あなたに
せめて一篇でも
どこにもないうつくしい詩を
とどけたいとおもうのに
せめて一篇でも
だれよりもやさしい詩を
おくりたいとおもうのに
書ききれない
書いては消し消しては書く
思いを告げきれない恋文のように
きっとどこかに
置きわすれてきたのだろう
言葉のつまったたいせつな箱を
夕べの山畑でキジが鳴いた
夕陽のかがやくなか
声をかぎりに
そんなふうに伝えられたら
たった一行でいい
そんなふうに綴ることができたなら
あなたに贈るだろうに
この地上で偶然にも
おなじ時を生きているあなたに
せめて一篇でも
どこにもないうつくしい詩を
とどけたいとおもうのに
せめて一篇でも
だれよりもやさしい詩を
おくりたいとおもうのに
書ききれない
書いては消し消しては書く
思いを告げきれない恋文のように
きっとどこかに
置きわすれてきたのだろう
言葉のつまったたいせつな箱を
夕べの山畑でキジが鳴いた
夕陽のかがやくなか
声をかぎりに
そんなふうに伝えられたら
たった一行でいい
そんなふうに綴ることができたなら
あなたに贈るだろうに
この地上で偶然にも
おなじ時を生きているあなたに