愛詩tel by shig

プロカメラマン、詩人、小説家
shig による
写真、詩、小説、エッセイ、料理、政治、経済etc..

エレベーター

2012年10月02日 09時52分18秒 | 

僕の働くビルのエレベーターで 時折一緒になる女性がいる
清楚な感じで いつしか僕は 彼女に恋心をいだいていた
そんなある日 彼女とふたりっきりで乗り合わせることになった

何階ですか

僕は知っていながら聞いた

7階お願いします

僕はドキドキして 彼女の顔を見ることも出来ず
他に何一つ話しかけることも出来なかった
7階で降りる彼女の後ろ姿を見送りながら
僕は自分のふがいなさを呪った

チャンスは思わぬ時にやってきた
朝の会議に送れそうになって 急いでいて閉まりかけたエレベーターに乗ると
定員オーバーのブザーが鳴った
やむなく降りたとき なんと彼女も降りてきた

急いでるんでしょ 一緒に階段で行きましょう
私 相原恭子 あなたは?

僕は 堀田英治 8階の杉山商事で働いてる

二人は階段を駆け上がった
6階の踊り場でやっと僕は言った 息を切らせながら
今日ランチでもご一緒しませんか

いいわ じゃあ 12時5分にエレベーター乗り場で

そんなわけで 僕は彼女と同じテーブルでランチを食べている

はい 私の携帯番号
あなた いつもエレベーターで私のこと見てたでしょう

あ ごめん

いいのよ 私も時々見てたから
あなた彼女いない?

今はいない

そう 同じね じゃあゆっくり育てられるわね

なにを?育てるって ?

こっちの事よ
それより早く食べないと またエレベーターに乗り遅れるわよ

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