リコーの全面禁煙ルールに関する記事
弁護士ドットコム2015年01月26日より
オフィス機器大手のリコーは1月上旬、
国内のグループ会社で就業時間に喫煙することを
全面的に禁止することを発表。オフィスでの喫煙を禁止しただけでなく、
就業時間内であれば、外出先や出張先、移動中も対象に含まれている。
対象となるのは、国内リコーグループの全役員と、正社員や契約社員、
パートタイマーといった直接雇用の関係にある従業員。受動喫煙を
防止することで、社員の健康増進を目指している。
今回の取り組みについて、ネットでは「うちの会社も導入してほしい」
「むしろ分煙を推進すべき」「ここまで拘束するのはやりすぎだ」
などと、さまざまな意見があがっている。外出先でも禁煙を強いるルール
近藤麻紀弁護士に聞いた。
「受動喫煙防止のための禁煙」は認められる
「法的には、問題ないと考えます」
『煙草は生活必需品とまでは断じがたく、ある程度普及率の高い嗜
好品にすぎず』『喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権に
含まれるとしても、あらゆる時、所において
保障されなければならないものではない』(
最高裁大法廷判決昭和45年9月16日)
また、地裁レベルの裁判例ですが、『受動喫煙』による
『肺がん等のリスクが増加することは否定できない』
との考え方が示され、受動喫煙に対する使用者の
安全配慮義務違反が認められたケースもあります
(東京地裁判決平成16年7月12日)。
使用者(会社)の労働者に対する安全配慮義務や、
受動喫煙防止のための措置を講ずる努力義務という観点から、
労働者の受動喫煙防止のために
喫煙を禁止することは認められると考えます」
●「外出や出張中の禁煙は不合理ではない」
それにしても、全面禁煙というルールはやりすぎではないだろうか。
「受動喫煙の対策としては、
全面禁煙がきわめて有効だと考えられています。
また労働者は、就業時間中、原則として使用者の指示命令に
したがい職務に専念する義務を負いますが、
喫煙時間は物理的には業務に従事しない時間です。
このような観点から、就業時間中に限って
全面禁煙とすることは、受動喫煙を防止する
目的達成のために必要な制約として認められると思います」
衣服などに付着したタバコ臭や有害成分などの残留受動喫煙
(サードハンドスモーク)の問題も指摘されていますから、
受動喫煙防止の徹底や、社員間の公平性の確保という点からも、
全社員に公平な『就業時間』という基準で
全面禁煙とすることは不合理ではないと思います。
今回のリコーの報道発表資料によると、単に全面禁煙とするだけではなく、
喫煙者への禁煙支援など、喫煙者側の健康配慮のための
措置も講じられています。また、状況に応じた特別措置も
設けているようです。この点からも
『不合理な制約』とまではいえないでしょう」
弁護士ドットコム2015年01月26日より
オフィス機器大手のリコーは1月上旬、
国内のグループ会社で就業時間に喫煙することを
全面的に禁止することを発表。オフィスでの喫煙を禁止しただけでなく、
就業時間内であれば、外出先や出張先、移動中も対象に含まれている。
対象となるのは、国内リコーグループの全役員と、正社員や契約社員、
パートタイマーといった直接雇用の関係にある従業員。受動喫煙を
防止することで、社員の健康増進を目指している。
今回の取り組みについて、ネットでは「うちの会社も導入してほしい」
「むしろ分煙を推進すべき」「ここまで拘束するのはやりすぎだ」
などと、さまざまな意見があがっている。外出先でも禁煙を強いるルール
近藤麻紀弁護士に聞いた。
「受動喫煙防止のための禁煙」は認められる
「法的には、問題ないと考えます」
『煙草は生活必需品とまでは断じがたく、ある程度普及率の高い嗜
好品にすぎず』『喫煙の自由は、憲法13条の保障する基本的人権に
含まれるとしても、あらゆる時、所において
保障されなければならないものではない』(
最高裁大法廷判決昭和45年9月16日)
また、地裁レベルの裁判例ですが、『受動喫煙』による
『肺がん等のリスクが増加することは否定できない』
との考え方が示され、受動喫煙に対する使用者の
安全配慮義務違反が認められたケースもあります
(東京地裁判決平成16年7月12日)。
使用者(会社)の労働者に対する安全配慮義務や、
受動喫煙防止のための措置を講ずる努力義務という観点から、
労働者の受動喫煙防止のために
喫煙を禁止することは認められると考えます」
●「外出や出張中の禁煙は不合理ではない」
それにしても、全面禁煙というルールはやりすぎではないだろうか。
「受動喫煙の対策としては、
全面禁煙がきわめて有効だと考えられています。
また労働者は、就業時間中、原則として使用者の指示命令に
したがい職務に専念する義務を負いますが、
喫煙時間は物理的には業務に従事しない時間です。
このような観点から、就業時間中に限って
全面禁煙とすることは、受動喫煙を防止する
目的達成のために必要な制約として認められると思います」
衣服などに付着したタバコ臭や有害成分などの残留受動喫煙
(サードハンドスモーク)の問題も指摘されていますから、
受動喫煙防止の徹底や、社員間の公平性の確保という点からも、
全社員に公平な『就業時間』という基準で
全面禁煙とすることは不合理ではないと思います。
今回のリコーの報道発表資料によると、単に全面禁煙とするだけではなく、
喫煙者への禁煙支援など、喫煙者側の健康配慮のための
措置も講じられています。また、状況に応じた特別措置も
設けているようです。この点からも
『不合理な制約』とまではいえないでしょう」