In Deepより転載
2021年1月20日
2021年1月20日
ーーー転載開始ーーー
ワクチンの有効率は最低で19%、高くても29%程度の可能性
英国の医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル (以下、BMJ)は、世界で最も権威ある医学誌のひとつで、Wikipedia にも、
> 日本でも医師であれば必ず読んでおくべき雑誌と言われている。
とありますように、日本の医師の方々にもぜひ読んでおかれてほしい BMJ の記事をご紹介させていただきたいと思います。
BMJ の副編集長であるピーター・ドッシ(Peter Doshi)氏が 1月4日に発表した意見記事で、
「ファイザーワクチンの有効率 95%という数値への懸念」
を検証したものです。
感染確認数などもそうですが、いろいろなことが「数だけ先走りする」のは、ワクチンの有効率も同じであり、この「有効率 95%」ということは大きく報じられ続けていますが、詳細なデータが公開されるに従って、この数値の根拠がきわめて不正確である可能性が判明し始めています。
BMJ の記事のタイトルは、
ファイザーとモデルナの「95%効果的だという」ワクチン - それを知るためには我々にはさらなる詳細と生データが必要だ
Pfizer and Moderna’s “95% effective” vaccines - we need more details and the raw data
Pfizer and Moderna’s “95% effective” vaccines - we need more details and the raw data
というもので、内容が医療専門家向けであることもあり、難しい部分が多いですが、その前半部分をご紹介します。
この BMJ の副編集長が懸念していることを要約しますと以下のようになります。
・ファイザーワクチンの治験では、ワクチン接種後に「新型コロナウイルス感染症と疑わしき症状を呈した人たち」であっても、PCR検査で陰性が出た人たちを症例から「すべて除外」していたことがデータからはわかる。
・その数を加えると、ファイザーワクチンの有効率は 19%にまで下がる。
・PCR検査で陰性だとしても、実際に症状を示している人たちをすべて除外するのは、ワクチンの治験として正当とは言えない。
というような感じです。
データでは、最低で有効率 19%で、最大でも 29%の有効率程度しか見出せないようです。だからこそ「さらなるデータの提供を求める」とドッシ氏は訴えています。
ここからです。
なお、カッコ内はすべて私が注釈した部分ですので、間違いもあるかもしれません。
ファイザーとモデルナの「95%効果的だという」ワクチン - それを知るためには我々にはさらなる詳細と生データが必要だ
Peter Doshi / BMJ 2021/01/04
5週間前、私には、ファイザーとモデルナの Covid-19 ワクチン試験の結果についての大きな疑問が生じていたが、その時点で公開されていたのは、研究のプロトコル(治験実施計画書)といくつかのプレスリリースだけであった。
今日では 2つの医学専門誌と約 400ページの要約データが複数のレポート形式で利用可能となっている。これは、各企業が開発した mRNA ワクチンが緊急承認される前に FDA (アメリカ食品医薬品局)に提出されたものだ。
このような、追加された詳細のいくつかは心強いものではあるが、そうでないものもある。ここでは、報告された有効性の結果の信頼性と意味についての新たな懸念について概説する。
Covid-19が疑われる症例の扱いについて
現在の大きな注目は、ワクチンの「劇的な有効性」の結果に集中している。ファイザーは、170 例の PCR検査で確認された Covid-19 の症例を報告し、ワクチン群 8例、プラセボ群 162例となった(このワクチン群とプラセボ群の差が 95%という数値の根拠だと思われます)。
しかし、これらの数は「Covid-19が疑われる例」と呼ばれるカテゴリーの存在により(ワクチン接種後の感染例が)矮小化されている。つまり PCR検査では確認されなかった症候性(新型コロナウイルス感染症の症状を示しているが PCR 検査では陰性の事例)の患者の存在が除外されているのだ。
ファイザーのワクチンに関する FDA の報告によると、調査対象集団全体で、感染が疑わしいが、PCR検査で未確認(陰性)の Covid-19 の事例が合計 3410例あった。
1594例はワクチン群で発生したのに対し、1816例がプラセボ群で発生した。
この数値は、確認された症例(PCR検査で陽性だった事例)の 20倍である疑いがあるため、この「Covid-19が疑われる例」のカテゴリーの疾患例は、PCR 検査の結果が陰性だったという理由だけで無視することはできないはずだ。
これを理解することがますます緊急になっている。この「Covid-19が疑われる例」を考慮に入れると、PCR検査の結果が陽性であるかどうかにかかわらず、Covid-19の症状の発症に対するワクチンの有効性の概算は「 19%」の相対リスク低減となる。これは 規制当局が設定するワクチン承認の有効性しきい値の 50%をはるかに下回る。
ワクチン接種から 7日以内に発生した症例(ファイザーのワクチンで 409例、プラセボで 287例)を取り除いても、短期間のワクチン反応原性による症状の大部分は含まれるはずだが、それでもワクチンの有効性は低いままで、29%となる。
これらの疑わしい症例の多くまたはほとんどが、偽陰性の PCR 検査結果を示していた場合、これはワクチンの有効性を劇的に低下させる。
しかし、インフルエンザ様の病気の原因には、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、その他のコロナウイルス、アデノウイルス、呼吸器合胞体ウイルスなど常に無数の原因があることを考えると、Covid-19 の疑いのある症例のいくつかまたは多くは、異なる原因物質が原因である可能性はある。
なぜ病因が重要なのか。「Covid-19が疑われる例」を経験している人たちが本質的に Covid-19 と同じ臨床経過を持っていた場合、「疑われる例、そして確認されたCovid-19」は、確認された Covid-19よりも臨床的に意味のあるエンドポイントである可能性があるためだ。
ただし、確認された Covid-19 が「Covid-19が疑われる例」よりも平均して重症である場合でも、結局のところ、重要なのは平均的な臨床的重症度ではなく、病院に影響を与える重症疾患の発生率であることに留意する必要がある。
確認された Covid-19 の例の 20倍の「Covid-19が疑われる例」、そしてワクチンがウイルス感染を妨害できるかどうかを評価するように設計されていない試験、あるいは、病因に関係なく重篤な疾患の分析、すなわち、入院率、ICU 症例、および試験参加者の死亡数が正当に評価されていない。これらを正当に評価することが、パンデミックで優位に立つためのワクチンの実際の能力を評価する唯一の方法だ。
これらの質問に答えるためには、さらなるデータが明らかに必要だが、ファイザーの 92ページのレポートでは、3410例の「Covid-19が疑われる症例」については言及されていない。
医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンにも掲載されていない。また、モデルナのワクチンに関する報告もない。それを報告したと思われる唯一の情報源は、ファイザーのワクチンに関する FDA のレビューだけだ。
ここまでです。
なお、実際の記事にはすべてデータへのリンクが貼られています。
問題の「除外された新型コロナと疑われる症例」についての FDA のデータのページは、以下のリンク先にあります。
FDA(アメリカ食品医薬品局)のデータの該当ページ
Suspected COVID-19 Cases
Suspected COVID-19 Cases
<以下略>
全文はこちら
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