(1988/滝田洋二郎 監督/鹿賀丈史、桃井かおり、岩崎ひろみ、伊崎充則、風見章子、柄本明、木内みどり、小西博之、清水ミチコ、加藤嘉、酒井敏也、鳥越マリ、竹中直人、ベンガル/113分)
「おくりびと」の滝田洋二郎監督作品だったのでHNK-BS2放送を録画していたもので、サラリーマンの夫、専業主婦、小学生のお姉ちゃんと弟という4人家族が主体の88年の和製コメディであります。
NHKの解説は、<「おくりびと」の滝田洋二郎監督が、日々ひたすら小金を稼ぐことに奮闘する一家をユーモラスに描いたブラック・コメディー。木村家は、父・母・一男一女の4人家族。一見、ごく普通の明るい家族だが、母は朝からあやしい声であちこちにモーニング・コール、父は近所のご老人たちを集めて新聞配達、おまけに親せきが泊まりに来ても宿泊料金を請求するありさま。だが、長男がこの守銭奴ぶりに疑問を抱き始め・・・>と、なっている。
軽いノリの父親役が鹿賀丈史、時々色っぽい奥さん役が桃井かおり、NHKの「ふたりっこ」でお茶の間にも認知された岩崎ひろみちゃんが守銭奴の両親に馴染んでいるお姉ちゃん役を達者に演じていて、これまた子役でお馴染みの伊崎充則くんが末っ子のボクちゃんに扮している。表向きは家族に合わせているが、実は内心では家族のゼニゲバぶりを嫌っている末っ子君が一般的な感覚の持ち主だから、要するに観客の感情移入の対象となるわけです。
柄本明が桃井かおりの兄で、木内みどりはその妻。彼ら夫婦の家が改築だか改装だかをするということで、この兄夫婦の家に厄介になっていた母親(風見)を一時的に妹夫婦に預けに来る所から映画はスタートする。兄は妹夫婦がそんなゼニゲバ家族とは知らなかったので泊まってみてビックリ。そんな驚きと共に妹家族の守銭奴ぶりが紹介されていく序盤が構成的に上手いし、テンポもまあまあ快調。夜の夫婦生活にまで小銭がかかっていて、ここら辺りはピンク映画で鍛えたお色気演出が笑わせます。
さてさて、この映画、最後には木村夫婦がゼニゲバに邁進するもっともらしい理由のようなモノが語られるのかなぁと観ていたら、最後までそういうこともなく、ボクちゃんの健全性に気が付いた兄夫婦が(彼らには子供が居ないので)ボクちゃんを養子に貰おうとするが・・・という人情話になっていきます。
原作の「木村家の人びと(著者:谷 俊彦)」は未読ですが、どうやら木村という名字の三人が主人公のオムニバス小説のようで、阿笠湖南さんのwebページ「私の推理小説読書ノート」には、こう書かれています。
<木村肇は富士野食品資料編纂室に勤務するが、会社の仕事は全くしない。もっぱら内職に精を出している。白タク業、弁当配達業、大学講義ノートコピー業、老人を使っての新聞配達、その辺はまだ良いが、女高生を使っての売春斡旋、ラブホテルから出てきた上司の写真を使って強請り。ある時、張り込みをしていると、ラブホテルから出てきた妻を発見してしまった。その夜、木村は妻に「あの男から慰謝料を取ろう。」と持ちかける。ところが翌日彼は売春斡旋等の容疑であっさり逮捕されてしまった。留置場で彼は考える。「我が木村家の仕事はどうなったか。夜逃げでもしたか。それにしても警察はよく調べている。密告したのは誰だろう。」>
<何でも金で考える木村肇、一癖も二癖もある駱駝市役所の人々、そしてカンニングに全能力を捧げる木村見次、彼らがおりなすどたばた劇は抱腹絶倒確実。しかし読み終わって見ると何か人生の本質みたいなものを感じさせる…・そこがこの作品集の良さである。>
ブラックなユーモアの中に“人生の本質みたいなモノ”をみせる。実は映画を観ながらそんなモノを期待したのですが、最後に人情を(ちょっぴりですが)絡めたせいか、ブラックがグレイ程度にしか見えずに肩すかしでありました。原作のようにもう少しどぎつい方が面白いかも。
台詞をイヤホンでじっくり聴いていたら少しは感じられたのかなぁ?
小西博之と清水ミチコが隣に住む夫婦役で、木村家が一時的に(ボクちゃんの為に)小遣い稼ぎを中止した時に、それまで木村家に批判的だった彼らが似たようなサービスを開始する。ここら辺が“人生の本質みたいなモノ”の一端になるはずなんですがね。
「おくりびと」の滝田洋二郎監督作品だったのでHNK-BS2放送を録画していたもので、サラリーマンの夫、専業主婦、小学生のお姉ちゃんと弟という4人家族が主体の88年の和製コメディであります。
NHKの解説は、<「おくりびと」の滝田洋二郎監督が、日々ひたすら小金を稼ぐことに奮闘する一家をユーモラスに描いたブラック・コメディー。木村家は、父・母・一男一女の4人家族。一見、ごく普通の明るい家族だが、母は朝からあやしい声であちこちにモーニング・コール、父は近所のご老人たちを集めて新聞配達、おまけに親せきが泊まりに来ても宿泊料金を請求するありさま。だが、長男がこの守銭奴ぶりに疑問を抱き始め・・・>と、なっている。
軽いノリの父親役が鹿賀丈史、時々色っぽい奥さん役が桃井かおり、NHKの「ふたりっこ」でお茶の間にも認知された岩崎ひろみちゃんが守銭奴の両親に馴染んでいるお姉ちゃん役を達者に演じていて、これまた子役でお馴染みの伊崎充則くんが末っ子のボクちゃんに扮している。表向きは家族に合わせているが、実は内心では家族のゼニゲバぶりを嫌っている末っ子君が一般的な感覚の持ち主だから、要するに観客の感情移入の対象となるわけです。
柄本明が桃井かおりの兄で、木内みどりはその妻。彼ら夫婦の家が改築だか改装だかをするということで、この兄夫婦の家に厄介になっていた母親(風見)を一時的に妹夫婦に預けに来る所から映画はスタートする。兄は妹夫婦がそんなゼニゲバ家族とは知らなかったので泊まってみてビックリ。そんな驚きと共に妹家族の守銭奴ぶりが紹介されていく序盤が構成的に上手いし、テンポもまあまあ快調。夜の夫婦生活にまで小銭がかかっていて、ここら辺りはピンク映画で鍛えたお色気演出が笑わせます。
さてさて、この映画、最後には木村夫婦がゼニゲバに邁進するもっともらしい理由のようなモノが語られるのかなぁと観ていたら、最後までそういうこともなく、ボクちゃんの健全性に気が付いた兄夫婦が(彼らには子供が居ないので)ボクちゃんを養子に貰おうとするが・・・という人情話になっていきます。
原作の「木村家の人びと(著者:谷 俊彦)」は未読ですが、どうやら木村という名字の三人が主人公のオムニバス小説のようで、阿笠湖南さんのwebページ「私の推理小説読書ノート」には、こう書かれています。
<木村肇は富士野食品資料編纂室に勤務するが、会社の仕事は全くしない。もっぱら内職に精を出している。白タク業、弁当配達業、大学講義ノートコピー業、老人を使っての新聞配達、その辺はまだ良いが、女高生を使っての売春斡旋、ラブホテルから出てきた上司の写真を使って強請り。ある時、張り込みをしていると、ラブホテルから出てきた妻を発見してしまった。その夜、木村は妻に「あの男から慰謝料を取ろう。」と持ちかける。ところが翌日彼は売春斡旋等の容疑であっさり逮捕されてしまった。留置場で彼は考える。「我が木村家の仕事はどうなったか。夜逃げでもしたか。それにしても警察はよく調べている。密告したのは誰だろう。」>
<何でも金で考える木村肇、一癖も二癖もある駱駝市役所の人々、そしてカンニングに全能力を捧げる木村見次、彼らがおりなすどたばた劇は抱腹絶倒確実。しかし読み終わって見ると何か人生の本質みたいなものを感じさせる…・そこがこの作品集の良さである。>
ブラックなユーモアの中に“人生の本質みたいなモノ”をみせる。実は映画を観ながらそんなモノを期待したのですが、最後に人情を(ちょっぴりですが)絡めたせいか、ブラックがグレイ程度にしか見えずに肩すかしでありました。原作のようにもう少しどぎつい方が面白いかも。
台詞をイヤホンでじっくり聴いていたら少しは感じられたのかなぁ?
小西博之と清水ミチコが隣に住む夫婦役で、木村家が一時的に(ボクちゃんの為に)小遣い稼ぎを中止した時に、それまで木村家に批判的だった彼らが似たようなサービスを開始する。ここら辺が“人生の本質みたいなモノ”の一端になるはずなんですがね。
・お薦め度【★=ドタバタお笑い好き以外、お薦めしません】 
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前半部のあのワッセワッセ勢いが
どうも巧くフィニッシュに結びつけずみたいな~~
ワイルダーやルビッチのようなネバリが
やはり農耕民族には欠けておりましたが
そこそこ面白くて最後まで観ちゃいました~
色と欲のファミリービジネス映画版?
しかもこの映画に、まさかの姐さんからとは
★の数は一つか二つか迷ったくらいで、そこそこ面白いという意見も納得です。ただ、文句無しに★二つにするには長すぎたかな~~~と
ワイルダーの「お熱いのがお好き」を最近録画したんですが、この和製コメディとの違い、どう感じるか楽しみで~す。
たぶん、この前のはわたしが投稿ボタンを押し忘れたんだと思います(笑)
あと、TBは届いてませんねぇ。FC2のメンテナンスが何度かあったから、それと被ってしまったのかもしれません。
この作品って「おくりびと」の監督さんだったんですか~。一家が悪趣味すぎて、ちょっとついていけませんでした。原作はもっとブラックだそうで、そのまま映画化してたら私は無理だったかもしれない・・・。
インターネットで色々とサイトを持ってますとややこしいことが起こりますねぇ。^^
ご心配をおかけしてすいませんでした。
「木村家」の件ですが、<原作のようにもう少しどぎつい方が面白いかも>なんて書きましたが、実際どんなモノになるか些か不安にもなりますね。
しかして その意 しかと伝わざる也