韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

韓国ドラマ、IT・デジタルなこと、AIなどと並んで哲学に関する事柄や、よろずこの世界の出来事について書き綴ります

韓国時代劇のリアリティ~まるで目の前で起きていることのよう

2020-11-27 23:53:14 | 韓国ドラマ
 現在、韓国では尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長と秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官との対立が問題となり日本でも連日報道されているのは皆さんご存じのことと思います。

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領から期待をもって指名された尹総長ですが、その期待に反して「正義」のために大ナタを振るい始めたことが大きな問題になっています。

 自分の言うことを聞くだろうという期待で尹総長を指名した文大統領ですが、期待に反して真っ向から自分に反抗を始められて困っているという状況です。

 秋長官には、尹総長を直接解任する権限がないため、実質的に活動ができないようにする作戦に出ているようです。文大統領にしてみれば、自分には解任の権限があるものの、今更自分の手で首切りをすると、さすがに世間の非難を浴びるうえに体裁もわるいので、その役目を秋長官にゆだねたというわけです。

 今現在、韓国で起こっているこの事態を見て、既視感を抱いている人は意外とたくさんいるのではないでしょうか。そうです、まるで韓国時代劇の中で描かれている権力争いのシーンを見ているようなのです。

 李氏王朝のなかで、どの時代でも政権の中で主導権を握ろうとした権力争いは絶えませんでした。利用価値のある人物とみるやいなや、最初は自分の側に引き込もうと懐柔策に出るのですが、それを拒絶されたり反抗されると、手のひらを返したようにその人物を葬り去ろうとするのです。

 政治的野心をもった人物ならそのような政争に巻き込まれることはむしろチャンスととらえて立ち向かっていくと思うのですが、政治的関心のない人物の場合は、この上もない迷惑です。

 いろいろなドラマの中で、望まないのに政争に巻き込まれて権力者に逆らい、葬り去られてしまう人物が描かれていますが、望む望まないとにかかわらず組織の中での自分の政治的な立場をはっきりさせておくことが、世渡りのテクニックなのかもしれません。

 人はそれぞれの正義を持っています。そして、自分の正義を実現するために行動します。そうして、無数の正義が己の正しさの証しを建てようとするのがこの世界での人間の活動なのです。

 それぞれの「正義」という言葉が具体的に指しているものは皆違っているにもかかわらず、われわれが「正義」という言葉を共有して使用することができるという事態がどういうことなのかを考えてみるのも、興味深いことなのではないでしょうか。

ソン・イェジンさんの魅力~「夏の香り」&「愛の不時着」

2020-11-27 01:18:09 | 韓国ドラマ
 最近話題の「愛の不時着」で久々にソン・イェジンさんの名前を耳にしました。もう、17年前の作品「夏の香り」でその美しく、愛らしい姿をみせてくれて、私の心に非常に残っている女優さんです。

 「夏の香り」はユン・ソクホ監督の四季シリーズの3作目として、日本で大人気の「冬のソナタ」についで放送された作品です。放送局がNHKではなく、WOWOWだったのがちょっとした驚きで、たぶんWOWOWが初めて放送した韓国ドラマではなかったでしょうか。

 日本での放送は2004年の5月からで、一週間に2話連続して放送されました。我が家では当時たまたまWOWOWを契約していたので、特別な準備なしで視聴することができました。

 「冬のソナタ」は雪景色の美しさが印象的でしたが、「夏の香り」では新緑の木々の美しさに圧倒されました。残念なことに、当時はまだHD収録ではなかったので今の水準からみるとその表現にも限界を感じますが、現在では視聴機器が格段によくなったので、あの美しい風景をもう一度見直してみたいと思っていました。

 ソン・イェジンさんが話題になったことが引き金になったのか、アマゾンプライムビデオで「夏の香り」の配信が始まりました。他のドラマを見ることに忙しく冒頭の部分をちらっと見なおしただけですが、HD画質を見慣れた目には、標準画質の作品は残念ながら物足りなく思ってしまいました。

 しかし、16年前に今よりももっと貧しい視聴環境(とはいえ、当時では家庭用としては最高画質の環境)で、あれだけ心を動かされたのも事実です。その頃の気持ちを思い出して何とか時間を作って見直したいと思っています。

 最近のソン・イェジンさんは写真でしか見ていませんが、ほとんど変わりなく美しいままで安心しました。「夏の香り」は彼女がまだ20代前半の頃の作品で、美しさに加えて初々しさを感じることができます。

 ストーリーは典型的な恋愛ドラマですが、最近の作品とは違う良さもありますし、上記の風景描写の素晴らしさも相まってとても印象に残る作品となっています。

 「愛の不時着」も素晴らしい作品かもしれませんが、ソン・イェジンさんを気に入られたのなら、ぜひ「夏の香り」も見ていただきたいと思います。