韓国ドラマは哲学的感性を刺激する

韓国ドラマ、IT・デジタルなこと、AIなどと並んで哲学に関する事柄や、よろずこの世界の出来事について書き綴ります

ネット証券の憂鬱

2005-12-31 06:00:00 | 情報セキュリティ
 昨日のネット版の読売新聞の報道で、「年末休み…個人投資家の売買活発化、高負荷で取引遅れ」という見出しが踊りました。ジャスダックと、ヘラクレス市場で取引結果を証券会社に自動通知する処理に相次いで遅れが発生したそうです。

 今回は、取引ができなくなったという深刻なトラブルではなかったものの、一秒を争う取引において、このような遅れは投資家にとって、致命傷になりかねません。これを含めてネット証券会社のトラブルが目立った一年でした。

 年末休みで個人投資家が自宅から株取引を行ったため、サーバの負荷が急増したのが原因と予想されるということです。

 このようにして、ネットからのアクセスを受け付けるシステムにおいてはアクセス数を予想することが大変むずかしいため、トラブルになる可能性が高いのです。

 インターネット上のWEBのシステムはわれわれに革命的と言える利便性をもたらしましたが、それを支えるインフラを維持する苦労は、通常の銀行や証券会社の勘定系システムとはまた別の難しさがあります。

 金融機関の勘定系システムはわれわれが一番身近なお金の出し入れをやその他銀行業務の中心を受け持つシステムで、皆さんもわかるとおり大変な安定性と確実性を要求されます。この勘定系システムも、一時的なアクセスの集中や、振込処理が集中して処理能力が不足してダウンしてしまうことがありますが、基本的に、その負荷についてはかなりのところまで予測できるので、それにあわせてコンピュータの設備投資や運用の体制を整えておくことができます。

 それに対して、ネットからのアクセスを受け付けるシステムは、証券会社に限らずアクセス数を正確に予測することができません。そのため、どの程度の負荷に耐えられるコンピュータ設備を準備すればいいのか、その予測がきわめて困難です。

 一時的なピーク時のために莫大な設備投資をして高性能なシステムを準備しても、一年のうち99%その設備が遊んでいるような状態では、費用対効果という点で大きな問題になり、おそらくそのようなビジネスの収支は赤字になってしまうでしょう。

 このようなシステムが銀行の勘定系システムに準ずる形で重要とみなされるようになってきたため、大きな社会問題になってしまうのです。24時間365日いつでもアクセスできるシステムですが、それを維持管理するには大変な苦労と労力が必要です。

 ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の要求事項として、十分な処理能力を持った設備を準備しなければならないという項目がありますが、これはまさに今回話題にしている点をさしていると言えます。

 インターネットとWEBをベースにしてシステムが、社会的なインフラとなっている時代の難しさを象徴しているのが、ネット証券だと思います。

 残念ながら、関係者の憂鬱はこれからも続きそうです。

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情報システムの危機

2005-12-30 06:00:00 | 情報セキュリティ
 今年起きた東京証券取引所の2つの大きなトラブルが意味するところを考えてみました。

 1年に2度もこのような大きなトラブルを起こすというのは完全に危機管理能力が不足しているとしかいいようがありません。その背景はいろいろと考えられますが、東証自身が背負っている責任を果たせない状況にあることが一番の問題ではないかと私は思います。

 つまり、日本を代表する証券取引市場を運営しているということに対しての自覚の不足が問題だということです。もし大きなトラブルを起こしてしまったら、大きな社会問題になるという意識、それが欠如しているようにしか思えません。

 システム開発と運用は富士通が主として担当していたとのことですが、東証側は富士通におんぶにだっこで、東証側の担当者のシステムに対する意識、システムをうまく運用しよう、日々改良を重ねていいものにしていこう、そういう気持ちが欠けていたのではないでしょうか。

 アウトソーシング(外部委託)という言葉が一般的になってもう20年は経つでしょうか。今では情報システムの開発と運用を自社ではなく、外部の会社に委託することが当たり前の時代になりました。自社に情報システム部門があっても名ばかりか、全くそのような部門を持たないという会社も珍しくなくなりました。

 しかし、本当にこのようなことでいいのでしょうか。このブログで私が何回も主張してきた、情報セキュリティに対する経営者の理解のなさが企業の危機を招くという考えは、そのまま情報システムそのものにも当てはまります。

 情報システムを単なるコストとみなして、安ければ安いほどいいと経済性ばかりを追求すると自社の情報処理要員の空洞化が起こり、外部の会社に過度に依存することになってしまいます。しかし、これでその企業は「いい仕事」を遂行することができるのでしょうか?

 証券取引所はコンピュータシステムなしではやっていけない業務です。それなのに、情報処理システムに対しての経営者としてのビジョンや理想を持たず、ただただよごれ仕事扱いで外注するという姿勢では、「いい仕事」ができるはずがありません。

 楽天証券も今年はたびたびトラブルを起こし、金融庁から注意を受けたという報道がありました。これは私の想像ですが、きちんとシステムを開発、運用するためのリソース(人、物、金)が十分に与えられていないのではないでしょうか。コストを重視するあまり、トラブルばかりを起こしていては本末転倒も甚だしいといわざるを得ません。

 何度も話題に取り上げたマンションの耐震強度擬装問題も問題の本質は同じです。いい仕事をしよう、いいものを作りたいと心から願うリーダが不在だと、安ければいいでことを片づけてしまうのは当然の成り行きではないでしょうか。

 夢を語る人が必要なのです。夢をもち、先を見通す人、そのようなポジションにいる人が不在であるためこのようなことが起こるのです。

 情報システムの開発と運用がこのような体たらくでは、情報セキュリティについて語ることもできません。

 では、一体上記のような状況を解決するためにはどうすればいいのでしょうか。それはただ一つ、情報システムを開発し、運用するということをただのコスト・必要悪と見なさず、積極的にビジネスにとって必要なことだと認め、過度に外部の会社に頼りすぎず自社内に開発、運用の文化を築き上げていくことです。

 そうすれば、自ずと情報セキュリティについてもふさわしい体制が出来上がってきます。マンション販売のヒューザーのように、木村建設のようないい加減な建設会社に自分たちの大切な商品を作らせて、ISO認証を取得してうわべだけはいい仕事をしているように取り繕っても、結局今回のような大きな社会問題になってしまうのです。

 経営者は、自分たちがいい仕事をするにはどうすればいいのか、もう一度根本的に問い直すべきです。それが、唯一その企業が存在する社会的な意味になるのですから。

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JR羽越線脱線・転覆事故に思う

2005-12-29 06:00:00 | 情報セキュリティ
 今回起きたJR羽越線の脱線・転覆事故ですが、脱線の原因は強風であるということが確定的になってきました。

 TVのニュース報道を見ていると、運転士には刻々と変わりつつある気象情報を伝えるシステムはないということで、私はこれを聞いてこれだけIT化が進んで便利になった世の中と比較して、ひどく前近代的だと感じました。

 事故当時の運転スピードは時速100kmだったそうですが、そんなに強風が吹いているならたとえ減速の命令がなかったにせよ、列車に乗っている人は何かしら身の危険を感じたのではないでしょうか。私自身、普段利用するJRの路線で強風にさらされる箇所がありますが、時速100km近いスピードを出しているだけでちょっと不安を感じるときがあります。

 そのようにして外部から系統だった情報を得ることができない場合、頼りになるのが自分の五感だけです。列車は雪のためかなりダイヤよりも遅れていたそうですが、それにしても、列車運行のルールには違反していなかったとはいえ、運転士の判断でもう少し減速して運転することはできなかったのでしょうか。

 強風時の高速道路で運転していても、時速100kmと時速80kmでは全然車の安定感が違うことは、読者の多くも経験していることでしょう。

 情報セキュリティ対策ではいろいろな技術的対策やマネジメントシステムの面の対策を行います。万が一に備えて、想定できることは網羅できるだけ網羅するのですが、事件・事故はその隙間をついて起こります。いわば「想定外」というわけです。

 そして、その想定外のことが起こったときにどのように対処すればいいのか、実はこれが一番大切なことです。マニュアルや手順書に書かれていないから、何の手も打てなかった、上からの命令・指示がなかったので何もしなかったというのでは、情報セキュリティポリシーも、ISMS(ISO27001)認証も、プライバシーマークも何の役にも立たないのです。

 現場で日々過ごしている人たちの五感。それが大きな事件・事故を防止する、あるいはその被害を最小限に食い止めるために絶対に必要なことです。

 人間は自ら考え自分の意思で行動できる動物です。しかし、往々にして組織の一員になるとその能力を失いがちです。たしかに仕方がない面があるのはわかります。その二つの能力は相反する部分があるからです。組織の一員として周囲との協調性を保ちながら、しかし、自分の五感を働かせて自らの判断で行動できる人、そのような人が組織の構成員としては理想的なのだと、今回の事件をみているとあらためて感じました。

 結末は平凡かもしれませんが、平凡を嗤う者は平凡に泣くと思います。平凡を馬鹿にし、奇を衒うことばかりがいいことのように思われますが、当たり前のことを当たり前にこなしていく日常生活の積み重ねが実は一番価値のあることなのです。

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コンピュータのせい

2005-12-28 06:00:00 | 情報セキュリティ
 その昔、旧国鉄(JR)で乗車券予約のオンラインシステムができた頃、乗車券の発行でミスがあると駅員はきまって「コンピュータが間違えました」といういいわけをしたという、笑い話のような語りぐさがあります。ほとんどの場合、操作する人間の間違いだったと思われるのですが、40年近く前は一般の人はもちろん、それを使う駅員自身コンピュータというものがよくわかっていなかったことの証左なのかもしれません。

 それと似たようなことが、ついて先日おこりました。「コンピュータのせい」というせりふが、TVニュースから流れました。男子フィギュアスケートの全日本選手権でのことです。

 トリノ五輪の選考会を兼ねた大変重要な大会で、その結果判定において前代未聞のミスが起こりました優勝者の取り違えです。いったん優勝は織田選手と発表され表彰までされたのに、コンピュータによる採点にミスがあることがわかり、すぐに優勝を取り消され2位だった高橋選手があらためて優勝と発表され、織田選手は泣く泣く優勝メダルを返還させられ表彰式もやりなおされました。

 選手にとってこんな酷なことはありません。全く、気の毒な出来事でした。聞くところによるとフィギュアスケートの採点は大変複雑で、審判員自身も常にルールブックに目を通し、かつ一人ですべて採点ができず分業制で採点を行っているところへ、集計を行うコンピュータソフトウエアにも誤りがあり、今回のような事態に至ったということです。

 このような背景から、表記の「コンピュータのせい」というせりふが関係者の口から出たというわけです。

 情報セキュリティにおいても、コンピュータソフトウエアの誤りは深刻な事態を引き起こします。普段何気なく話題になるセキュリティホールという言葉、これは情報セキュリティ上の欠陥を表す言葉ですが、結局はソフトウエアの作成時の誤りやその仕様上の不備なのです。

 コンピュータは大変便利な道具です。しかし、それを使うのは人間です。起こったことの最終的な責任は人間がとるべきものです。ですから、コンピュータのせいというせりふは禁句だと私は常々思っています。

 情報セキュリティ上の事件、事故の責任は皆さん自身にあることを、もう一度肝に銘じて頂ければと思います。

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バックアップ

2005-12-27 06:00:00 | 情報セキュリティ
 読者の皆さんは、家庭でPCのデータのバックアップをどのようにしているでしょうか?

 全然取っていないという方もいるかもしれません。その時はその時という覚悟はある意味潔いと言えるのですが、それでは今回のタイトルで話が進まないので、何らかの方法でデータのバックアップをとっているという前提でお話を進めます。

 最近はハードディスクが安くなって、USB接続の外付けハードディスクを使うのが一番簡単そうに思えます。また、ネットワーク接続のディスクも一般家庭用に販売されているので、それを使ってネットワーク越しに行うのも容易です。

 私は、ネットワーク上のディスクにフリーのバックアップツールを使ってデータのバックアップを行っています。用心深い性格のため、バックアップのバックアップまで作成しています。

 利用しているのは、Real Syncというフリーソフトなのですが、これを使い始めるまでは、手動で普通のコピーでバックアップをしていました。ツールを導入してからは、実に簡単に一定の時間間隔で自動的にバックアップしてくれるので、格段にバックアップ作業が楽になりました。フリーソフト一つでこんなに楽になるなら、もっと早く思い立っていればと後悔したほどです。

 そして、自宅はこれでいいのですがもう一カ所、近所に離れて住んでいる家族がいます。その家族は自分でマメに必要なデータを外部媒体にコピーできるほどの知識がないので、今までは、私が訪問するたびにポータブルの外付けのハードディスクにバックアップを取っていたのですが、そうそう頻繁に訪問するわけではないので、万が一ディスクが壊れたときバックアップが何もないよりもましというくらいのレベルでのバックアップしか取れませんでした。

 1ヵ月ほど前、Windowsのバージョンアップをしてシステムを総入れ替えしたのを機に、私と同じフリーソフトを使ったバックアップの仕組みを取り入れました。私と違うところは、バックアップ先がハードディスクではなく、USBメモリであるということです。

 幸い、頻繁に更新されるデータの量はさほどないので、128MBのUSBメモリを差しっぱなしにしてバックアップ媒体として利用しています。スペースも取らず、大変重宝しています。その他、デジカメの写真があるのですが、それはそう頻繁に増えるものでもないし、もともとのデジカメのメモリカードにオリジナルが残っているので、従来通り訪問の度に外付けハードディスクにコピーすることで対応しています。バックアップまで終わったら、オリジナルのカメラのメモリカード上の写真を消してしまうわけです。

 使用している家族は、バックアップツールも、バックアップ媒体も全く意識せず使用しています。15分に一回、自分のデータがバックアップされているとは全く気づいていません。

 最近のUSBメモリは大容量化して、4GBというものまで現れました。価格はそれなりにするので、気軽にバックアップ用途に購入するにはむずかしいですが、128Mとか64MくらいのUSBメモリが使われなくなって家庭に転がっているケースは増えつつあるのではないかと思います。

 そのような、比較的小容量のメモリでも、メールデータや日常作成する文書のバックアップになら十分使える可能性がありますので、このようなバックアップシステムを構成してみるのも悪くないのではないでしょうか。

 このやり方の唯一の難点は、USB端子の位置です。USBメモリを差しっぱなしにするので、特にノートPCの場合はUSBメモリが飛び出した状態で常時着いているのがじゃまだったり、目障りだったりすることになります。

 今回の対象機種はノートPCなのですが、PCの背後にUSB端子がついているので、全くじゃまにならずUSBメモリを差しっぱなしにできており、幸運だったと言えます。

 皆さんも、USBメモリとReal Syncを使ったバックアップシステムを構築してみてはいかがでしょうか?

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スパム(迷惑)トラックバック

2005-12-26 06:00:00 | 情報セキュリティ
 毎日ブログを更新して感じることですが、トラックバックのありがたさです。先日マンションの耐震強度擬装事件を話題に取り上げたときの反響はすごくて、一日に20ほどのトラックバックをもらった日もありました。

 そして、こちらからもトラックバックをさせてもらうことにより、アクセス数が爆発的に増えてトラックバックの威力には本当に驚いたものです。これがまさに、ブログの利点というべきもので、最小の手間と努力で自分のメッセージが多くの人の目に触れるようになるのです。

 ところが、同じトラックバックでも、正反対の招かれざるトラックバックがあります。それがスパム(迷惑)トラックバックです。見ての通り、スパム(迷惑)メールと同じで、相手構わずトラックバックを送信してくる輩で、その送信元がアダルト系のサイトだったりすると、本当に迷惑です。

 ブログシステム提供会社の機能で、そのようなスパムトラックバックを防止する機能は一応はついているものの、それで完全に防ぐことはできず、結局トラックバックを一つ一つチェックするしかありません。放置しておくと、大変怪しいブログになってしまうので、ブログを書いている者としては大変迷惑な事態です。

 スパムメールと同じで、即効性のある対応策はありませんので今のところは上記のように個々に手作業で対応するしかないのですが、本当になんとかならないものかと思う毎日です。

 ブログは人々の間に爆発的に広がっていますが、これから、この問題はもっと深刻化するはずです。ブロガーとしてはそれについて自分なりの心構えと対応策を準備しておくしかなさそうです。

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個人情報の公開と秘匿

2005-12-25 11:15:16 | 情報セキュリティ
 昨日に続いて、個人情報の話題です。

 地域社会、コミュニティについてよく言われることですが、昔はそのコミュニティの構成員は互いに顔見知りで、東京のような大きな街でもそれなりに近所づきあいというものがあって、どこにどんな人が住んでいるかがわかっている状況で、見慣れないよそ者がうろうろしようものなら、すぐに声をかけられたりしたものだということがあります。

 これは、個人のプライバシーがあまりない状態という意味ではネガティブな面もありますが、今日、特に今年立て続けに起こった目を覆いたくなるような凶悪な事件を防ぐには有効な状況と言えるでしょう。

 どこまでプライバシーを守りながら、不快な他人からの干渉を受けずに自分の個人情報を公開できるか、その点をこれからさぐっていくのが、われわれの課題ではないでしょうか。

 学校帰りの子どもに一声かける、それだけのことで子どもの安全、生命が守られるなら社会的なコストとしても安いものです。ガードマンに守られながらの登下校は異常なことだと思いますし、またコストも大変かかることです。親が必ず送り迎えすることについても、社会全体のコストということを考えれば大変なことでしょう。

 子どもが安心して歩ける社会、これがかつての日本の姿だったはずです。しかし、それは幻想となってしまいました。

 自分がどこの、誰であると名乗りあって安心して住める社会、それが私たちがめざす一つの理想型ではないでしょうか。

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個人情報保護法に思う

2005-12-24 11:18:06 | 情報セキュリティ
 個人情報保護法がこの春完全施行されてから、初めての年があけようとしています。

 導入直後の混乱がいろいろと報道されましたが、その運用は落ち着いてきたと言えるのでしょうか。

 私の印象では、国民の間に正しい認識が広がるのはもう少し時間がかかるという気がしています。結局新しい法律が国民の間に浸透して正しく認識されるまでには、混乱と時間がかかるのは仕方がないことだと思っています。

 とはいえ、何もせずに手をこまねいているのではなく、本来なら国民一人一人が積極的にこの新しい法律を理解する努力をするべきなのですが、現実はなかなかそれもむずかしいというところです。

 もちろん、企業・組織の中で直接個人情報を扱う人たちは否が応でも勉強する必要があるのですが、われわれ一般の国民も自分が何をすべきで、何ができるか考えることをせまられていると言えるでしょう。

 この法律の施行で、国民のプライバシー意識は以前にも増して高まっています。家庭用シュレッダーの売れ行きも目に見て増えているとのこと、ゴミ出しひとつにしても以前よりもプライバシー意識が高まっていると言えます。

 ただ、個人のプライバシー意識を強く主張すればこの法律の主旨に合致するわけでもありません。円滑な社会生活を営むために、われわれ一人一人が正しい認識をもって日々を過ごすことが最も大切だと思っています。

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新潟の大停電事故

2005-12-23 10:52:26 | 情報セキュリティ
 昨日新潟で起こった大停電事故ですが、直接の原因は送電線のショートとのことで、ショート自体は日常的に起こる事態ですぐに復旧するものだということだそうです。しかし、今回問題なのは、発電所からの電力の供給が完全にストップしないようにするための仕組みがうまく働かなかったことです。

 発電所から電力消費地への幹線となる送電線は、一カ所が普通になっても他の送電線ルートを通って、不通になった箇所を迂回して消費地へつながるようになっています。つまり、複数の迂回ルートが準備されているわけです。

 しかし、今回は複数準備されている迂回ルートが、ほぼすべて(5本のうち4本)ストップするという異常な事態に陥ったため、必要な電力がまかないきれず停電事故となってしまったそうです。

 最終的には、別に準備していた他県からの非常用ルートを使い、電力の供給を再開できたということです。

 このようにして、現代社会において最も重要な電力供給の体制は二重三重どころか、五重六重以上のバックアップ体制に支えられて運用されているわけです。しかし、そこまで準備されていても、今回は長時間の停電を避けることができませんでした。

 街では信号機が作動しなくなり、スーパーマーケットではレジを使えないため店員が手計算で会計に対応したという報道がありました。

 翻って考えてみて、みなさんの情報システムでこれだけの用意周到さでバックアップ手段が準備されているでしょうか?家庭ではいわずもがな、企業でも一般のオフィスでは家庭と変わらぬ状況で、サーバ類についてだけ非常用電源装置を備えているという対応が関の山でしょう。

 唯一、顧客のサーバを預かるデータセンターはすべて自家発電装置を備えているので、今回程度の停電事故では機能を停止することはなかったはずです。

 非常時にいかにしてその事態に対応して、自分たちの仕事を継続して行えるようにするための事業継続計画は、何も企業のためだけのものではありません。極端な話を言えば、私たちひとりひとりの心構えとして準備していていいものなのです。

 今回の停電事故を教訓に、自分たちの組織の事業継続計画を見直してみてはいかがでしょうか。

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擬装建築と確認検査

2005-12-22 09:53:37 | 情報セキュリティ
 「早い、安い、ザル」 これが、今話題になっている民間検査機関に対する業界内の評判だそうです。

 これでは、建築側に都合がいいだけで、購入する側であるわれわれ一般消費者には信じられない話です。

 検査では、通常設計の数値の検算をしないということがとにかく一番驚いたことです。それをチェックしないで、何をチェックするというのでしょうか。認定ソフトで計算して正常という判定であれば、全く疑うことなく検査を通ってしまう、これが実態だそうです。

 また、計算結果はコンピュータで打ち出した物だから、それを再度人間が計算するのは不可能だという言い分もありましたが、それは一面正しく、一面は間違っています。

 計算された膨大な建築データを紙に印刷して、提出物としてそれを受け取っているのでは、たしかに、それをもう一度人間が手計算で再計算したり、コンピュータを使って再計算するにしても膨大なデータをコンピュータに再入力しなくてはなりません。それでは、たしかにやっていられないでしょう。

 素人考えでは、構造計算の結果をデジタルデータで提出して、それをそのままチェック用のソフトウエアでチェックすれば、少なくとも今回のようなやり方での擬装は一瞬でわかったのではないでしょうか。業界でやりとりするジタルデータのフォーマットさえ決めれば、簡単にできてしまうと思うのは、素人の浅はかさでしょうか。

 もちろん、建築設計にはいろいろな要素があるため、単純にコンピュータで計算するだけではダメな部分もあることは理解できます。資料全体を人間が俯瞰的に眺めてみてわかることもあるでしょう。

 それにしても、今回擬装を見抜けなかったことについて、民間の検査機関や行政の検査担当者が異口同音に、手続きにしたがってやっただけで、われわれには非がないと堂々とTVの前で述べることは、私の常識をはるかに超えています。

 自分たちの仕事の本質を理解しているのでしょうか。私が彼らの立場なら、あまりにも恥ずかしくてそんな言葉は吐けません。

 今回の事件は、個人の悪事ではなく、組織的な悪意を感じますし、またそれを検査する側の構造的な問題が徐々にあぶりだされようとしています。

 情報セキュリティの世界に立ち戻って考えてみると、このような擬装はありとあらゆる形で行われるという前提があります。手を変え品を変え、ありとあらゆるごまかし、だましのオンパレードというのがこの世界での常識です。

 そういう意味では性善説の立場にはとても立てないのが、セキュリティの世界です。しかし、こんなことを言ってしまうと私が先日からこのブログで主張していることと矛盾することになっていまいます。最終的にどこかで人間を信じる部分がないと救いようがないということです。

 いずれにせよ、このような事件のおかげでまた一つ、われわれの社会への信頼というものが失われた気がします。残念なことですが、堕ちてしまったこの立場からもう一度やり直すしかないというのが唯一の方法です。

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