予想以上に大暴れこいてくれたチョッパー。
私の手には彼の渾身の引っかき傷が…。
痛いよもう。
先生が電気バリカンのスイッチを入れた途端、
「ころされるー!!!」
と言わんばかりに暴れまくって…。
興奮しすぎてチアノーゼ(呼吸困難)を起こす始末。
興奮しすぎると麻酔も効きにくくなるらしくって、
延期になりました。
「こういう繊細で怖がりな子は、
あんまり無理やりやるとトラウマになっちゃったり、
飼い主への信頼を無くしてしまう恐れもあるからね…」
と先生もため息。
「ごめんなー怖がらせちゃったなー」
いやいや、先生こちらこそ申し訳ないっす。
次に向けて、先生も色々対策を練ってくれるそうだ。
宜しくお願いします。
そして男子バレーの興奮も冷めやらぬ昨日、
「おねえ、ちょっと来て!」と妹。
妹の部屋から下を眺めると、なんと野良犬くんが1匹すぐそこに座り込んでいる。
「皮膚病にかかってるみたい…」
よく見ると、全身の毛がほとんど抜けている。
皮膚は真っ赤にただれて。
「疥癬ぽいね…」
人間で言うと、アトピーくらいの狂うような痒みらしい疥癬。
その子も痒さからか、ほとんど歩かない。
数歩歩いては、体を掻いたり噛んだり。
目の届くところにいるなら、なんとかしたい。
もし付いてきてくれるなら病院に連れて行ってあげる。
うちの子になる?
妹と色々やってみたけど、野良くんは警戒心も強く、
やっぱり人間が怖いんだね。
どこかに逃げてしまった。
あまりにやるせなくて、ななママに電話。
ななママとは犬に関しても価値観が似ていて、大事な犬仲間。
気のせいかもしれないけど、
ちょっと最近つまんねえなって思ったりとか、
なんであんな人ばっかなんだよって言い争いばかりしてると、
こういうことが起きる気がするんだよねえ。
えらそうなこといくら言ったって、
苦しむ犬1匹助けられないじゃんって。
ほら、どうしようもなかったでしょう?
あなたには何もできなかったでしょう?
あと1歩踏み込めば何とかなったかもしれないけど、
あなたそれをしなかったでしょう?
自分がいかに無力な偽善者か、よく分かったでしょう?
おびえた小さな黒い目を思い出すと、
そう言う声がどっかから聞こえる気がするんだよねえ。
私は、神様なんて信じないけど。
ななママはうんうん、と聞いてくれて、
私たちはやっぱりしょせん無力だよね、
でもその分、野良だった自分家の子を死ぬまで大事にしようね、
これからずっと雑種だな、
と話し合ったのでした。
犬を飼うということは、お金も時間も労力もかかること。
軽はずみにやたらめったら拾ってくるわけにもいかない。
でもね、
昨日は本当に思ったんだよ。
うちの子になる?うちにおいでって。
「もう放っておいてやれ」
「助けてその後どうするつもりだ」
と言った親父に、
「うちの子にするじゃん」
と答えた私は、
きっとまだまだ子供の顔してたんだろうなぁと思います。
私なんて偉そうなこと言ったってホント小さな人間です。
久々に目の覚める思いです。
大暴れしたチョッパーを見ていると、
切なくなってきて、
せめてあんただけは幸せにしてあげるからね、と思い。
抱きしめるとパンチされるのでした。