しばらく休ませていただくなどと言いましたが、嘘になってごめんなさい、今日又参加させてもらいます。
休日夜の1時間ドラマで、平岩弓枝の人情劇など古き良き時代を彷彿とさせます。
中でも今も私の心に引っかかるドラマがTBS記念ドラマの『伝言』です。
全3回、北海道、中部、東京、九州の毎日放送が参加、脚本が故市川森一、1988年末に放映されたもので、八千草薫、いかりや長介、岩城滉一などなど、豪華絢爛の配役ですが、描く世界はセピア色の昭和。
(1988年は昭和63年末、昭和天皇崩御は翌年一月です。この作品は実は昭和最後の年に先の戦争を振り返る内容なのです)
バックミュージックが哀愁を帯びたトランペットの『テネシーワルツ』、全編を通して初々しい女学生がある人物を訪ねる旅が描かれてます。
その人物が本来の所有者である庚申塚近くの土地の権利証を渡すのが少女の目的です。
その為に権利証に記された祖父のかっての友人を尋ねていく旅です。
何故、どうしてわざわざその権利証を返さねばならぬのか?当時の私は意味がよく飲み込めなかった。今婆になって漸く意味が理解出来ました。
謎解きをする前に本日upした写真の説明をします。見出し写真は若かりし日の秋田のペンフレンドでとっても美形の女学生です。その少女をイメージしました。
(この写真顔がボケてますがスタイル抜群!)
他の写真も在庫を取り出したもの、上から京都祇園、北海道函館、名古屋中心地、九州長崎で撮りました。
それぞれ物語の舞台です。
ドラマの筋に戻ると権利証の名義人は、北海道、名古屋、九州にいるそれぞれ現役を退いた男たちです。
ところは北海道、病に倒れた祖父が可愛い孫にその「権利証」を届けて欲しいと頼むところから始まります。
つみきみほ演じる孫の目に映るその頃の日本各地は自然豊かで美しいです。
私はストーリーを殆ど覚えてないのですが、ひどく惹かれるのは、「何故その権利証をその人に渡されねばならないか?」という謎です。
自ら家屋を売ってしまった私、そのドラマがやたらと気になってストーリーを検索しましたが、結果に乏しく詳細が掴めません。
戦後、お金の価値が著しく変わり、焼け野原の都会に浮浪者が溢れて、広い荒涼とした土地の所有者が亡くなったり行方不明になりました。
この混乱期に、親を亡くしたか弱い少女を騙して土地を奪った若者、それが死の床にいる老人だったら。
そんな想像が膨らみます。
ドラマで描かれた持ち主が八千草薫で、今は京都で慎ましく暮らす楚々とした女性です。
今は亡き八千草薫が庚申塚に参るシーンが写ってから画面がセピア色に変わり、『テネシーワルツ』を演奏する三人の若い男が映ります。
ここにどんなドラマがあったか?TVを観て空想を巡らせたその頃も最早昔です。
などと考えると、望むと望まざるとに関わらず、私たちは壮大な歴史ドラマの河を渡っているのかも知れません。