少し切ない出来事を、ドラマ仕立てで贈ります
10年以上前だろうか、私より5つほど年上のエロ仲間と出会った
何処でどうしたのかは忘れてしまったが、男同士の話がしたいと言われて
金山の蟹道楽で
大手の企業に勤めていたが、特殊な仕事なので退社して一人で事務所を
開いたそうで、自宅をオフィスと兼用にしているそうだ
その時に名刺も頂いた。
糖尿病で妻からはお酒を止められている、と言っていたが、ガンガン飲んでいた
お酒が進んだ時に、「私は糖尿病で駄目なので、私の妻とどうですか」
そんなことを言われたが、当時の私は毎週末の渓流のFFと取材を精力的に
こなしていたので、(この人の奥さんだとおばさんじゃね)と思っていたので
消極的だったのを感じたのか、それ以上は話が進まなかった
今考えれば、その方はその話が本題だったと思う
昨日、仕事から帰り、机の引き出しから、その時の名刺が出て来た
今ならばばぁも大丈夫
名刺の自宅兼用の事務所にした、
「はい○○サービスです」と答えた女性は、むっちゃ若い声だ(これはヤレル!)
今は出かけているそうなので、携帯の番号を教えてもらい、ダイヤルした
「以前に蟹道楽でご一緒した○○ですが、覚えていますか?」
そう聞いたら
「ええ、覚えていますよ」
と言われたので
「あの時の奥様のお相手の話を忘れられないのですが・・・」
その返答が
「実は妻は5年前に癌で亡くなりました」
予想外の返事に暫く答えることが出来ず、少しして
「それはご愁傷様です」
そう答えるのが精いっぱいだった
「私の方が生き残ってしまいました」
ご主人がお元気で何よりですと、電話を切ったが、あの女性の声は娘さんだったか・・
もし、あの時に話を受けたら、奥さんの運命は変わらなくても、
思い出は残せてやれたのか?
そんな切ない、人生のはかなさを感じてしまった。
窓の外は日が落ちようとしていて
(土産にもらったサイコロ2つ手の中で振れば振り出しに戻るみたいに
日が沈んでゆく)
頭の中で、拓郎の「落陽」が流れた。