創作・俳句・秋風

・かまきりの鎌も借りたし草を刈る



・店頭に姿を見せぬ秋刀魚かな



・海釣りの水熱帯びる秋の海



・遠雷を聞きつつとんぼ濡れまいか



・海釣りで友ストレスを餌につけ

創作・短歌・二百十日

・遠来の友と過ごせる三日間今年は今年思いを重ねて

・台風を無事乗り越えて終盤の収穫の秋安堵の農家

・季節ゆえ秋刀魚買いたし店になしあの親しめる煙吸いたし

・秋空は優れて窓のキャンパスよ稲穂の黄色もりんごの赤も

・海釣りを習い始めしわが友の釣果波あり此度（こたび）は厳し

・遥かなる袰月海岸訪ねたり寂しき村に美しき海

創作・短歌

・遠来の友来る日のもてなしをどうするこうする妻と語れり



・初めての土地建物を購入す四年返済生き抜けるか我



・生きる道是々非々で言えば非々多し悔いてばかりじゃ生きては行けぬが



・若きとき思い返せば一直線力任せで実り少なき



・若き日のドイツの旅を回想すエッカンフェルでの人の賑わい



・バルト海延々続く散歩道老若男女朝日を浴びて



・暮れていくこの年もまたゆるやかに悲喜こもごもの暦かな



・年寄りて年金サラリーある身にはしがらみからは解き放ちたし

創作・短歌「病める吾子」

・ハンデ負い共に過ごせる四十年白髪も増えし吾子の頭に

・言葉なき娘の笑顔ありがたき週一回の帰宅待ちわび

・病める吾子規則正しき服薬はいつかは知らず暮らしの一部に

・名を呼べばにこやかに笑み浮かべたる病みたる吾子のその気遣いよ

創作・俳句「白露」

・夜長には星と遊ぶや三角形

・里芋の葉にころばせる白露かな

・ジョロウグモ網洗いしや白露かな

・店頭に秋刀魚の姿なかりけり