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読書の森

幕末に観る日本人の心

日本に居住する外国人の数は、コロナ禍で一旦減少したものの、最近では圧倒的に多い事に気づきます。
コンビニやスーパーや、施設どころか日常のあらゆる場で、流暢な日本語を使ってキビキビと働く外国人に姿をよく見かけます。
少子高齢化で日本人の働き手が減少した事が最大の原因でしょう。
つまり日本人は彼らの働きによってかなり助かってる訳ですね。

しかし、私は日本人の意識に残る外国人への違和感を何となく感じてしまいます。

勿論私にもあります。
数少ない海外旅行の中で、インド人のタクシー運転手に違和感を抱いた事があります。彼は非常に物静かで正確な運転でホテル迄届けてくれました。肌の色と職業は相関関係があるはずもない。
それなのに、国内で見る事の無かった肌の黒いタクシー運転手を夜更けに見てギョッとした、その国(シンガポール)では当たり前の事だったのに、ですね。

この日本人一般の持つ意識について考える時、一番分かり易いのがガッチリ鎖国していた江戸幕府最後の時代、幕末期の動きです。



以前紹介した半藤一利の『もう一つの幕末史』。

幕末史の海外との関係で、逃してならないのが、あの「坂本龍馬」であります。
非常に人気のある幕末の志士です。


坂本龍馬は土佐(高知県)の郷士の生まれ、土佐勤王党に属するが脱藩して勝海舟の門下生となったそうです。

既成概念に囚われていたら絶対出来ない行動です。彼は土佐藩にも尊皇攘夷の勤王の志士にも疑問を感じた。彼らはお互いに潰し合いをしているだけだ。今の幕藩体制で良いのだろうか?
彼は「世界全体から日本を考えよう」と、江戸幕府の中では非常にリベラルな勝海舟の下へ行くのです。

これは藩にとって現在の脱国と同意の犯罪です。一族郎党迄罰せられる、実際彼の姉の一人が自決してしまった。
脱藩者は死ぬ迄脱藩したと言う罪の刻印が押されてます。

今、よその国の例でお分かりのように、どんな理由があろうとも、自国から正式な手続きなしに脱国する事は重罪となってますね。これが彼の運命を左右したのではないでしょうか?

坂本龍馬は非常に魅力的かつ個性的な人物です、身の回りの事など視野に入れたくない。視野が広いのです、広過ぎて、その時代と全然マッチしてなかった。

某週刊誌に連載のコミックですが、こんなセリフを龍馬が言ったかどうかは分かりません。
ただしこのような分かり易い言葉で未来を語った事は確かでしょう。当時からファンが多い、それだけ油断がならない存在だった訳です。
彼の言葉が正論だったとしても、味方の中で権力者を目指す立場からすれば煙たい存在だったかも知れない。

異国からの積極的アプローチを外圧と捉えてしまう日本人の無意識の価値観を彼は悪く刺激してしまうのですね。
当時の日本は「攘夷」の心が根付いた風土です。

そのような意識の行き違いから誤解が生まれ、坂本龍馬は熱烈な国粋主義者に無惨にも暗殺されるてしまったのではないでしょうか?

敵と味方を判別する嗅覚は大陸の人に比べてに日本の人は優れてるとは言えません。かの坂本龍馬にしてそうであります。


この龍馬を大好きだった作家に司馬遼太郎がいます。
司馬遼太郎はモンゴル族やケルト人などの少数民族に非常に関心が高い作家です。
それが彼の史観になっているのですね。

一方、半藤一利は勝海舟のファンで、よりリアルな歴史分析の必要性を説いた人です。
それぞれ考え方は異なっても、日本の未来について正面切って語った作家です。

現在は諸事情により、識者が真っ向から歴史や政治を分析するのを躊躇する時代かも知れません。


現代で旧い家柄が殆ど意味ないと同じく、民族そのものに優劣があるのだろうか?と自分は思います。

ただし、かなり重い戸惑いはあります。
これからの日本は、他の国と冷静に自分たちの利益や立場を考えた上でどう関わっていくのか、非常に重要な問題だと思います。



読んでいただき心から感謝です。ポツンと押してもらえばもっと感謝です❣️

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