新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

時の扉

2009-10-31 22:08:33 | ポエム


ふりむきざまに
ふと見ると
少年のぼくがいた

時は過ぎていくのではなく
同じ平面にあって
小さな扉で
繋がっているのだった



大阪帝国ホテル内にて撮影。

時刻表

2009-10-27 22:53:20 | ポエム




こんにちわと
はじめましてが
出会ったのは
この場所だった

行かないでと
忘れないよが
別れたのも
この場所だった

くりかえし 
くりかえし
あれからどれほどの人が
行き過ぎたことだろう

ただいまと
おかえりなさい
という
ありふれた喜びに至るまで




記憶

2009-10-27 14:01:16 | ポエム
「記憶」


国の戸籍謄本には
登録されていないが

むかし
わたしは
木漏れ日であったと思う
むかし
わたしは
小鳥のさえずりだったと思う
むかし
わたしは
瓦の上をきしきし歩く
猫の肉球の
踏みしめる感触だったと思う

むかしむかし
わたしは
小春日和、
その一日だったと思う

ジャック・プレヴェールのこと

2009-10-25 22:06:54 | 今日の気になることば
ジャック・プレヴェールのことをかつてのダダイスト、のちシュールレアリストの有力な詩人・作家となったリブモン・デセーニュはこのように言いました。

彼は書く時でさえ話しているみたいなんだ・・・彼は街から来たので、文学から来たんじゃない・・・特殊なケースだよ・・・人生を讃え、いうところの<お偉方>を軽蔑する・・素朴で、幸福が好きで、心憎いまでのユーモアがある。分類できない男さ・・・。

新潮社から昭和43年に出た「世界詩人全集18」の中にあったことばですが、学生時代に読んで、それから長い間私の詩の指針となりました。そして今も変わらずに座右にあることばです。