今日で定例県議会は閉会。本会議や委員会などで、熊本地震からの復旧・復興の取組み、熊本空港までのアクセス改善、来年の国際スポーツ大会に向けた取組みなどが議論されました。私は、任期中最後となる一般質問を12月6日に行いましたが、以下にその要旨を記載します。長文ですのでお時間がある時にでもご一読ください。なお、正式な議事録は後日県議会HPにアップされます。
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1 障がい者雇用水増し問題
質問 本県も再調査の結果、法定雇用率に対して不足していた。この問題は、これだけ大きいにも関わらず、中央省庁は、どこも処分をしていない。障がい者や民間企業を裏切る行為を長年行ってきて処分なしは理解に苦しむ。すでに知事や副知事、関係職員の処分を行う県、処分する方向で検討中の県もあると聞く。そこで、本県も処分を行い責任の所在をはっきりさせ二度とやらないという決意を示すべきだと考えるがいかがか。
答弁(知事) 職員を処分する場合、懲戒処分の指針や過去の事例に照らし、慎重に判断している。今後、指針等に沿って、把握した事実関係等を基に適切に判断し、今月中には結論を出したい。
2 水俣病公害認定50年を迎えて
(1) 沿岸住民の健康調査
(2) 認定審査業務
質問 (1)水俣病は本年、公害認定から50年を迎えた。行政がやるべきことをやっていない、これが水俣病問題混迷の根源である。これまで補償や救済策が講じられたが、つぎはぎだらけでいまだすべての被害者救済につながっていない。被害範囲の実態をしっかり掴み、必要な救済策を講じるべきで、その前提が不知火海全域の住民健康調査だが、国は、やるやると言いながら、いまだにできていないし、いつ頃やるのかも示されない。そこで、国は本当にやる気があるのか、具体的に国は調査手法の何を開発しているか、開発が進まない要因は何か、いつ頃実施予定か、明らかにしていただきたい。
(2)知事は、熊本復旧・復興4ヶ年戦略に、任期中に1,200件の認定審査業務を終わらせると掲げているが可能か。1日も早くすべての被害者の救済を、との思いは私も同じで、着実に進めてほしいが、その第一段階の疫学調査の対応について、申請者の立場に立っていない、丁寧さに欠ける調査が行われているのではないかと指摘されている。具体的に一つは、申請者が普段から精神的不安を抱えておりパニック状態になる懸念があったのに医者の調査への同席を認めなかったこと。もう一つは、県から疫学調査の訪問を告げられ、具合が悪いのでその日はキャンセルしようとすると申請自体の取り下げ書を送りましょうか、と言ってきたということ。知事はマニフェスト公約実現のため、棄却や取り下げを進めているとの指摘を受けないよう、丁寧に進めるべきである。そこで、①今後の見通し、②申請者に寄り添った丁寧な対応について知事に尋ねる。
答弁(知事)(1)国では、現在、手法の開発に向け、有効な診断方法の開発、患者の経年変化等の把握、水銀へのばく露の量と症状等へ関係、等の課題について、基礎的知見を得るための研究が行われている。環境大臣は、「メチル水銀が人の健康に与える影響を的確に診断する手法は、慎重かつ確実に開発しなければならない。時間を要しているが、着実に進めたい」旨の発言をされ、私も、調査研究の実施に当たり、科学的正当性を有する調査手法を確立することが重要と考えており、10月の国への要望活動の際にも、改めて調査手法の開発の加速化を要望した。
(2)①これまで約800件の審査を行い、今年度末までの3年間で900件程度の審査を行う見込み。平成31年度までの1,200件の審査完了に向け、引き続き、着実に認定審査を進めてまいる。②指摘について、以下のような事案があったとの報告を受けた。調査に伺った際、申請者と家族のほか、医師がおられた。申請者に確認すると、自身からは同席を依頼しておらず、また、調査困難となる体調不良などの訴えもなかった。そこで、申請者及び医師に、同席はお断りしたい旨を十分説明し、了解の上、家族に同席いただき調査を実施したとのこと。また、認定申請の取下げは、必ず申請者本人の意思を確認しており、疫学調査キャンセルにより、県から取下げを勧めることはない。今後も、申請者の状況に十分配慮しながら、迅速かつ丁寧に進めてまいる。
(3) 水銀フリー社会の実現に向けて
質問 水俣病を経験した本県は、水銀フリー熊本宣言を行い、水銀フリー社会に向けて取り組みを進めているが、その県が管理する庁舎や施設、道路などの蛍光灯や水銀灯はまだ、LEDなどに切り替えられていないものも多いようである。また、学校や警察などの施設における水銀灯などの設置状況は、一部把握できていないとの話もある。水銀製品の使用削減や代替製品への転換促進を訴える県がいつまでも水銀製品を使用すべきではない。そこで、知事部局、教育委員会、警察本部管理の施設等で使用している水銀灯などについて、各施設管理者が設置状況をどう把握し、今後どうしていくのか、代表して環境生活部長に尋ねる。
答弁(環境生活部長) 知事部局では、県庁舎等は、平成22年度から計画的に交換している。また、県管理道路は、平成27年に設置状況調査を実施し、順次、交換している。教育委員会、警察本部でも、校舎・警察署等の施設改修時等に個々の施設ごとに交換しており、今後、所管施設に係る照明器具等の調査を行う予定である。
3 熊本地震被災者の医療費窓口負担の免除
質問 県は、所得が少なくお困りの方に対しては減免制度(国保44条)があり、これを周知徹底していくとのことだが、免除措置廃止以降、県内の利用者はわずか1件しかない。特例措置の医療費免除を復活してもらいたいが、対象も多く財政に与える影響も大きい。そこで、平成28年熊本地震において、半壊以上の判定を受けた住民税非課税世帯または仮設団地及びみなし仮設住宅に入居中の住民税非課税世帯を対象にした医療費の窓口負担等の免除措置ができないか、知事に尋ねる。
答弁(知事) 既存の減免制度を活用できること、市町村に継続の意向がないことなどから、県の財政支援の復活は難しい。被災者の方々に既存の減免制度の周知の徹底を図ってまいる。既存の減免制度対象外の方には、市町村と連携し地域支え合いセンター等による日常的な訪問等により支援している。また、特に支援が必要な方に対しては、ケース会議を開催し、生活再建支援専門員等によるきめ細かな支援に取り組んでいる。
4 生活困窮者自立支援事業の拡充・強化と体制整備
質問 本年10月に生活困窮者自立支援法が改正されたが、①自立相談支援窓口につながっていない生活困窮者を確実につなげ適切な支援をするには、関係機関の連携をさらに強化する必要がある。そのための情報交換や支援体制を検討するための会議の設置について、②市及び町村に対する支援について健康福祉部長に尋ねる。
答弁(健康福祉部長) ①すでに、各地域で関係機関等が参加する「支援調整会議」を開催しており、今後も、この会議を活用し、生活困窮者を確実に相談につなげ、包括的でかつ早期の支援に努める。②全ての市町村に相談窓口を設置し、配置の相談支援員等の研修を県主催で行っている。 また、希望する市との任意事業の共同実施等により、市の事業実施体制への支援も行っている。
5 犯罪被害者等支援と加害者家族への対応
(1) 犯罪被害者等支援条例の制定
(2) 犯罪加害者家族への対応
質問 (1)私は一般質問で、被害者等支援条例の制定を求めてきた。それから今日まで、14道県で県条例制定が進んでいる。そこで本県も被害者支援の取組みをさらに推進するため、条例制定を行うべきと考えるが、環境生活部長に尋ねる。(2)加害者家族は、被害者側とその立場は反対だが、抱える困難は驚くほど類似している。しかし、サポートする制度はなく、その重要性もほとんど理解されていない。そこで、加害者家族の相談窓口設置について環境生活部長に尋ねる。
答弁(環境生活部長)(1)取組指針に基づき相談窓口の強化及び県民の方々の理解促進に努め、併せて、条例制定を含め、支援施策の充実について検討を行ってまいる。(2)加害者家族に対する専用の相談窓口は設けていないが、相談があれば人権センターで対応し、内容に応じて専門機関と連携の上、解決を図ってまいる。
6 定時制・通信制教育の振興
質問 「定通併修」とは通常、定時制課程は、卒業まで4年かかるが、4年生で学ぶ内容を通信制学校で単位修得し、3年生で卒業できる制度であるが、高等学校等就学支援金は定時制課程分を支援金対象とすると、通信制課程の単位取得は自己負担となる。この自己負担分の免除はできないか、教育長に尋ねる。
答弁(教育長) 引き続き、国に対し支援を要望するとともに、県独自の負担軽減の取り組みについても、その必要性を含め検討してまいる。
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以上です。