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奈良・薬師寺の梅 ~薬師寺らしいぬくもりのある花弁

2018年02月10日 | 祭・行事・季節の花


薬師寺にこんな見事な梅がある

奈良・薬師寺は、薬師如来や三重塔など白鳳時代の文化遺産がとても有名ですが、「花」のイメージがありません。多くの寺では季節の花を公式サイトで紹介していますが、薬師寺の公式サイトには花を紹介するページはありません。

しかし冬の今、薬師寺には見事な「梅」が咲き始めようとしています。薬師如来や三重塔の拝観後に、また近隣の唐招提寺の拝観後に、30秒寄り道するだけで見事な梅に出会えます。

薬師寺を訪れる多くの人は、薬師如来や三重塔があり、年中無休の「白鳳(はくほう)伽藍」の拝観だけで帰ってしまいます。白鳳伽藍のすぐ北側、最寄りの近鉄・西ノ京駅から見て左側には「玄奘三蔵院(げんじょうさんぞういん)伽藍」があります。

平山郁夫が、玄奘(げんじょう)がインドまで旅した道のりを描いた圧巻の「大唐西域壁画」が、1年の半分程度、公開されています。西遊記で知られる玄奘は、薬師寺の属する法相宗(ほっそうしゅう)の開祖の師にあたり、玄奘三蔵院も玄奘の分骨を納めるために1991年に建てられたものです。

【公式サイトの画像】 薬師寺伽藍マップ

梅は、玄奘三蔵院伽藍の「お写経道場」前の広場と、お写経道場と西ノ京駅を真っ直ぐ結ぶ“紫色で表示された参道”に植えられています。この広場と参道は無料で自由に入ることができます。白鳳伽藍の「北受付」からも「お写経道場」前の広場にはすぐに行けます。白鳳伽藍内にも梅はありますが、数は少なく、伽藍に入る拝観料が必要です。


2月中旬の西ノ京駅からの参道

1月下旬からつぼみが膨らみ始め、2月中旬には写真のように三分咲きくらいになります。満開ではありませんが、紅白の花びらが冬の澄んだ空のキャンバスに点在している姿も実に味があります。桜と違って、梅は満開でなくても絵になります。

3月上旬には満開になります。花びらの密度がとても濃厚で、見事にミックスされたナチュラルな紅白の花の色を見ると、どこからか鶯の鳴き声が聞こえてきそうです。


3月上旬の西ノ京駅からの参道

薬師寺の「お写経道場」はとても人気があります。薬師寺の白鳳伽藍の再建費用の多くは、写経により蓄えたものです。どれくらい多くの人が写経を行っているかは想像いただけると思います。年中無休で写経ができますが、月に2回、管主の法話が効ける「写経会」もおすすめです。

薬師寺の僧侶はみなさん、とてもお話が上手です。眠くなるようなことはまずありません。修学旅行の小学生にも必ず笑いを取っているくらいです。


3月にはこんなに濃厚に

お水取りで有名な東大寺を筆頭に、奈良の多くの寺では「修二会」が行われます。薬師寺では3月末に行われ、「花会式(はなえしき)」と呼ばれます。その名にあるように、本尊の薬師如来には十種の花が飾られ、漆黒の美しいボディラインがより際立って見えます。

薬師寺もこのように花とは深い縁があります。ぜひ公式サイトに「花の紹介」ページを設けてもらいたいものです。

【公式サイトの画像】 花会式

こんなところがあったのか。
日本にも世界にも、唯一無二の「美」はたくさん。



写経の殿堂・薬師寺の僧による面白解説


薬師寺
http://www.nara-yakushiji.com/index.html


原則休館日:白鳳伽藍はなし
公開期間:玄奘三蔵院伽藍 毎年1/1~1/15、3/1~6/30、8/13~8/15、9/16~11/30
※仏像や建物は、公開期間が限られている場合があります。



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