京都トップの観光客数を誇る清水寺、その参道の賑わいを一層盛り上げる行事・青龍会(せいりゅうえ)が間もなく行われます。
- 2000年から始まった新しい行事だが、日本仏教の源流の古代中国を感じさせる演出はお見事
- 神秘的な古代風の装束と龍の動きは、歴史のある清水寺の境内に溶け込んでいる
- 参道の店の中まで龍が練り歩き、間近で見る龍の練り歩きは完璧にSNS映えする
龍が古代から現在にタイムスリップしてきたようなイベントです。とてもよくできています。
西門から青龍がおりてくる
観光スポットとして日本トップクラスの入場者数を誇る京都の清水寺の境内や参道は、カラフルなレンタルきものに身を包んだ観光客でいつも一杯です。清水寺では法要や参拝を目的とする行事はたくさん行われていますが、意外なことに観光客が集まりそうな行事はほとんどありませんでした。節分の豆まきも行われず、8月上旬に行われる六斎念仏くらいでした。
青龍会が始まった2000年は、33年に一度の秘仏本尊・千手観音の御開帳の年でした。
清水寺の鎮守である地主神社の拝殿の天井絵の龍が、夜な夜な抜け出して音羽の滝の水を飲んでいるという故事があり、青龍は観音の化身とも考えられています。また奥の院に祀られている夜叉神が、本尊と青龍を守り、人々に良縁をもたらすという信仰があったことから、本尊開帳の年にあわせて青龍が造られます。境内と門前町を練り歩いて地域の発展と良縁を祈願するようになりました。
青龍会の主催は清水寺ではなく、参道の商店街の組合である清水寺門前会です。観光客が集まるイベントがなかったこともあり、京都の観音霊場として悠久の歴史を誇る清水寺にふさわしい企画を練り上げたのでしょう。祭りと言うと年1回のイメージがありますが、清水寺の青龍会は年に3回行われます。
とても古代的な装束が空間を盛り上げる
青龍や衣装の新調にはかなりの意気込みがあったようです。長さ18mの青龍は全身に経文が書かれており、とても神秘的です。緑を基調としたうろこの外周が黄色で縁取られており、天井絵の龍よりはるかにリアルでかっこよく見えます。
巡行に参加する、青龍を守護する四天王や、経典を守護する十六善神らの装束は緑とグレーが基調です。古代中国を感じさせるシックなデザインで、青龍の巡行に厳粛な雰囲気を醸し出しています。ド派手な衣装ではないことが、逆にモダンで斬新です。
行事の監修を昭和の名仏師・西村公朝(にしむらこうちょう)、青龍と装束のデザインを映画や舞台の衣装デザイナーとして日本トップクラスのワダエミが担当しました。演出の質がやはり違います。
参道を青龍が突撃
奥の院で儀式を終えた後、巡行がスタートします。先頭は観音の功徳を伝える意味がある法螺貝を吹く二人です。法螺貝の重厚な音色が非日常感を盛り上げます。地主神社や音羽の滝、三重塔を練り歩いた後、西門から石段をおります。西門の下は大きな広場になっているため、この時が最も見やすくなります。
参道に入ると店の中まで青龍は入っていきます。青龍が見物客にかぶりつくようなパフォーマンスもお手の物です。人をかき分けながら進んで行く18mもある青龍は迫力満点ですが、青龍や装束のデザインがその迫力を一層強めています。
龍は、中国・韓国では日本と同じく”よい象徴”ですが、西洋では翼が付いていて火を噴きながら飛び回る”悪い象徴”です。そのため欧米人はアジアで龍が人々の尊敬を集めているのがとても不思議に見えるようです。巡行時に参道にいた人はほぼすべてが写真撮影に熱中します。
修復工事中の清水の舞台
清水の舞台で有名な国宝の本堂は来年2020年3月まで、檜皮葺きの屋根の葺き替え工事中です。すっぽりと足場に覆われています。清水の舞台には入れますが、本堂の外観は何とも殺風景に見えます。最近は街のビルの建設現場の囲いにも、何らかのアートが施されていることが多くなっています。歴史的建造物の修理でも、景観と調和したアートが施されることを期待したいものです。
こんなところがあります。
ここにしかない「空間」があります。
清水の風景を手作りできます
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清水寺
青龍会
【清水寺】青龍会
【清水寺門前会】青龍会
主催:清水寺門前会
会場:清水寺奥の院~本堂~三重塔・西門~清水寺参道三年坂付近まで
会期:毎年3月14・15日、4月3日、9月14・15日
開催時間:14:00 清水寺奥の院 巡行スタート
14:45頃 清水寺参道 巡行
15:30頃 本堂で巡行終了
※この寺は観光目的で常時公開されています。
◆おすすめ交通機関◆
京都市バス「五条坂」「清水道」下車、徒歩15分
京阪電車「清水五条」駅下車、4番出口から徒歩25分
JR京都駅から一般的なルートを利用した平常時の所要時間の目安:30~60分
京都駅烏丸口D1/D2バスのりば→市バス86/100/106/110/206系統→五条坂
【公式サイト】 アクセス案内
※休日の午前中を中心に、京都駅ではバスが満員になって乗り過ごす場合があります。
※休日の夕方を中心に、渋滞と満員乗り過ごしで、バスは平常時の倍以上時間がかかる場合があります。
※この施設には駐車場はありません。
※道路の狭さ、渋滞と駐車場不足により、健常者のクルマによる訪問は非現実的です。
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