7月27日ストライキの挙にでた。会社おおいに狼狽し、必死になって女性たちの要求を受け入れ交渉し、午後9時にようやく解決した。
梅原染織工場争議
場所 静岡県
従業員数 女15人 男14人
争議参加者 女性12人 男14人
労働組合 静岡合同労働組合
会社7月から賃金値下げ。8月要求提出、一、賃金2割値上 二、臨時休業中の賃金支給 三、織機の自動停止の振り付け。8月10日解決。
株式会社郡是製糸八鹿工場争議
場所 兵庫県
従業員数 女620人 男34人
争議参加者 女性500人 男1人
女工繰糸係監督小林一郎は、女性労働者から信頼が厚く、慕われていた。会社は小林一郎を退職に追い込んだ。寄宿舎の女性たちは、8月4日午前6時の起床笛が鳴っても誰も起きてこない。女性500人の一斉ストライキだ。女性たちは午前8時に要求を提出した。繰糸係の人事異動を慎重にすることなど。会社は「小林一郎を引き続き雇用する。その他の要求は承認する」と回答して解決した。
都田製糸工場争議
場所 鳥取県
従業員数 女83人 男2人
争議参加者 女性40人 男2人 計42人
7月の賃金は遅配、8月17日に賃金は支払われたが、罰金等が多くその時の賃金は大幅に減額されていた。労働者は大井監督に反感を抱き、彼の交代・排斥を求めた。大井は外されて争議は解決した。
高島マッチ工場争議
場所 神戸市
従業員数 女46人 男28人
争議参加者 女性40人
工賃の値上げ要求してサボタージュ闘争に入り、8月23日解決。
松陽製糸工場争議
場所 松●市雑賀町
従業員数 女103人 男8人
争議参加数 女性40人
8月分の給料の遅配に怒った女性40人が、9月8日ストライキを断行した。
福島紡績株式会社福山工場争議
従業員数 女976人 男389人
争議参加者 女性615人 男233人
労働組合 福島労働組合
９月6日一旦解決した争議が再びはじまった。
生糸販売利用組合降基館争議
場所 山梨県
従業員数 女73人 男15人 計88人
争議参加者 女性64人
会社は10月から従来の日給制から出来高払いに変更すると発表してきた。寄宿舎の女性64人は怒り、10月13日の朝の起床笛と同時に同村の大宮御社に集合しストライキに入った。14日、「賃金の算出方法を根本的に改める」等で解決した。
下仁田社製絲工場争議
場所 ?
従業員数 女190人 男21人
争議参加者 全員
要求 賃金値下げ反対
長崎紡績会社争議
場所 長崎市
従業員数 男457人 女2219人
争議参加数 女性435人 男約100人
争議発生日 10月3日
労働組合 九州聯合会
10月1日会社は請負制度の変更を発表してきた。10月3日男女工約500人は突如、相呼応し工場裏門から一斉に脱出しストライキをはじめた。会社は狼狽した。
嘆願書
一、10月1日から変更された請負制度の撤回
一、夜勤手当の増額
一、食費の値下げ
一、勤務時間は夜11時までとすること
一、寄宿舎の暖房
一、最低賃金の制定など
争議団は炊き出しを開始し、「檄文」と声明書を九州全域の友誼労働組合に発送。総同盟本部にも支援要請。労働者の家庭訪問と
ビラ「私達の叫び」を連続して発行した。
会社 組合の中心人物26人を解雇
組合員の父兄と面会し組合の切り崩しを依頼する
組合員の出身地の村長に組合員の切り崩しを依頼する
警察が介入し検束をはじめた。
会社は組合との交渉を強硬に拒絶と続けている。大阪堺工場、岸和田工場より応援の職工を呼び、また臨時工50人を募集し操業を続けた。争議団は、行商隊を組織し会社糾弾演説会を開催。10月18日解決。
日本染絨株式会社労働争議
場所 浅草区
労働者数 女86人 男219人
争議参加数 女性86人 男164人
労働組合 東京一般労働組合(自由聯合会)
争議発生日 12月21日
1928年12月21日年末賞与の支給額に不公平があり、怒った労働者は22日から、賞与2カ月、8時間労働制などを要求してサボタージュ闘争に入ったが、23日会社の強硬姿勢の前に要求を取り下げ仕事についた。
以上
