その日、パリは雨模様でした。水たまりに早やマロニエの枯葉が・・・。
詩は散文とくらべて何であるかというと、詩の特質として「ことばが見える」ということがある。
ことばというのはまず見えない。読んでることばは仮に見えるとしても、その都度、意味とイメ
ージと音に還元されていく。すぐに変換され消えていくのは散文であり、日常の会話である。
詩とは何かといえば、意味もありイメージもあり音もあるけれども、常にことばがそこにあり、
還元されていかないもの、消えていかないものである。だから詩は永遠というものと交わること
ができる。
誰かが窓を開け
その窓を誰かが閉じた
誰かが見上げる窓に
誰かの佇む影があり
誰かが灯りをともす窓を
遠く離れて思う誰かがいる
誰かがこっそり忍び込む窓
誰かがあわてて逃げ出す窓
誰かが去った窓を
今日も磨いている誰か
誰かが振り返る窓があり
誰かが振り返るまいと思う窓がある
誰かが夢見る窓
誰かが夢から覚める窓
誰かがさようならを言う窓
誰かが花束を届ける窓
誰かが窓を閉め
その窓をまた誰かが開ける