(2001/ ウディ・アレン脚本・監督/ウディ・アレン、ヘレン・ハント、シャーリーズ・セロン、ダン・エイクロイド、エリザベス・バークレイ、ウォーレス・ショーン、ブライアン・マーキンソン、ピーター・ゲレッティ、マイケル・マルヘレン/101分)
今年、「ギター弾きの恋」と「インテリア」と2本の作品を観て、映画作家として(個人的に)見直すことになったウディ・アレンの21世紀最初の作品。既に65歳を過ぎているのに創作意欲は枯れていないみたいで、今年公開された「マッチポイント」は今世紀の5本目。とにかく、70年代から毎年のように作り続けている人です。しかもどれも面白そう。凄いです。
NHK-BS放送の録画。
1940年代のニューヨークが舞台のコメディで、カメラは「ギター弾きの恋」と同じチャオ・フェイ。ノスタルジックな色調が似ています。
保険会社の調査員C.W.ブリッグス(アレン)。見た目はしょぼいバツイチだが、元犯罪者やホームレスなどともコネクションがあって調査能力は一流、会社の仲間や女性事務員とも仲はよい。但し、野球や競馬などの賭事は負け続けているようである。そして、最近の彼の頭を悩ませているのが、半年前に突然入社してきた業務改善担当の女性ベティ=アン・フィッツジェラルド(ハント)だ。会社の売上高がベスト5から脱落した為に社長の肝いりで入ってきた重役だが、ブリッグスが『100%把握している』という社内ファイルシステムを独断で変えたり、調査業務を外注しようと社長に進言、その事で彼が相談しようとしても鼻であしらうような態度をとる。実はベティ=アンは社長のクリス・マグルーダー(エイクロイド)と男女の関係にあり、マグルーダーが今の妻と離婚する事を前提に付き合っているのだ。
ブリッグスの同僚ジョージ(ショーン)の誕生会が開かれた夜、そのバーでは魔術師のショーがあり、催眠術の実験台にブリッグスとベティ=アンが選ばれることになる。日頃、あからさまに毒舌を競い合うような二人がアッという間に催眠術にかかり、呪文をかけられると相思相愛の新婚夫婦になったりするものだから同僚達は笑い転げる。
ブリッグスには『コンスタンチノーブル』、ベティ=アンには『マダガスカル』。それがお互いを好きになる呪文。題してジェイド・スコルピオンの呪い【原題:THE CURSE OF THE JADE SCORPION】。それはショーの間の一時的な呪文のはずだったのだが・・・。
催眠術が出てきた映画ってあんまり記憶がない。確か、ピーター・イェーツの「ホット・ロック」に出てきたと思うが、そういえばあれもとぼけた犯罪ものだった。
そう。“恋まじない”なんてタイトルでロマンチックな話を想像していたら、プラス、クスクスと笑ってしまうような犯罪も絡んだ良くできたミステリー&コメディでした。ストーリーの構成が実に上手い!
社長と女性重役の愛の行方、ブリッグスは無実の罪を如何に晴らすのか、火遊び好きな金持ち娘は・・、スコルピオンの呪いは解けるのか・・・・。
マグルーダーの奥さんが会話の中には出てくるけど登場シーンは無いというのは、「桃色(ピンク)の店」の不倫に走った社長夫人と同じで、粋な扱いでしたな。
シャーリーズ・セロンは宝石泥棒に入られる豪邸の娘、ローラ・ケンジントン役。フィアンセがいるのに、被害の調査にやってきたブリッグスに興味を持ち、彼のアパートを訪ねる。前年の「バガー・ヴァンスの伝説」と同じような煌びやかな衣装に身を包み、今回はセクシーな女性の役でした。
いつもお上手なヘレン・ハントが、ここでは強気のキャリアウーマン役。あのタレ目と意外にふくよかな胸、腰のラインがご贔屓にしたくなる“いい女”であります。
▼(ネタバレ注意)
バーの魔術師がブリッグスに催眠術をかけて、彼が担当している顧客の家に泥棒に入らせるというのが犯罪部分の話。本人は何も知らずに犯人探しに奔走し、やがてベティ=アンが怪しいと思い出すも物的証拠が出てきて、彼自身が警察の御用となる。
最後は勿論真犯人が捕まるんだが、ラストのブリッグスのロマンスのハッピーエンドも粋でありました。
▲(解除)
65歳のアレンのブリッグス役は思いの外不自然では無かったけれど、やはりもう少し若い方が似合ってたでしょうな。役者のアレンって、ジャック・レモンとウォルター・マッソーを足して2で割って一回り線を細くした感じ。それにしても、自分のことを「ゴキブリ」だとか「サル」だとか、終いには「シロアリ(注:シロアリは蟻よりゴキブリに近い)」なんて言わすなんて、大分Mっ気のあるアレンさんです。
アレンお得意のジャズのBGMはカッコイイし、催眠状態になった時に流れるコミカルなジャズも楽しかったです。
ぶーすかさんのブログによると下記のような曲が使われていたそうです。
<デューク・エリントン「Sophisticated Lady」、アール・ファーザ・ハインズ「Two Sleepy People」、ディック・ハイマン「Tuxedo Junction」、ナンシー・ハミルトン「How High The Moon」、Wilbur De Paris「In a Persian Market」、ハリー・ジェームス「Flatbush Flanagan」、グレン・ミラー「Sunrise Serenade」>
今年、「ギター弾きの恋」と「インテリア」と2本の作品を観て、映画作家として(個人的に)見直すことになったウディ・アレンの21世紀最初の作品。既に65歳を過ぎているのに創作意欲は枯れていないみたいで、今年公開された「マッチポイント」は今世紀の5本目。とにかく、70年代から毎年のように作り続けている人です。しかもどれも面白そう。凄いです。
NHK-BS放送の録画。
1940年代のニューヨークが舞台のコメディで、カメラは「ギター弾きの恋」と同じチャオ・フェイ。ノスタルジックな色調が似ています。
保険会社の調査員C.W.ブリッグス(アレン)。見た目はしょぼいバツイチだが、元犯罪者やホームレスなどともコネクションがあって調査能力は一流、会社の仲間や女性事務員とも仲はよい。但し、野球や競馬などの賭事は負け続けているようである。そして、最近の彼の頭を悩ませているのが、半年前に突然入社してきた業務改善担当の女性ベティ=アン・フィッツジェラルド(ハント)だ。会社の売上高がベスト5から脱落した為に社長の肝いりで入ってきた重役だが、ブリッグスが『100%把握している』という社内ファイルシステムを独断で変えたり、調査業務を外注しようと社長に進言、その事で彼が相談しようとしても鼻であしらうような態度をとる。実はベティ=アンは社長のクリス・マグルーダー(エイクロイド)と男女の関係にあり、マグルーダーが今の妻と離婚する事を前提に付き合っているのだ。
ブリッグスの同僚ジョージ(ショーン)の誕生会が開かれた夜、そのバーでは魔術師のショーがあり、催眠術の実験台にブリッグスとベティ=アンが選ばれることになる。日頃、あからさまに毒舌を競い合うような二人がアッという間に催眠術にかかり、呪文をかけられると相思相愛の新婚夫婦になったりするものだから同僚達は笑い転げる。
ブリッグスには『コンスタンチノーブル』、ベティ=アンには『マダガスカル』。それがお互いを好きになる呪文。題してジェイド・スコルピオンの呪い【原題:THE CURSE OF THE JADE SCORPION】。それはショーの間の一時的な呪文のはずだったのだが・・・。
催眠術が出てきた映画ってあんまり記憶がない。確か、ピーター・イェーツの「ホット・ロック」に出てきたと思うが、そういえばあれもとぼけた犯罪ものだった。
そう。“恋まじない”なんてタイトルでロマンチックな話を想像していたら、プラス、クスクスと笑ってしまうような犯罪も絡んだ良くできたミステリー&コメディでした。ストーリーの構成が実に上手い!
社長と女性重役の愛の行方、ブリッグスは無実の罪を如何に晴らすのか、火遊び好きな金持ち娘は・・、スコルピオンの呪いは解けるのか・・・・。
マグルーダーの奥さんが会話の中には出てくるけど登場シーンは無いというのは、「桃色(ピンク)の店」の不倫に走った社長夫人と同じで、粋な扱いでしたな。
シャーリーズ・セロンは宝石泥棒に入られる豪邸の娘、ローラ・ケンジントン役。フィアンセがいるのに、被害の調査にやってきたブリッグスに興味を持ち、彼のアパートを訪ねる。前年の「バガー・ヴァンスの伝説」と同じような煌びやかな衣装に身を包み、今回はセクシーな女性の役でした。
いつもお上手なヘレン・ハントが、ここでは強気のキャリアウーマン役。あのタレ目と意外にふくよかな胸、腰のラインがご贔屓にしたくなる“いい女”であります。
▼(ネタバレ注意)
バーの魔術師がブリッグスに催眠術をかけて、彼が担当している顧客の家に泥棒に入らせるというのが犯罪部分の話。本人は何も知らずに犯人探しに奔走し、やがてベティ=アンが怪しいと思い出すも物的証拠が出てきて、彼自身が警察の御用となる。
最後は勿論真犯人が捕まるんだが、ラストのブリッグスのロマンスのハッピーエンドも粋でありました。
▲(解除)
65歳のアレンのブリッグス役は思いの外不自然では無かったけれど、やはりもう少し若い方が似合ってたでしょうな。役者のアレンって、ジャック・レモンとウォルター・マッソーを足して2で割って一回り線を細くした感じ。それにしても、自分のことを「ゴキブリ」だとか「サル」だとか、終いには「シロアリ(注:シロアリは蟻よりゴキブリに近い)」なんて言わすなんて、大分Mっ気のあるアレンさんです。
アレンお得意のジャズのBGMはカッコイイし、催眠状態になった時に流れるコミカルなジャズも楽しかったです。
ぶーすかさんのブログによると下記のような曲が使われていたそうです。
<デューク・エリントン「Sophisticated Lady」、アール・ファーザ・ハインズ「Two Sleepy People」、ディック・ハイマン「Tuxedo Junction」、ナンシー・ハミルトン「How High The Moon」、Wilbur De Paris「In a Persian Market」、ハリー・ジェームス「Flatbush Flanagan」、グレン・ミラー「Sunrise Serenade」>
・お薦め度【★★★★★=大いに見るべし!】
私も気に入ってますが、それは“恋まじない”の部分も含めてで、なにやら奥村チヨの歌声も聞こえてきそうな雰囲気も・・・あれは「恋の奴隷」か。(笑)
アレンさんは、音のセンスも抜群ですね。
最近の評論家は、こういう作品を見向きもしないですねえ。似非ドキュメンタリー風の「ギター弾きの恋」には惹かれたらしいですが。
TB入っているかなあ。
ロマンス部分は65歳のアレンですから薄目になっちゃって、も少しそれなりの俳優がやればもっと楽しい作品になっただろうなぁと思いましたね。
役者アレンへのアレルギー反応は出なかったようなので安心しました。(笑)