それでもホワイトデーから、私は相聞を連想してしまいました。
相聞とは、お互いの安否を問う意味で、万葉集では「恋の歌」になります。防人(兵士)として遠国に出向く恋人に向ける歌も相聞に入ります。
防人の多くは東国から当時の九州警備に派兵されてます。
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その中の一首を紹介します。
「防人に行くは 誰が背と 問う人を
見るが羨ましさ 物思ひもせず」
この意味は近所の主婦が「今度防人に行く人は誰でしょうね」などと噂話をしているのが羨む女の歌です。なぜ羨ましいのか?自分の夫(恋人)が既に防人としてとられているのです。呑気に噂をしている身の上を「物思いもせず」と皮肉っている訳です。
相聞として魅力的な歌とは思いませんが、実感のこもった歌です。
今も昔も一般人の戦争に対する思いは変わりはないようです。
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憂世の戦いを離れて、最近心を強く打たれた相聞歌があります。
「あの夏の 数かぎりなき そして又
たった一つの 表情をせよ」
(小野茂樹)
青春の夏の日に見た恋する人の表情を生き生きと思い起こす歌です。
胸が震える初々しさと切なさが伝わってきます。
この歌の隠れファンは歌を詠む人に多いみたいです。
作者、小野茂樹の経歴はドラマチックな物語を秘めています。
若い頃激しい恋をした相手に思いの強さ故に失恋、相手も自分も家庭を持った後に再会、紆余曲折を経て離婚再婚する。ところがその三年後33歳で彼は交通事故で命を落としてしまう。
「一気に駆け抜けた人生だな」と思います。
ただ、その作品の美しさのみを私は愛でたいですが。
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私も刺激されてしまい、作ってみました。
「修羅の果て 見えぬこの世の 道をゆく
桜舞い散る 国のまひるに」
相聞とは全く関係ないです。
お粗末でございます。