午後の遅い時間
群青の日本海にそそり立つ
崖にベンチが ひっそりと置いてある
そのベンチに腰掛けて
一羽の海鳥を見ている
その海鳥は 空中に浮かんでいる
目に見えぬ 風 に身を任せているのだ
そして 次の瞬間
青い空を 滑って行く
美しい
そうだ
かつて 今のように 海を往く鳥を見ていた
いつのまに僕は
鳥のこころを忘れてしまっていたのだろう
足元から風が吹いてくる
僕は唄を想い出す
遠い昔舞い降りた
短い唄
風のように 鳥のように ゆ~らゆ~ら ゆ~らゆ~ら
風のように 鳥のように ゆ~らゆ~ら ゆ~らゆ~ら
声に出して唄ってみる
すると 唄声が聞こえたのか 海鳥が 近づいてきた
そして笑った
確かに笑った
その鳴き声が 伝える
やっと思い出したんだね
風のように 鳥のように ゆ~らゆ~ら ゆ~らゆ~ら
風のように 鳥のように ゆ~らゆ~ら ゆ~らゆ~ら