(1949/ロバート・ロッセン監督・製作・脚本/ブロデリック・クロフォード(=ウィリー・スターク)、ジョン・アイアランド(=ジャック・バーデン)、マーセデス・マッケンブリッジ、ジョーン・ドルー、ジョン・デレク、ポール・フォード、アン・セイモア/109分)
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「オール・ザ・キングスメン (1949)」の2回目を観る。大分前に買っていた中古DVDだ。1回目は超特急で語られるお話に何の感慨も無かったが、今回で流れが感じられた。いつもの事だが、昔の作品は話のスピードが速い。トランプ政権を支えた民衆もあんなもんだったんだろう。変わらねぇな、人の世は。[11月19日]
(↑Twitter on 十瑠 から)
歳と共にすっかり文章を考えるのが億劫になってきてしまって、2回目の鑑賞からもう1週間以上経っているのにまだ一行も書けてない。このままだと、又ポートレイト問題の連続になってしまうので、気合を入れ直してさっさと書くことにする。今回もツイッター風になるでしょう。
かなり昔から知っていた作品だが、いつからだろう? TVで「ハスラー (1961)」を観た時に淀川さんがロバート・ロッセンの名作として紹介でもしたかな? 少なくとも高校生の頃には知っていたはずだ。「SCREEN」を読んでいたからね。
だけど今まで未見だった。なにせこの映画、日本初公開は1976年なんだ。76年の9月。多分公開されたのも知らなかったかも。
で、実は76年というのはアラン・J・パクラの名作「大統領の陰謀」の公開と同じ年なんだね。こちらは76年の8月。
思うに、政治物は当たらないはずなのに「大統領の陰謀」がヒットしたんで併せて公開になったんじゃないかな。何しろ「大統領の陰謀」の原題【ALL THE PRESIDENT'S MEN】はこの映画のタイトルを捩ったものだからね。
「大統領の陰謀」のせいで、今までこの映画も大統領になる男が主人公だと思い込んでいたけれど、実は州知事に当選する男の話だった。但し、お話の主人公はその男を取材する新聞記者ジャック・バーデンだった。狂言回しだな。
架空の地方の田舎町で一人の男が街角で演説をぶっている。郡の予算執行に不正の匂いがすると言うんだが、その演説が町民に人気があると言うのでジャックは上司に命令されて取材に訪れる。案の定、既得権益を守りたい連中が嫌がらせをする場面に遭遇し、ジャックはそれでもへこたれない男に惹かれる。男の名前はウィリー・スターク。
ウィリーには学校の先生をしていた妻のルーシーと養子のトムがいた。
ウィリーは郡の出納官の選挙に立候補するも破れる。それでも彼は妻に助けられながら法律の勉強をし、法学士の資格を得、事務所を開いて住民の為に働くようになる。
新しい州知事の選挙が始まった時、優勢を確かなものにしたい第一候補者の裏ブレーンが、第二候補者の票を分散させようとウィリーを第三の候補者に祭り上げる。選挙中盤でその事を知ったウィリーは怒り、やがて選挙のやり方に目覚めていき、その次の選挙で州知事に立候補、見事当選する。
さて、ジャックは当初ウィリーの記事を書いていたが新聞社にも既得権益団体の圧力がかかり、やがて上司からもウィリーの記事を止められ、それならばと新聞社を辞める事になる。そして知事候補になった頃にはウィリーの参謀となっていた。
その頃はジャックはただの狂言回しではなくなる。ジャックの故郷の親類縁者には地元の有力者が居たからだ。恋人の亡父は前知事であり、その兄は優秀な医師、兄妹の叔父は州の裁判所の判事だった。
正義感に燃える政治家としてウィリーを彼らに紹介するジャック。やがて彼らがウィリーの手綱に捕らわれていくとも知らずに。
1回目の鑑賞では、ありがちなエピソードを並べた薄っぺらい映画だと感じたけど、2回目できちんと流れが出来ていることが分かった。ただ、ウィリーの心変わりというか心境の変化みたいなものが描かれているとはいえず物足りなかった。
結局、彼は最初から地位と権力が狙いの男だったんだと考えるしかないかな。それでもそういう男だったと印象付けるエピソードもショットも乏しかった感がある。
それにしても、この独裁的な権力者は次々と周りの全ての人々を不幸にしていったな。
今ならもっと繊細に描くことも出来るだろうけど、2006年のショーン・ペン主演のリメイク版はどうなんだろう?。
ロッセンはこの映画で赤狩りの標的にされたみたいだが、映画自体には共産主義を礼賛するようなシーンは無かったと思うけど。
選挙参謀となったジャックがウィリーにこう言ったのが印象的。
『大衆を教育しようとするな。泣かせろ、笑わせろ、怒らせろ。彼らの感情を揺すぶるんだ』
第22回アカデミー賞で、作品賞、主演男優賞(クロフォード)、助演女優賞(マッケンブリッジ)の3部門を獲得したらしい。マッケンブリッジはウィリーの選挙参謀から秘書になる役。
カメラは「俺たちに明日はない」のバーネット・ガフィだった。
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(↑Twitter on 十瑠 から)
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だけど今まで未見だった。なにせこの映画、日本初公開は1976年なんだ。76年の9月。多分公開されたのも知らなかったかも。
で、実は76年というのはアラン・J・パクラの名作「大統領の陰謀」の公開と同じ年なんだね。こちらは76年の8月。
思うに、政治物は当たらないはずなのに「大統領の陰謀」がヒットしたんで併せて公開になったんじゃないかな。何しろ「大統領の陰謀」の原題【ALL THE PRESIDENT'S MEN】はこの映画のタイトルを捩ったものだからね。
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架空の地方の田舎町で一人の男が街角で演説をぶっている。郡の予算執行に不正の匂いがすると言うんだが、その演説が町民に人気があると言うのでジャックは上司に命令されて取材に訪れる。案の定、既得権益を守りたい連中が嫌がらせをする場面に遭遇し、ジャックはそれでもへこたれない男に惹かれる。男の名前はウィリー・スターク。
ウィリーには学校の先生をしていた妻のルーシーと養子のトムがいた。
ウィリーは郡の出納官の選挙に立候補するも破れる。それでも彼は妻に助けられながら法律の勉強をし、法学士の資格を得、事務所を開いて住民の為に働くようになる。
新しい州知事の選挙が始まった時、優勢を確かなものにしたい第一候補者の裏ブレーンが、第二候補者の票を分散させようとウィリーを第三の候補者に祭り上げる。選挙中盤でその事を知ったウィリーは怒り、やがて選挙のやり方に目覚めていき、その次の選挙で州知事に立候補、見事当選する。
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その頃はジャックはただの狂言回しではなくなる。ジャックの故郷の親類縁者には地元の有力者が居たからだ。恋人の亡父は前知事であり、その兄は優秀な医師、兄妹の叔父は州の裁判所の判事だった。
正義感に燃える政治家としてウィリーを彼らに紹介するジャック。やがて彼らがウィリーの手綱に捕らわれていくとも知らずに。
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結局、彼は最初から地位と権力が狙いの男だったんだと考えるしかないかな。それでもそういう男だったと印象付けるエピソードもショットも乏しかった感がある。
それにしても、この独裁的な権力者は次々と周りの全ての人々を不幸にしていったな。
今ならもっと繊細に描くことも出来るだろうけど、2006年のショーン・ペン主演のリメイク版はどうなんだろう?。
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『大衆を教育しようとするな。泣かせろ、笑わせろ、怒らせろ。彼らの感情を揺すぶるんだ』
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カメラは「俺たちに明日はない」のバーネット・ガフィだった。
・お薦め度【★★★=一見の価値あり】 
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