関西では春の花見シーズンの最後を締めくくるスポットとして、大阪造幣局の「桜の通り抜け」と京都・仁和寺「御室桜」が二大定番です。今年の「御室桜」は、記録的に開花が早かった昨年のように慌ただしくなく、平年並みに近い4/10(水)頃に満開になるようです。
- 京都の桜シーズンを締めくくる「遅咲き」の定番スポットとして、江戸時代から著名
- 背丈が低く花弁の厚みが豊か、人の目線のすぐ近くでとても濃厚なサクラを味わえる
- 五重塔を借景にしたサクラの写真のSNS映えは、京都でもトップクラス
醍醐寺と平野神社、京都でも二強の花見を済ませたら、フィニッシュは仁和寺です。
五重塔が実にかわいい
仁和寺は、京都に数ある門跡寺院の中でも最も歴史があることから、空間の趣はやはり別格です。仁和寺近辺でタクシーに乗ると、運転手さんからよく耳にするエピソードがあります。「昭和天皇は終戦直後、出家して仁和寺で仏門に入ることになっていた」という話です。このエピソードは、仁和寺の特別感を象徴しています。
歴代の門跡が暮らした「御殿」エリアは、京都御所・修学院離宮・大覚寺と並んで、王朝文化の建築空間を最も如実に今に伝えています。御殿から眺めるひょいと突き出た五重塔も、いつも観る者をうならせます。
この先、中門から内側の境内は、御室桜開花期間中は有料拝観
御室桜は、仁王門や御殿からは一段高い中門をくぐってすぐ左にあります。植物園のようにまとまって植えられています。初めて見る人は通常の桜とは異なった印象を受けます。背丈が人の背の高さから少し高い程度で、とても低いのです。
仁和寺公式YouTube「御室桜」
背丈が低いため、桜の花びらとの距離の近さは圧巻です。御室桜の花びらは厚く、いわゆる桜に連想される”はかなさ”は感じられません。”どや顔”のように、とても堂々としています。思わず犬のようにクンクンと花びらの香りを嗅いでしまいますが、人間の嗅覚では桜の花びらの香りは味わえません。こういう時だけは犬になりたいと思ってしまいます。
御室桜が植えられているエリアはコンパクトですが、順路を一通り進んでも再度巡りたくなります。歩行距離はさほどでないですが、濃厚にサクラとの距離の近さを味わえる時間は格別です。見物客の歩くスピードがとても遅いことが、御室桜の魅力である”距離の近さ”を象徴しています。
とにかく花びらが厚くて濃い
御室桜の開花時期には例年、霊宝館が公開されています。霊宝館では、何といっても国宝の阿弥陀三尊像が圧倒的な存在感を示しています。888(仁和4)年の仁和寺創建当初の本尊です。平安時代後期の宇治平等院鳳凰堂の阿弥陀如来のような、柔和でふくよかな表情が流行する前の、怪しげにも見える密教的なリアルな表情に目が釘付けになります。
仁和寺が積み重ねてきた歴史を象徴する文化財が、霊宝館に詰まっています。御室桜を見に行った際にはマストのスポットです。
【仁和寺公式サイトの画像】阿弥陀如来坐像
京都は”隅っこ”が魅力です。西北の”隅っこ”の王者は仁和寺です。ここでしか味わえない空間を間違いなく味わえます。そんな空間の春を彩るのが御室桜です。
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
目の眼が斬る仁和寺の魅力
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仁和寺(京都市右京区)
御室桜開花時期の伽藍特別入山
【仁和寺公式サイト】御室桜 現在の開花状況
【仁和寺公式サイト】御室桜 過去の開花状況
会場:中門より内側の境内
会期:毎年4月中旬の約2週間、御室桜の開花状況にあわせて変動
原則休館日:期間中なし
入館(拝観)受付時間:8:00~17:00
※御室桜開花時期の伽藍特別入山期間中は、中門より内側の境内参拝と御室桜鑑賞は有料になります。
※常時公開されている御殿の拝観受付時間は9:00~16:30です。
※霊宝館は毎年4/1~5月第4日曜日9:00~16:30に公開されます。
※公開期間が限られている仏像や建物・美術品があります。
※公開されていない仏像や建物・美術品があります。
◆おすすめ交通機関◆
JR嵯峨野線「円町」駅下車、「西ノ京円町」バス停で市バス乗り換え「御室仁和寺」下車、徒歩1分
JR嵯峨野線「花園」駅下車、徒歩15分
京福電車北野線「御室仁和寺」駅下車、徒歩3分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30分
京都駅→JR嵯峨野線→円町駅/西ノ京円町バス停→市バス26系統→御室仁和寺
【公式サイト】 アクセス案内
※京都駅から直行するバスもありますが、鉄道とバスを乗り継ぐ方が、時間が早くて正確です。
※この施設には有料の駐車場があります。
※春秋の観光シーズンは、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
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