春の雨 アスファルトに敷き詰められた
桜の花びらが何故か哀しい
激しく強く降りしきる雨
まるであの日のように
傘を差してお花見したっけ
君は上を見ず、散った桜ばかりを見つめてた
「私はね、散った花びらが好きなの」
それからしばらくして、君は僕の元を去った
「私って、散りゆく桜みたいね」
僕には君を引き留めることは出来なかった
理由も告げず、僕から去った君を
今も僕は忘れることが出来ない
桜の木の下で、突然傘を畳み
僕は雨に濡れながら足元を見た
地面は花びらで覆われていた
そして見上げると
木は葉桜となっていた
僕は力強さを葉桜に感じた
それは僕に勇気をくれた
君の携帯を呼び出した
「あら、しばらくね」
「花見に来ないか、散った桜が綺麗だよ」
「・・・あなたって優しいのね
こんな我が儘なわたしを許してくれるの?」
「気にするな、それより雨の花見にこないか」
彼女は来た
僕の姿を見て傘を放りだして駆けてきた
いきなり僕に抱きついた
そして地面を見つめた
「ホント、綺麗」
彼女は涙を流していた
そして、その涙は、
桜の花びらの上に落ちた