『サイコ』、『鳥』など現代でも充分通用するテーマを取り上げて、ビデオなどで放映する事が多いからです。
私、この方の全盛期の作品『裏窓』を両親と一緒にリアルタイムで観てます。(1953年クランクインの映画ですが、私が観たのは56年頃で小学生の時)
両親はいにしえの洋画の大ファンだったのです。
この時、正直言って私内容については全然チンプンカンプンだった。昔の映画館の持つ独特の臭いがイヤでイヤで早く終わらんかと思ってました。
ただし、出てくるハリウッドスターのカッコ良さや美しさは圧倒的なものでした。
又、当時のアメリカの家やその家具は戦後昭和の日本のそれと大違いで、非常に豪華でした(見出し写真は無関係ですが)。
出演者は主人公のカメラマンがジェームススチュアート、その恋人がグレースケリーです。
輝く様な金髪のグレースケリーは、後の世にもハリウッド映画1の美人女優と言われた人で上品でいて明るい印象がありました。
傷ついた恋人を身体を張って護るのですから、如何にもアメリカ女性らしく見えました。
このグレースケリーさんに、当時のモナコ国の君主様が一目惚れ、彼女はモナコ王妃になります。
物語は脚を骨折して歩けなくなり、部屋で療養中の主人公が、退屈紛れに車椅子に乗って双眼鏡で隣のアパートの窓を覗き見する事から始まります。
あまり感心した事ではありませんし、第一今やれば完全に軽犯罪法に引っかかる。
ただし、アメリカに限らず、1950年当時の世間は今じゃ信じられない程開放的でした。
当時の田舎の母の実家は、昼間は障子は開け、玄関の鍵はしてませんでした。門とか庭や畑はありましたけどね。
又、大田区のしもた屋だと真夏はクーラーどころか扇風機も無いので、窓開けっぱなし、そこから中のお昼の食事風景丸見えでした。
(涼む為に庭の中で大人がタライで行水を使ってた時代なのです)
閑話休題、主人公が覗くそれぞれの部屋の情景は十人十色で面白い。夢中になってこの悪趣味を続ける内に、彼は重大な事件を覗いてしまった。
しょっちゅう喧嘩してる不仲の夫婦、ついに激情にかられた夫が妻を殺してしまう。
ような場面が窓から見えてしまった。
な訳無い、「外から見えないようにしてから殺すでしょ」と思うのですが。見えちゃったのです。
しかし、その後妻の死体は消えていた。
警察には妻が失踪したと届けてる、警察は実直そうな男のもっともらしい言葉を信じてしまうのですね。
ここから野次馬根性丸出しの主人公は、真相を探りだそうとします。
歩けない彼に代わり恋人が探偵役をする。
さてどうなるか?
真相は野次馬さんの考えた通りでしょうか?
この映画は非常に評判が良く、賞もとったし、一般のファン受けも良かったといいます。
この手のストーリー自体が今も昔も変わらず、人の興味を引くのでしょうね。
ヒッチコック監督は脚本も書くし、映画出演もするし、非常にユニークで才能豊かな人でした。
何よりも、面白い作品、一般人がグイグイと引き込まれていく作品を生みだす天才的な監督だったと思います。