新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

ランナー

2011-10-29 11:33:50 | ポエム
                     


バッタが
並んで
夕陽を見てる

海の底では
岩影で
エイが身を翻す

あなたの
ノートが
文字であふれ

誰かが
風のテープを
切った

人知れず
宇宙の片隅で
始まろうとするもの

地球という
一冊の本の
次の頁を開くために

真っ暗な闇のなかを
ひたすらに
走るものがいる





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落日

2011-10-28 23:21:47 | ポエム

ボードレールの
ことばは
落日のバルコンに
不滅の一行を
置いた
― Je sais l’art d’évoquer les minutes heureuses(*)
わたしは幸福な時間をよびさますすべを知っている

それは終わりのないくちづけのことね?
午後の教室で
それだけを理解した女生徒は
ノートに書き入れたあと
第三連の
太陽がなぜ複数なのかを考えた
昨日の太陽
今日の太陽
明日の太陽
そう地上には
たくさんの落日がある

― 幸福な時間をよびさますすべ
くちづけと落日
太陽は
ノートの隅に
沈む
いつもボードレールの一行に
ひとつの
永遠のバルコンに

             *ボードレール「バルコン」より
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夏の午後には

2011-10-28 23:18:45 | ポエム


Qu’as-tu fait, toi que voilà ,
De ta jeunesse?
いったいお前はどうしてしまったのか
おまえの青春を(*)

朗読の声が
しずかな教室にながれて
ことばが黒板に書きとめられてゆくと
過ぎ去った時間のなかに
忘れていた一行が
ふとよみがえる

おまえの青春に
何が見えるか
たくさんの悔恨
果たせなかった夢
落日に
長い影を曳いて
遠くなっていったものたち

夏の午後には
たまに
永遠が見えることがあるという
そんな日には
ただ
見えるような気がする
大事な詩の一行のように
あの日
失くしたことばが



*Verlaine 『Sagesse(叡知)』より
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コップ

2011-10-28 23:03:28 | ポエム


その形が
うつくしいのは
かろうじて
薄い一枚の仕切りだけで
なかにつまっている水を
しっかりと
抱き留めているからなのだろう
倒れることなく
壊れることなく
まして
役目を捨て去ることなど
決してなく
水の重みを
支えているからなのだろう
みずからの
位置にあって
ひとつの任務を
なし遂げようとする
その決意の固さは
強い圧力で迫る
水ですら破れないほど
したたかで
静かである





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うたう本

2011-10-28 22:48:35 | ポエム


夢のなかで
わたしは家を探していた
誰かを訪ねていたらしい
扉を開けて
出てきたのは
幼い少年だった
家の中には
ふわふわした髪の
フランス人形のような少女がいた
とても古い本があって
少年はわたしに見せた
この本は歌を歌うのだと
確かに
茶色くなった本は
古い歌をうたった
あの不思議な少女は誰?
巡り合わなかった
昔むかしの
わたし?
うたう本は
きっと大切なことばね?

扉の影で
恥ずかしそうにしながら
少年はいつまでもそこにいる
もう少女ではない
わたしの前で
うたう本を持って



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2011-10-28 22:43:57 | ポエム



地上では
人々が眠る夜
叶わなかった夢の
小包を積んだ列車が
時折
空を渡ることがある

そんなとき
思い出したように
雨が
降ったりする
蝙蝠傘が必要なのは
そんな夜だ
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時のなかで

2011-10-26 21:23:42 | フォト・ポエム




どんなに美しい場所より
ありふれたホームの上に
射していたひかり

何気ない日曜日の午後
あなたがそこにいて
わたしがそばにいた

時間が
列車のように過ぎていくことを
わたしはその時まだ知らなかった

きらめくひかりに
そのまぶしさを感じていることに
ただ夢中で




















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あの頃チャンネル(2009年10月25日~2009年10月31日)

2011-10-26 09:30:36 | photo
あの頃チャンネル(2009年10月25日~2009年10月31日)
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我思うゆえに、ではなく・・・

2011-10-25 23:03:42 | 今日の気になることば
今日は久しぶりにダスキン・ホフマン先生のことばです。

「我思うゆえに我あり」ではなく、「我が在って我は思う」のである。



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あの頃チャンネル(2009年10月18日~2009年10月24日)

2011-10-19 20:30:44 | 感受性の木
あの頃チャンネル(2009年10月18日~2009年10月24日)
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