夏になると、戦争にまつわるドラマや特集が目につく。
NHK朝の連続テレビ小説 「おひさま」 もそうだ。
実際に体験した人の話にはかなわない。
今朝の新聞に、山口県の83歳の女性の投書にほろり。大体次のようなことだ。
当時通っていた高等女学校で、戦地の兵隊さんに慰問の便りを書く夏休みの宿題が出た。
その返事が2学期の中頃届いた。
同じ山口県出身で海軍の軍艦に乗っておられる方だった。
「あなたからの封書の中に蚊が入っておりました。洋上に蚊はおりません。大変懐かしく故郷のことを思い出しております。」
そんな内容でした。
私はきっと、蚊帳の外でその宿題をしたのでしょう。
「武運長久をお祈りしております」と書いたことぐらいしか記憶がありません。
まだ10代前半で、船に蚊がいないことに驚き、その不思議さが強く印象に残りました。
蚊は迷惑な生き物です。ブーンという音は人の気分を苛立たせ、見つけると叩きたくなります。
なのにその兵隊さんは、1匹の蚊に郷愁を誘われ、生きている実感を覚えたのではないでしょうか。
感性の豊かな人だっただろうと想像しています。「同封の蚊」も浮かばれたかもしれません。
毎年蚊取り線香を使う頃になると振り返る思い出です。
・・・・・まるでドラマのひとコマを見るようだ。
兵隊さんに手紙を書く宿題があったとは。