新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

暴発

2010-11-29 23:43:18 | 感受性の木
何かが弾けた音がするのです
もしかしたら心臓のすぐそばで
パチン! とか
プルン! とか
ポン!  とか
小さな合図の音をたてて

(観念の世界でうっかりうたたねをしていたわたしというおじぎ草)

ふっと口をついて出てくるのです
ことばにならない小さな叫び声で
あら! とか
ほら! とか
はっ! とか

(今までの世界がまるっきし変わってしまうのにある日ふと気づく)

感受性という木が
吹いてきた風に震えるときには
おお! とか
ああ! とか

(リボルバーの引き金を引くように見えない破裂が必要なのだった)

暴発から始まることがある
たいていは
見知らぬ扉が開かれるとき
たとえば
真っ青に晴れた空のガラス窓が
美しく磨かれた朝などの


(詩集『感受性の木』1)




友よ!

2010-11-10 21:50:52 | フォト・ポエム




どんなに早く
ときが過ぎていこうとも
私を覚えておいてほしい

たとえ
私たちは
ただの数であったとしても

同じときのなかを
すれ違ったという
ただそれだけであっても

きみだけは
覚えておいてほしい
私がここにいたことを