今回は海外レポートです。マレーシアの首都クアラルンプールに行ってきました。私は外国へ行くと必ず、その国の歴史や美術を学べる博物館を訪れます。マレーシア国立博物館は、パネル解説(英語)が丁寧で、今に至る国の歴史が非常によくわかります。
英語がわからなくても大丈夫です。たくさんの種類が展示されている文化財は、東南アジアとインドやイスラムの文化が融合していることを感じさせ、とてもエキゾチックです。レプリカや写真など、観る者を飽きさせない展示の工夫も盛りだくさんです。
クアラルンプールの必見スポットであること、間違いなしです。
マレーシア国立博物館とKL Sentral駅の高層ビル群
2017年にMRT(いわゆる地下鉄)が開通し、博物館の名前を関したMuzium Negara駅ができたのでとても便利です。クアラルンプールの中央駅であるKL Sentral駅からは、Muzium Negara駅に向かう連絡通路を通って10分ほどで行けます。
博物館の外観はマレーシアの伝統的な建築様式を表現しています。背後にそびえるKL Sentral駅の高層ホテルを後ろに露払いとして従えているように見えるほど、堂々とした建物です。
緑豊かな博物館周辺、右側がLale Garden
博物館の前、KL Sentral駅の反対側には、広大な公園Lale Gardenが広がっています。世界有数の蝶や蘭を集めた園、王宮、イスラム美術館、国立モスクなど、こちらも見どころいっぱいです。
館内は Gallery A-Dの4つに分かれています。Aから順に先史時代、マラッカ王国などマレー人による王朝の時代、ポルトガル・オランダ・英国・日本による統治時代、第二次大戦後の独立と経済発展、と展示が進みます。
マレーシアは古代より、マラッカ海峡の交易によって国を形作ってきました。7c頃からムスリム(=イスラム教徒)商人が、マラッカ海峡を経由して東南アジアや中国と交易を始めていたと考えられています。
ユーラシア大陸の東西を海の道で結んだ中間点に位置するという地政学上の利点は、昔から変わっていません。
対岸のインドネシアのスマトラ島とほぼ一体となってマレー人による海洋国家が続き、15cには海峡最大の貿易港だったマラッカが空前の繁栄を謳歌します。このヨーロッパ人がまだやってきていない時代の展示がGallery Bで、マレー文化の魅力を濃厚に体験できます。
【公式サイトの画像】 Avalokitesvara(仏像)
仏像 Avalokitesvaraは、日本の如意輪観音のように手が複数あります。とても姿勢のよい立像で、八頭身美人のように抜群のプロポーションです。一切けがれのない美少年のようなお顔です。ヒンドゥー教の影響を受けていると考えられています。
日本の仏像にはないポーズと、神秘的な表情に見とれてしまいます。マレーシアの国宝のような格付けを受けています。
【公式サイトの画像】 Flor De La Mar(ポルトガルの軍艦)
マラッカの繁栄は長く続かず、1511年にポルトガル人に占領されます。ザビエルはここを拠点に日本に渡り、ここで生涯を終えています。展示されているポルトガル帆船の模型は、当時のマレー人に衝撃を与えた大きさだったことが容易に想像できます。
その後オランダ人の支配を経て、現在のマレーシア全域がイギリスの植民地となります。イギリス統治時代には、ペナン島やシンガポールが交易の拠点として繁栄するようになります。
【公式サイトの画像】 Jinrickshaw(人力車)
とても面白い展示があります。アルファベットをローマ字読みしてください、そう、人力車です。19cに華僑がマレーシアにもたらし、日本の人力車のようなタクシーとして普及しました。
日本からやってきた乗り物と当地では考えられており、そのままのネーミングで呼ばれています。日本の人力車とは異なり、南の国らしい涼しげな白を基調としたデザインです。
館内は広く、2時間以上かけて回る方がよいでしょう。うれしいことに、日本語の無料ガイドツアーもあります。週4回、火木金土曜のA.M.10:00から行われています。
【公式サイトの案内】 ガイドツアー
中心部にあるモールPavillionの中にあります
近年日本に旅行に来てくるアジア人観光客の中でマレーシア人は少なくありません。彼ら・彼女らがなぜ日本に興味を持つのかがとてもよくわかります。日本食のレストランや、日本の小売店、日系スーパーなど、日本で著名なブランドのほとんどがこの街にはあります。
とても活気のある街です。東南アジアでは、シンガポールに次いで一人当たりGDPの高い国です。近年は日本人の老後の移住先としても人気を集めています。そんな魅力的なマレーシア体験を国立博物館から始めてみてください。
こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。
普通のガイドには載っていない個性的なマレーシアの博物館を紹介
マレーシア国立博物館Muzium Negara (National Museum)
http://www.muziumnegara.gov.my/ (公式サイト:英語)
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d454881-Reviews-National_Museum-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html (トリップアドバイザー:日本語)
原則休館日:ラマダン明け大祭、犠牲祭の各初日
おすすめ交通機関:MRT「Muzium Negara 駅」下車すぐ、もしくはKL Sentral 駅から徒歩10分
公式サイトのアクセス案内
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