美の五色 bino_gosiki ~ 美しい空間,モノ,コトをリスペクト

展覧会,美術,お寺,行事,遺産,観光スポット 美しい理由を背景,歴史,人間模様からブログします

クアラルンプール・ムルデカ広場 ~東西文化の融合がここで味わえる

2018年05月18日 | 城・屋敷・歴史遺産

1957年8月31日、マレーシアはイギリスの植民地統治から独立します。独立宣言が行われたのがムルデカ広場(Muerdeca Square)です。様々な大規模イベントも行われることから、マレーシア国民にとって国家のヘソのようなところです。ムルデカとは、マレー語で「独立」を意味します。

歴史的な意義に加えて歴史的な景観の美しさが、この広場に人を惹きつけます。広大な芝生の広場を囲む建物は、イギリス統治時代のコロニアル様式にイスラムの香りが融和した傑作です。緑の芝生と青い空にベージュの壁が映える絶景は、時間が過ぎるのを忘れさせてくれます。


ムルデカ広場とSultan Abdul Samadビル

サッカー場の2倍ほどある巨大な芝生は、イベント開催時以外は立ち入り禁止です。人がいないことで空間の雄大さを堪能することができます。日本は伝統的に都市にランドマークになるような大きな広場がない国です。こんなランドマーク的空間が都心にあることを、とてもうらやましく感じます。

広場の東側には、マレーシアを代表する歴史的建造物であるスルタン・アブドゥル・サマド・ビル(Sultan Abdul Samad Building)がとても優雅な姿を見せています。

このビルは植民地統治政府のオフィスとして1897年に完成したもので、基本的な建築スタイルは西欧列強が海外植民地の建物に多く採用したコロニアル様式です。自国の伝統な様式をベースに、当地の気候や文化に調和するようデザインに工夫した様式です。

マレーシアらしいデザインとしては、イスラム様式に加え、イスラムにインド文化が融合したムガール様式も加味されているところです。国の礎となったマラッカ海峡の交易の繁栄を支えた商人たちに敬意を表しているのでしょう。

壁が真っ白なものが多いシンガポールのコロニアル建築とは異なり、壁がベージュ色であるのがまず、イスラム風の美しさを演出します。時計台の尖塔のドームはイスラム建築では通常青色ですが、ここは赤色です。赤土による壁を好んだインド・ムガール風の美しさをワンポイントで表現しています。

世界の海をまたにかけた大英帝国と東西交易の結節点であったマレーシア、双方の特徴を見事に融和させた建築です。ビルの内部見学はできませんが、ムルデカ広場をはさんで少し距離を置いて眺めてみてください。東西文化の融合を象徴する絶景です。


国旗掲揚ポール

広場には高さ95mの巨大なポールもあります。1957年8月31日に大英帝国のユニオンジャックがおろされ、マレーシアの国旗が掲揚されました。国旗掲揚のポールとしては高さ95mで世界一です。写真撮影時はまったく無風でした。とても残念ながら、国旗がゆうゆうと空を泳いでいる絶景は撮影できませんでした。


KL City Gallery

ムルデカ広場の南にKuala Lumpur City Galleryが隣接しています。クアラルンプールの街の過去から現在に至るストーリーを、パネル解説(英語)を中心に解説しています。

英語がダメな人でも必ず訪れる価値があります。このギャラリーの最大の目玉は、クアラルンプールの街のミニチュア模型です。飛行機の窓から街を見下ろすように、街全体のイメージを3Dでつかめます。観光を始める前に訪れて、ガイドブックやスマホの2D地図と見比べると街の構成がとてもよくわかります。

【公式サイトの画像】 The Spectacular City Model Show(クアラルンプールのミニチュア模型)

KL City Galleryでミニチュア模型を見た際に、「東京でも見た記憶がある」と感じました。森ビルが制作したものです。年に数回、六本木ヒルズなどで公開されています。

【公式サイト】 森ビル、東京の都市模型

クアラルンプールは、東南アジアの新興国の経済成長を象徴するような街です。50年前の東京オリンピック前夜の日本にあったような、とてつもない活気が町中にあふれています。

こんなところがあるのです。
ここにしかない「美」があるのです。



バックパッカーのような目線でディープな異国の日常をガイド


ムルデカ広場 Muerdeca Square
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d447385-Reviews-Merdeka_Square-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html (トリップアドバイザー:日本語)
※見学に条件はありません。いつでも無料で見学できます。

クアラルンプール・シティ・ギャラリー Kuala Lumpur City Gallery
http://www.klcitygallery.com.my/ (公式サイト:英語)
https://www.tripadvisor.jp/Attraction_Review-g298570-d2373838-Reviews-Kuala_Lumpur_City_Gallery-Kuala_Lumpur_Wilayah_Persekutuan.html (トリップアドバイザー:日本語)
原則休館日:なし

おすすめ交通機関:LRT「Masjid Jamek 駅」下車、徒歩7分
公式サイトのアクセス案内


このブログ「美の五色」について
「美の五色」ジャンル別ページ 索引 Portal


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« クアラルンプール・国立博物... | トップ | 南禅寺・水路閣 ~極上の空... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

城・屋敷・歴史遺産」カテゴリの最新記事