(1963/ビリー・ワイルダー監督・共同脚本/ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、ルー・ジャコビ、ハーシェル・ベルナルディ、ホープ・ホリデイ、ポール・デュボフ/146分)
監督ビリー・ワイルダー、主演ジャック・レモン&シャーリー・マクレーンという、「アパートの鍵貸します(1960)」トリオによる作品。今度はパリの下町を舞台にした人情コメディで、ヒット・ミュージカルを元に作られたらしい。
原題が【IRMA LA DOUCE 】。“可愛いイルマ”というフランス語だそうで、これはマクレーン扮する街娼の愛称。マクレーンもレモンもフランス人の役なのに全編英語劇で、ワイルダーの師匠ルビッチが、「街角/桃色(ピンク)の店」でハンガリーを舞台にしながら英語を喋らせたのと同じことですな。外見はフランス人もアメリカ人も大差ないから、吹き替え版を観ているようなものなんでしょうか。
ほとんどが、街娼達が立ち並ぶ“カサノバ通り”のセットで物語は進みますが、オープニングのパリの早朝を捉えた映像が美しいです。
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イルマはパリの下町“カサノバ通り”の売れっ子街娼で、レモン扮するネスターは配置転換で初めてこの町にやって来た真面目な警官。着任早々街娼達が次々と男とホテルに入って行くのに気付いた彼は、早速ガサ入れを行うが、客の中に警察署長がいたためにたちまちクビになってしまう。
仕事の当てのないネスターは、鞄一つで“カサノバ通り”のキャフェ“マスターシュ”にフラフラとやって来る。ガサ入れの時から気になっていたイルマがヒモの大男に暴力を受けているのを見かねたネスターは、無謀にも大男に立ち向かい、運も手伝って見事そいつをやっつけてしまう。イルマに気に入られたネスターは彼女のアパートへ。
イルマのヒモとなったネスターだが、彼女を愛しているので出来れば仕事は辞めさせたい。しかし、イルマは男を養うのが女の甲斐性だと思っている。一計を案じたネスターは、“マスターシュ”のマスターと相談をして架空の英国貴族X卿なる人物をでっち上げ、X卿に変装したネスターはイルマに大金を渡す上客となる。X卿からお金が入れば他の男を相手にする必要もないというわけだ。
マスターに大金を借り、X卿に扮してイルマに渡す。イルマはそれをネスターに渡し、ネスターはマスターに返す。ネスターは完璧な計画だと思っているが、早晩破綻するのは目に見えているのだが・・・。
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真面目なのにどこかトボケタ味のレモンと、したたかなのに男を立てる可愛らしさももっているマクレーンが絶妙のコンビネーションで、ちょっと懐かしい雰囲気の人情コメディであります。近頃の若い人達に受けるかは大いに疑問ですが、オジさんには懐かしいだけじゃなく、ネタの切れない筋書きと、二人の演技で2時間半が飽きない佳作です。パリの色街の雰囲気がある色彩も嬉しいですね。
▼(ネタバレ注意)
X卿がイルマに渡す金は、結局ネスターが稼ぐしかなく、ネスターはイルマがベッドに入った後、アパートを抜け出して市場などで働き出す。やがて、イルマはネスターの朝帰りを見て、他の女の所に行ったと嫉妬し、ネスターをアパートから追い出す。ネスターはX卿を葬ることにするが、ヒモ仲間にX卿を殺したと誤解されて警察の御用となり、裁判の結果有罪となる。
終盤でネスターのX卿殺しが無罪になる段取りは予想がついたけど、河から出て来るってぇのはヤリ過ぎじゃないかえ。それに、死体がないのに有罪というのも今考えるといい加減ちゃあ、いい加減だな。
▲(解除)
ワイルダーと脚本を共作したのは、お馴染みのI・A・L・ダイアモンド。カメラのジョセフ・ラシェルもダイアモンドと同じく「アパート・・・」のスタッフですな。アカデミー編曲賞を獲った音楽は、アンドレ・プレヴィンです。
アカデミー賞では主演女優賞と撮影賞(カラー)にもノミネートされたそうです。
ブラボー! シャーリー!!
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原題が【IRMA LA DOUCE 】。“可愛いイルマ”というフランス語だそうで、これはマクレーン扮する街娼の愛称。マクレーンもレモンもフランス人の役なのに全編英語劇で、ワイルダーの師匠ルビッチが、「街角/桃色(ピンク)の店」でハンガリーを舞台にしながら英語を喋らせたのと同じことですな。外見はフランス人もアメリカ人も大差ないから、吹き替え版を観ているようなものなんでしょうか。
ほとんどが、街娼達が立ち並ぶ“カサノバ通り”のセットで物語は進みますが、オープニングのパリの早朝を捉えた映像が美しいです。
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イルマはパリの下町“カサノバ通り”の売れっ子街娼で、レモン扮するネスターは配置転換で初めてこの町にやって来た真面目な警官。着任早々街娼達が次々と男とホテルに入って行くのに気付いた彼は、早速ガサ入れを行うが、客の中に警察署長がいたためにたちまちクビになってしまう。
仕事の当てのないネスターは、鞄一つで“カサノバ通り”のキャフェ“マスターシュ”にフラフラとやって来る。ガサ入れの時から気になっていたイルマがヒモの大男に暴力を受けているのを見かねたネスターは、無謀にも大男に立ち向かい、運も手伝って見事そいつをやっつけてしまう。イルマに気に入られたネスターは彼女のアパートへ。
イルマのヒモとなったネスターだが、彼女を愛しているので出来れば仕事は辞めさせたい。しかし、イルマは男を養うのが女の甲斐性だと思っている。一計を案じたネスターは、“マスターシュ”のマスターと相談をして架空の英国貴族X卿なる人物をでっち上げ、X卿に変装したネスターはイルマに大金を渡す上客となる。X卿からお金が入れば他の男を相手にする必要もないというわけだ。
マスターに大金を借り、X卿に扮してイルマに渡す。イルマはそれをネスターに渡し、ネスターはマスターに返す。ネスターは完璧な計画だと思っているが、早晩破綻するのは目に見えているのだが・・・。
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真面目なのにどこかトボケタ味のレモンと、したたかなのに男を立てる可愛らしさももっているマクレーンが絶妙のコンビネーションで、ちょっと懐かしい雰囲気の人情コメディであります。近頃の若い人達に受けるかは大いに疑問ですが、オジさんには懐かしいだけじゃなく、ネタの切れない筋書きと、二人の演技で2時間半が飽きない佳作です。パリの色街の雰囲気がある色彩も嬉しいですね。
▼(ネタバレ注意)
X卿がイルマに渡す金は、結局ネスターが稼ぐしかなく、ネスターはイルマがベッドに入った後、アパートを抜け出して市場などで働き出す。やがて、イルマはネスターの朝帰りを見て、他の女の所に行ったと嫉妬し、ネスターをアパートから追い出す。ネスターはX卿を葬ることにするが、ヒモ仲間にX卿を殺したと誤解されて警察の御用となり、裁判の結果有罪となる。
終盤でネスターのX卿殺しが無罪になる段取りは予想がついたけど、河から出て来るってぇのはヤリ過ぎじゃないかえ。それに、死体がないのに有罪というのも今考えるといい加減ちゃあ、いい加減だな。
▲(解除)
ワイルダーと脚本を共作したのは、お馴染みのI・A・L・ダイアモンド。カメラのジョセフ・ラシェルもダイアモンドと同じく「アパート・・・」のスタッフですな。アカデミー編曲賞を獲った音楽は、アンドレ・プレヴィンです。
アカデミー賞では主演女優賞と撮影賞(カラー)にもノミネートされたそうです。
ブラボー! シャーリー!!
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・お薦め度【★★★★=旧作ファンの、友達にも薦めて】 
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これを言うと演劇は全滅してしまうんです。それだけ映画がリアリティを求められる証左でありますが、困るのは、戦争映画です。
この間観た「バルジ大作戦」では、英語が得意なドイツ人がドイツ陣営でも当り前に英語をしゃべっていて、英語を実際に喋る直前だけドイツ語が出て来るという変な演出があって甚だ迷惑でした。国際スパイ映画・戦争映画では、敵と味方の区別もしにくい。
アメリカの観客は字幕を読みたがらないのではないかと僕は想像しているんですが。
>死体がないのに有罪
当時としても“いい加減”でしょう。^^
しかし、ワイルダーらは承知して羽目を外したわけですから、笑ってやって下さい。
逆に、ミステリー通だからできた笑いという気もしております。この7年後に「シャーロック・ホームズの冒険」を作っています。あれ、ネス湖が出てきますから、レモンが川から出て来るのを見た時、案外この時からネタを練っていたのかと思いましたね。
『あなただけ今晩は』
この頃の邦題つけた方たちは素敵よね~♪
ほんと映画的ロマンに満ち満ちたセンス!
『アパートの鍵貸します』も
ナ~~イスッ!よね。
たしか原題は“アパ-トメント”でしたっけ?
あちらさんは直截的な題名が多いですものね。
モノクロの2画像、素敵!素敵!!
現実の再現から出発した映画と、同じ空間に居ながら芝居を見せる演劇とは違いますから、演劇では気にならないんですが、映画だとつい記事にしてしまいます。中国人の物語を日本人が日本語で作るようなもんですね。^^
二つ以上の言葉が出てくる話では、やっぱり字幕でも使わないことにはまずいでしょうね。
>逆に、ミステリー通だからできた笑いという気もしております。
X卿が地下から登場する辺りは思わずニンマリしちまいました
パリの場末にいかにもありそうな街並み。このセットを作ったのは、美術を担当したアレクサンドル・トローネルです。『北ホテル』(マルセル・カルネ)の運河沿いのホテルの景観や『アパートの鍵貸します』(ビリー・ワイルダー)の保険会社のオフィスのシーンは、忘れられません。
「女房の殺し方教えます」
「恋人よ帰れ!わが胸に」
「幸せはパリで」
「お熱い夜をあなたに」
これ全てジャック・レモンの主演映画です。日本の配給会社も、レモンの担当さんは、ひと味違うようですね。
ワイルダーやルビッチなんかと同じく、ヨーロッパから渡ってきたプロフェッショナルということでしょうか。
なかなかこういう美術関連のデータは探しづらいので、情報ありがとうございました。
ジャック・レモンは大ファンなので、久しぶりにコメントを残させていただきます。
十瑠さんがお書きになっていらっしゃるように、
レモン出演作の邦題はどれも味がありますよね。
だから余計に忘れられない1本になるんでしょうね♪
最近は読み逃げばかり、昨日でしたか、スキンが変わったばかりでしたね。
レモンは味のある人で、年をとってからもイイ映画がありますが、壮年時代の元気のいいのがやはり面白くて、おかしくて大好きです。
「お熱いのがお好き」も入れましょうか。