冬の奈良は、奈良時代や中世から行われている火祭りが各所で目白押しです。毎年2/14に行われる長谷寺(はせでら)の「だだおし」も、奈良の冬の火祭を代表する行事です。
- 三匹の鬼が本堂で大声を出しながら暴れ回る
- 火の粉がふりかかるほど松明を間近に見ることができる、有数の迫力ある火祭り
- 鬼払いと火祭りが同時に行われる珍しい宗教行事
だだおしは、昨年の行いを懺悔する修二会(しゅにえ)法要の最終日に行われる行事で、鬼を追い払う追儺会(ついなえ)です。魔除けになる牛玉札(ごおうふだ)を求める人も多くいます。観音霊場の聖地にふさわしく、とても厳粛な行事です。
鬼は巨大な松明を引き連れる
日本の寺では、昨年の行いを懺悔する法要として1月に修正会(しゅしょうえ)、2~3月に修二会のいずれか、もしくは両方を行うことが一般的です。奈良の寺では他地域と異なり、修二会の方が大々的に行われる傾向があります。法要の最終日である結願(けちがん)の日には著名な行事が行われることも多く、2~3月の奈良は著名な行事が目白押しです。だだおしやお水取りは代表例です。
長谷寺のだだおしがいつから行われているかは定かではありません。「だだおし」という名前が何に由来するのかも定かではありません。長谷寺は奈良時代には創建されていたと考えられていますが、幾度も火災にあっており、記録が失われてしまったのでしょう。わからないことが多く神秘的でもあります。
霜囲いが施された長谷寺名物の寒牡丹
だだおし法要は15:00から始まりますが、鬼が登場するまで2時間近く法要が続きます。読経だけが続くのではなく、かなりのアクションがある厳粛な法要です。牛玉札を求めた人は内陣に入ることができ、巨大な本尊の前で行われる法要と、松明・鬼の豪快な動きを間近で見ることができます。内陣で法要を見ていると、鬼の登場まで待ち疲れないほど盛りだくさんです。法要の様子はYou TubeにUpされています。
鬼の登場を本堂の外で待つ人
太鼓・法螺貝が鳴り響くと鬼の登場です。赤・青・緑の三匹の鬼は、最初は本堂内をこん棒を振りかざして暴れまわります。僧侶がかざす牛玉札の力で堂外に追い出され、松明を引き連れて本堂の周囲を回えいます。これがだだおしのクライマックスとなります。
松明は長さ4.5m重さ120kmあり、5人の男がかつぎます。三匹の鬼は松明を引き連れ、本堂をゆっくり3周ほどします。暴れまわりながら歩くので、松明の担ぎ手はその都度振り回され汗だくです。火の粉は廊下に落ち、見物客にもふりかかります。火の粉がかかると縁起が良いとされていますが、服の素材によっては穴が開きます。
松明が目の前を通るとすごい熱を感じます。火の粉は廊下にもものすごい勢いで落ちていきますが、僧侶が水をかけて消しています。この本堂はちなみに国宝です。本堂横では消防団が待機していました。
鬼はいつの間にかいなくなります。牛玉札の力で堂外に追い出された後に、本堂の周りを捨て台詞を吐きながら暴れまわっているようにも見え、とても滑稽でした。
松明は本堂前の広場で消化された後、見物客が燃えカスを拾っていきます。燃えカスを家に飾っておくと無病息災になると、信じられているためです。
鬼のお守り
東大寺のお水取りは遠くから見物するため、暗闇の中を動く松明の灯りが幻想的です。一方長谷寺のだだおしは、本当に目の前です。激しく動く松明を間近で見ると物凄い迫力です。鬼を追い払う追儺会として、日本でも有数の見応えです。スカッとします。
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
奈良の清らかな行事や風習を訪ね歩く
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長谷寺
修二会結願 だだおし法要
【寺による行事サイト】
会場:本堂
会期:毎年2月14日(日付で固定)
法要 :15:00
鬼登場:16:45頃~17:15頃
※雨天中止の場合があります。
※スタート時間は当日の法要・神事の進行や天候に左右される場合があります。
※この寺は観光目的で常時公開されています。
◆おすすめ交通機関◆
近鉄大阪線「長谷寺」駅下車、徒歩15~20分
JR大阪駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:1時間40分
大阪駅(東梅田駅)→大阪メトロ谷町線→谷町九丁目駅(大阪上本町駅)→近鉄大阪線→長谷寺駅
【公式サイト】 アクセス案内
※この施設には有料の駐車場があります。
※現地付近のタクシー利用は事前予約をおすすめします。
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