僕の働くビルのエレベーターで 時折一緒になる女性がいる
清楚な感じで いつしか僕は 彼女に恋心をいだいていた
そんなある日 彼女とふたりっきりで乗り合わせることになった
何階ですか
僕は知っていながら聞いた
7階お願いします
僕はドキドキして 彼女の顔を見ることも出来ず
他に何一つ話しかけることも出来なかった
7階で降りる彼女の後ろ姿を見送りながら
僕は自分のふがいなさを呪った
チャンスは思わぬ時にやってきた
朝の会議に送れそうになって 急いでいて閉まりかけたエレベーターに乗ると
定員オーバーのブザーが鳴った
やむなく降りたとき なんと彼女も降りてきた
急いでるんでしょ 一緒に階段で行きましょう
私 相原恭子 あなたは?
僕は 堀田英治 8階の杉山商事で働いてる
二人は階段を駆け上がった
6階の踊り場でやっと僕は言った 息を切らせながら
今日ランチでもご一緒しませんか
いいわ じゃあ 12時5分にエレベーター乗り場で
そんなわけで 僕は彼女と同じテーブルでランチを食べている
はい 私の携帯番号
あなた いつもエレベーターで私のこと見てたでしょう
あ ごめん
いいのよ 私も時々見てたから
あなた彼女いない?
今はいない
そう 同じね じゃあゆっくり育てられるわね
なにを?育てるって ?
こっちの事よ
それより早く食べないと またエレベーターに乗り遅れるわよ