テアトル十瑠

1920年代のサイレント映画から21世紀の最新映像まで、僕の映画備忘録。そして日々の雑感も。

プライドと偏見

2006-10-01 | ラブ・ロマンス
(2005/ジョー・ライト監督/キーラ・ナイトレイ=エリザベス、マシュー・マクファディン=ダーシー、ドナルド・サザーランド=ベネット、ブレンダ・ブレシン=ベネット夫人、ロザムンド・パイク=ジェーン、ジュディ・デンチ=キャサリン夫人、サイモン・ウッズ=ビングリー、ルパート・フレンド=ウィッカム、トム・ホランダー=コリンズ、クローディー・ブレイクリー=シャーロット、ジェナ・マローン=リディア/127分)


 満足満足、余は満足じゃ。な~んてね。

 初めて読んだ時に徹夜までしてしまった「自負と偏見【原題:Pride & Prejudice 】」。もう何十年も前の話なので、覚えているのはセリフの多い文章と手紙がよく使われていたこと。そして主人公の二人に好感を持ったことくらい。J・オースティンは登場人物の容姿や背景のディーテイルについてはあんまり書かない人なので、エリザベスもジェーンもコチラの勝手なイメージしか無かったのですが、配役に関して世評のようには違和感は無かったですね。特にキーラちゃんはご贔屓だし、エリザベスの利発そうなイメージにぴったし。満足です。

 監督のジョー・ライトはこれがデビュー作とのこと。メイキング映像を見ると結構若いし、これから注目したい人です。

 原作は漱石が<写実的手法の見本>と絶賛した文学ですが、映画は「ブリジット・ジョーンズの日記」や「ラブ・アクチュアリー」を作ったワーキング・タイトル社らしくロマンチックな語りとなっていました。しかし、18世紀が舞台なのでチャラチャラしたものにはなっていない。
 脚本を書いたのはデボラ・モガーという女性。原作のエピソードをなるべく入れようとしたのか尺は2時間を超える。でも繋がりがダラダラして無くて、まさに原作同様『さて次はどうなるのか?』という興味が尽きない。イギリスに実在する由緒ある建物を使ったロケーションが優雅な雰囲気を醸し出し、それは見事な映像でありました。田園風景も美しい。撮影はロマン・オーシン
 メイキングでは、300年前に建立された建物も改装して使った様子も出てきて、製作側の意気込みが感じられましたな。

 あちこちでストーリーは書かれているようなので、ココでは簡潔にして要領よく纏めてある「allcinema-online」の紹介記事を引用させていただきます。
 <18世紀末のイギリス。田舎町に暮らすベネット家の5人の子どもはいずれも女ばかり。女性に相続権がないこの時代、父親が死んだら家も土地も遠縁の男子が継ぎ、娘たちは路頭に迷ってしまう。母親はなんとか娘たちを資産家と結婚させようと躍起になっていた。そんなある日、近所に独身の大富豪ピングリーが引っ越してきた。にわかに浮き足立つ5人姉妹。そして舞踏会の夜、次女エリザベスは、ピングリーの親友ダーシーと出会う。しかし、ダーシーの高慢な態度に強い反感を抱くエリザベス。さらに、あらぬ誤解からダーシーへの嫌悪感はますます募っていくのだったが…。>

 メイキング映像では、映画鑑賞の前提として当時の男女交際の風習についても語られていました。それによると、若い男女が1対1で話をすることは礼儀にかなっておらず、舞踏会が唯一のそういうチャンスであったらしい。何故ならダンスの最中にはお互いに話をするのが許されていたからだ。
 「ロミオとジュリエット」が知り合ったのも舞踏会だったが、19世紀以前のロマンス物にダンスシーンが多いのはそういう理由があるんですな。

 娘達を、その長所も短所も理解した上でなんとか賢明な人間に育てようとしている父親。エリザベスの聡明さ故に彼女が伴侶を見つけることが出来ないのではないかと心配していた父親、ミスター・ベネット。
 その最愛の娘が理想の男性を見つけ、結婚したいことを聞いたときの父親の喜びと安堵の表情がラストショット(ドナルド・サザーランド好演)というのは、中年オヤジとして涙モノの納め方でありました。

 今回のレンタルは1泊2日しか出来なかったので、字幕と吹き替えを1回ずつしか観れてない。せめて、あと1回観たかったなぁ。

 スタッフもキャストも初お目見えの人が多いですが、リディア役のジェナ・マローンは何処かで見た女優だなあと思ったら、「海辺の家」の息子の彼女でした。尚、今回のデンチおばさんは・・・悪役でした。

*

※ 2009年7月の再見記事はコチラ

・お薦め度【★★★★=友達にも薦めて】 テアトル十瑠

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6 コメント

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シーン (kimion20002000)
2006-10-13 14:01:55
TBありがとう。

とても、丁寧に作りこまれた映画でした。

結局、イギロスには、ああいうお城や風景が、現存しているわけですからね。

セットで全部やったら、大変な費用がかかりますからね。

そういうことも、すごいと思いますね。
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Unknown (十瑠)
2006-10-14 11:38:09
ハイハイ、TB“返し”させていただきました。
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TB有難うございました (オカピー)
2007-10-30 20:35:54
1940年版と併せてUPしましたが、そちらも読んでいただけましたか?

ジェーン・オースティンの映画化では「いつか晴れた日に」に原作のムードをかなり伝えていると思いますが、一番の代表作たる作品の映画である本作もなかなか結構でした。
フランスとの合作になっているのですが、あるいはロケの一部はフランスなのでしょうか?

キーラはナタリー・ポートマンに似ていると言われますが、寧ろウィノーナ・ライダー似と思いますね。彼女も万引きなどしなければ今頃ばりばり活躍して、本作なんかぴったりだったと思うのですがねえ。ちょっと年齢的にきついか。^^;
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いらっしゃいませ (十瑠)
2007-10-30 23:09:28
1940年版の方も読ませていただきました。オリヴィエがダーシーというのは頷けますが、グリア・ガースンのエリザベスはちょっとイメージが違いますかね。ま、演技は見なきゃわからんですが・・。

アン・リーの「いつか晴れた日に」は、ツタヤでDVDを見つけています。期待してますので、そのうちに。

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TB有難うございました ()
2009-02-08 23:20:16
前から気になりつつも、観る機会を逃していた作品でした。
この度やっと観て、DVDではなくスクリーンで、湖水地方の風景をバックにスカートがひらめくキーラを観たかったなぁ…。
レンタルしたその日に、ついDVD買っちゃいましたよ!ココまではまる映画は、なかなか無いです。

この記事が2006年に書かれておられるのに、TBしてくださって有難うございました。
また、お邪魔します。
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楓さん、いらっしゃいませ (十瑠)
2009-02-09 23:38:21
はじめまして。
TB返し&コメントありがとうございました。

>レンタルしたその日に、ついDVD買っちゃいましたよ!

ひえぇぇぇーっ!
それはそれは、見事なはまりようですね^^
そういえば私も、ン十年前に原作にはまりましたね。何度でも観たいのですが、他にも観るべきモノがあり、TV放送でもされれば録画するんですが・・・。

コチラこそ、またお邪魔します。
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