扉を開けてオレ達の横をすり抜けて最初に入ったのは潮風。
ゴールドコーストの風がカーテンを揺らした。
ホテルの中で作戦会議。
この選挙までひと月は続く。この間待ってるほど暇じゃあない。
「また引っ張り出すか。」
ハイライトがなくなって、オージーのタバコを選んでる牧野。
「佐藤を引き出したみたいにか?。」
オレは風が気になってる、窓の外のウインドサーファーを眺めながら。
「そんな上手くはいかない。」
「ゲリラ戦がいいだろ、なんとかメッセージを伝えりゃいいんだ。」
ニヤニヤしながら牧野が言う。
「良い手があるんだよ。」
サリーを眺めながら・・・
ラインのグッとでる 胸元の深く開いたノースリーブに、指1本ほどのウルトラミニ。
サリーのダイナマイトが炸裂している。
「ふ~んなるほどね~でもね高くつくわよ。」
「これだったら良い感じで入り込めるぞ。」
「まあ男は単純だし隙はできるわ。」とサリー。
「牧野みたいなヤツばっかじゃないぞ。」
オレはオムライスに辛いカレーをぶっかけて腹ごしらえ。
「単純と言うな、純粋と言え。」
隙だらけの牧野。
「ちょっと失礼」
サリーが門番に声をかけた。
ガタイのいい グラサンが振り向く。
目の動きは分からないが、足の先から頭の先まで顔を動かしてるのは分かる。
「ふん、かかったな早い、単純。牧野と良い勝負。秒殺だ。」
オレは道を挟んだバーの角で様子を見守る。
脚を強調するように立ち振る舞うサリー。演技派だ。
「選挙事務所のお手伝いさせてほしいんだけど。」
グラサンの口元が少し緩む。
「Jrは居るのかしら。会わせてもらえないかな。」
もうチョッとだな、意外とすんなりいきそうだ。
グラサンがサリーの腕をつかんだ。
招いた感じではなく、明らかに掴んだ。
「ヤバいか?」
サリーがグラサンのグラサンを外し、微笑む。
やけに尻下がりの目が見えた。少々おぼこさが見える。
掴んだ手は緩み、サリーから離れた。
「体つきのわりには、優しい顔をしてるわね。」
髪をかき上げながら、ベンチに座る。
グラサンを見上げながら、ヒールの脚を組み替える。
またグラサンのないグランの体温はグッと上がってるようだ。
グラサンはサリーを中に招いた。
背中越しにピースサインのサリー。
とりあえず第一関門突破だ。